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「ん、それじゃあ」
リアの返事に満足して握手した手を離してから、シリスは初等部の二人へと顔を向けた。
シリスに習ってリアも顔を向けるのを待ってから、水沙と鈴の紹介を始める。
「あっちに立っている二人が初等部の代表と副代表よ。あなたと同じ学年だから、授業のことや学園のことは彼女たちに聞いて」
「はい」
リアが返事をしてから、改めて視線を向けてくるのを受け、水沙が少し緊張しながら口を開いた。
「はじめまして、初等部代表の霜月水沙です。よろしくお願いします、えと……蒼瀬さん」
「も~、固いなぁ水沙ちゃんは」
「ふわっ!?」
横からばんっと背中を叩き水沙を前に出すと、続けて鈴もぴょんっと前に出ながら元気に手を上げてリアに挨拶した。
「初等部副代表の日乃鈴ですっ! これからよろしくね、リアちゃん」
「よろしくお願いします……霜月さんと、日乃さんですね」
水沙と同じように緊張しながら挨拶を返すリアに、鈴は水沙の腕を組んで引っ張るようにずんずんと近寄るとにこっと笑った。
「いいよ、日乃さんなんて言わなくて。同級生だし鈴で大丈夫だよ。ね、水沙ちゃんもいいよね」
「う、うん。私も名前で呼んでくれると嬉しいな」
引っ張られた体勢を直しながら、鈴の横に並んで立って水沙も頷く。
「えっと……じゃあ、私も名前で呼んでください」
「敬語もなし! だって」
鈴はびしっといいきると、リアの手を両手でぎゅっと握った。
「もうあたしたち友達だよ、リアちゃん」
「……はい」
鈴の行動に戸惑いながらも、リアは小さくこくっと頷く。
「ありがとう……鈴、水沙」
「うんっ」
元気よく返事をする鈴と、鈴ちゃんは相変わらずだなぁと苦笑する水沙。そして、まだ戸惑っているリア。
そんな三人を後ろから見ながら、紅耶はリアに少し違和感を感じていた。
(水沙たちと話しているときのほうが緊張してる?)
同じ年齢の水沙や鈴のほうが話しやすいと思っていたのだが、リアはシリスと話していた時のほうが緊張もせず言葉もはっきりをしていた。
普通なら年上で、しかも、生徒会長なんていう立場のシリスと話すほうが緊張してもおかしくないのに、まるで初めて自分と同じ歳の子と話をしたみたいに水沙と鈴との会話はぎこちない。
(ここに来る前は、小学校に通っていたはずだけど)
引っ込み思案な性格だったとしても、シリスに対しても同じように緊張するはずだ。
――と、そこまで考えて、部屋の全員の視線が自分へと向けられていることに気付く。確かに、リアに挨拶していないのは後は自分だけだった。
心にある違和感はそのままにして、紅耶はリアのほうへ歩いていくと、にこっと微笑んだ。




