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研修生と化物の女王  作者: shio
第一章 古城学園生徒会
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 もし、高層ビルを吹き飛ばせるほどの力を手に入れたらどうする?


 紅耶は自分で自分に問いかけてみた。

 頭の中でその意味を噛み締め、想像する。その光景を。

 恐らく、ほとんどの人間がその力の甘美な快感に酔うだろう。自分は人とは違う、特別な存在だ。人に恐怖を与え、ひれ伏せさせることができる。

 少しでも気に入らなければ力を使い、自分の思うとおりに出来る。そして、力を振るっていくうちに、いずれ人を支配する快感に目覚め、世界を力で押さえつけようとしていくだろう。

 だが、それが幸福で正常な世界かといわれれば間違いなく違った。回りの人間にとっても……そして、力を持った人間にとってもそれは不幸でしかない。


(じゃあ、力を持ったらどうする?)


 もう一度自分に問いかける。答えは簡単だった。


(力を持ったとしても、どうもしない)


 力を持とうが持つまいが関係ない。力に意味を持たせることは出来るかもしれないが、それで人間の生きる道が変わるわけではないし、変わってもいけない。

 力を持ったとしても人を傷つけていいわけがない。犯罪を犯してもいけないのだ。

 単純で簡単で明確だった。迷う必要も悩む必要もない。理解と納得ができれば、特別な力などそれだけのものでしかない。

 だが、現実は違った。

 人間は勝手に複雑な環境を作り、世界を押し付ける。


 『科学万能』という言葉がぴったりと当てはまり、あらゆるものが科学で制御された世界。

 人々は科学に感謝し――あるいは依存し――様々な問題はありつつも平穏に暮らしていた。

 なにもなければ、間違いなくこのまま半永久的に平穏に暮らせていた世界。

 そこに、一つの変化が現われた。


『魔法使い』が誕生したのだ。


 魔法使いの歴史は短い――とはいっても、それはきちんと世界的に認知されてからという意味でだが(魔女狩りなどを考えれば、歴史は古いともいえる)。

 ともあれ、正式に魔法使いというものが世界に認知されたのはおよそ五十年前となる。

 最初は超能力を持つことができる新薬が開発されたなどといわれたのだが、魔法使いが増えるにつれそういったこともいわれなくなった。

 世界は魔法使いの誕生に、「人類の新たな進化だ」「科学への冒涜だ」と注目を集め、ある者は喜び、ある者は否定した。

 変化が起こるときの社会というものは得てしてそういうものだろう。純粋に興味を持ち、良くも悪くも持て囃していった。

 だが、魔法使いが増えるにつれ、社会は楽観的に持て囃すことができなくなっていった。科学が発展し豊かな生活は送っていても、科学と同じようには精神は発展していなかったのだろう。

 例えば、もし外国と同じように銃の所持が許され、簡単に買えるようになったらどうだっただろうか。

 おそらく……いや間違いなく、事故と犯罪と殺人が増えただろう。

 それと同様だった。魔法を持った人間の事故や犯罪が増えていったのだ。


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