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(紅耶ちゃんが最初に来たとき、周りの人たちは歓迎しなかった。そして、今は最初以上に嫌っている人達が多い)
それは紅耶自身が分かっていることだろう。それでも……
(紅耶ちゃんは、全然変わらず頑張っている)
あからさまに嫌悪の眼差しを送ってくる人もいる。それでも、頑張っている。
「ん?」
今度は水沙の視線に気づいて、紅耶が首をかしげた。
「ううん、やっぱり紅耶ちゃんはすごい」
「そう?」
「うん、そう」
「んー、でもわたしもまだまだかな。もっと色々頑張らないと」
「ふふ、じゃあ、私と一緒だね」
「そうだね、一緒に頑張らないとね」
お互いに顔を合わせて笑う。
「そういえば、これからどうする? 水沙はどっかに行くの?」
「うん、生徒会室に」
「あれ、水沙もなんだ」
「紅耶ちゃんも?」
「うん。って、そうか。別に驚くことじゃないか」
自分が生徒会室に行く理由を思い出して納得する。そして、冷静に考えれば水沙が行くことも当然だった。初等部代表であれば、一緒にいないといけないだろう。
「初等部に転入生が来るって聞いて。紅耶ちゃんも、転入生のことで生徒会室に行くの?」
「シリスに呼ばれてね。鈴はもう先に行ってるの?」
「うん、鈴ちゃん新しい友達ができるって喜んでたから、授業が終るとすぐに飛び出していったよ」
その光景を思い出したのか、水沙はくすっと笑ってから付け加える。
「あと、瑞穂お姉ちゃんのお菓子が早く食べたいからって」
「あはは、瑞姉も転入生が来るって聞いてるだろうから、張り切ってお菓子作ってそうだね」
生徒会副会長と初等部副代表の姿を思い浮かべて、水沙につられて紅耶も笑った。
「よし、じゃあ鈴に全部お菓子を食べられる前に、わたしたちも急いでいこうか」
「ふふ、うんっ」
シリスもいるだろうし転入生が来る前に鈴がお菓子を全部食べるなんてことはないだろうが、自分たちの分を少しでも確保するため紅耶と水沙は生徒会室に向かって駆け出した。




