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「どうだった? おいしかった?」
「うん、おいしかった」
食後の紅茶のカップを両手につつみ、オレンジ色の水面に移った自分を見ながらリアはこくっと頷いた。
「よかった。学園生活において、ご飯は結構重要だからね」
リアの返事を聞いて、紅耶も手に持っていたお茶を一口飲む。リアとは違って、紅耶の手にあるのは湯のみに入った緑茶だった。
緑茶を飲んだ後、食後の満足にふっと一息をついて紅耶は顔を上げた。食後のゆっくりとした時間は人生の至宝だとつくづく感じつつ、そのまま何を考えるまでもなく食堂の中を見渡していく。
朝食にしては遅い時間だったが、食堂はそれなりにまだ騒がしかった。自分たちと同じように遅めの朝食をとっている生徒、授業の始まるぎりぎりまでくつろいでいる生徒、そして、そのどちらでもない大学部の生徒。時間が時間なので大学部の生徒が一番多いように見えた。
大学部と幼等部の見分け方は簡単だ。幼等部は見た目でも分かるかもしれないが、誰でも確実に一目で分かるのは制服の違いだった。大学部は私服で、幼等部は他の学部と制服が違った。逆にいえば、初等部、中等部、高等部は同じ制服になっている。
つまり、今紅耶とリアは同じ制服を着ていた。襟に黒のラインが入った白いシャツに黒のネクタイ。裾に白のラインが入った黒のスカートの制服。男子生徒の場合は、当然スカートではなく黒のズボンとなる。
女生徒の制服に関してはもう一種類、襟に白いラインが入った黒いシャツに白のネクタイと、裾に黒のラインが入った白いスカートの色違いの制服が用意されていた。組み合わせは自由にしてよく、白いシャツに白ネクタイ、白スカートやその逆の全身黒の制服にしている生徒もいる。デザインはシンプルだが、紅耶はこのモノクロの制服を気に入っていた。服装をあまり気にかけないからというのもあるが。
だが、今時の――自分も今時の女の子ではあるのだが、今時の子にしてみればやはり不満はあるらしい。制服についての要望が生徒会にきているとシリスが言っていた。
(食堂くらいバラエティが揃っていれば……って、それじゃ制服って言わないか)
自分とリアの前にある食べ終わった朝食のトレイを見つめる。紅耶の朝食はおにぎりと味噌汁と漬物で、リアの朝食はサンドイッチとコーンスープとサラダだった。
古城学園の食堂は、他の学園に比べて充実している。各学部の校舎にある食堂の他にも学園共同の食堂として別に建物があり、和風、洋風、様々な種類の料理が一通り揃えられていた。




