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研修生と化物の女王  作者: shio
第二章 転入生、蒼瀬リア
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「ん、よし」


 リアの返事に紅耶は微笑むと、少しおどけながらいった。


「さて、このまま抱っこして洗面所まで行って、着替えも手伝った方がいいのかな、お姫様?」

「え? あ、ご、ごめんなさい。自分でしますっ」

「よろしい」


 シリスをゆっくり下ろしてから、紅耶はぽんっと背中を叩いた


「それと、わたしのことは名前で呼んで。あと、家族なんだから敬語もなしでいこうよ」

「はい……ありがとう、紅耶さん」

「紅耶」


 言い聞かせるように腰を曲げて見つめてくる紅耶に、リアは驚きながらもその迫力におされこくっと頷いた。


「う、うん……紅耶」

「ん♪ まあ、最初は慣れないかもしれないけど、始めなきゃ永遠に慣れないからね」


 曲げた腰を直してにっと笑って、姉のように――紅耶はそう意識して振舞っているわけではないだろうが、まさに姉がいうような言葉とともに、ぽんっと頭を叩いた。


「じゃあ、制服は用意しておくから、顔を洗ってきな。着替えたら髪をといてあげるから」

「…………」

「? どうかした?」

「う、ううんっ」


 慌てて首を振って、顔を見られる前にリアは洗面所へとぱたぱたと駆け出す。

 頬が熱い……洗面所にはいり、ドアを閉めると、リアはドアによっかかって自覚する。


(私……また泣きそうになってる)


 姉のように、と思っていたが違った。姉とは違う。自分に姉がいないから違うと感じたわけではない……いや、それもあるかもしれないが、そうだとしても姉とは違った。

 紅耶は姉とは違う……今の言葉は、雰囲気は……。


(ママ……)


 言葉使いも姿も全然違うのに、紅耶は母のように見えた。

 もう一度溢れそうになる涙を拭って、リアは顔を洗った。

 泣きそうになる心が落ち着くまで、何度も何度も顔を洗った。


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