④閑話――ツァミーナの夢――
こちらは、聖女セレスティアが魔女の館に突撃してくる前のお話です。
入れる場面に迷ったので、一気に全部ぶっこみます!
ヾ(≧▽≦)ノ<真面目モードでギャグはありません!
――魔女の館――
ツァミーナ・マルヴァは深い闇に沈んでいた。
魔女である彼女に眠りはほとんど必要ない。
それでも、ときおり訪れる眠りは常に『 夢 』と共にあった。
その夜、彼女は”四つの未来”を見た。
【――最初の夢――】
黒雲のように広がる■■■■の影が、天地を覆い尽くしていた。
炎が町を焼き、山が崩れ、海が血に染まる。
ツァミーナの呪文も、エリオットの剣も、セレスティアの祈りも、ことごとく虚しく打ち砕かれた。
最後に残ったのは絶叫と喰らい尽くす闇だけ。
その闇が世界を飲み込む瞬間、ツァミーナは己の声を聞いた。
「――ああ、結局、私はまた何ひとつ救えなかった。」
【――次の夢――】
孤児院の子どもたちが祈りを捧げる礼拝堂に向けて、ツァミーナは両の手を掲げていた。
紫の魔方陣が幾重にも広がり、光と炎が天地を裂く。
その中心で焼き尽くされる子どもたちの影。
恐怖と絶望の泣き声が耳を劈く。
小さな屍が折り重なる礼拝堂の炎の中から現れるのは、両断された■■■■の骸。
勝利――しかしその代償の重さに、ツァミーナの胸は締めつけられる。
そして、エリオットの瞳が彼女を見た。
「師匠・・あなたは、守るべきものを間違えた」
その手にはツァミーナの胸を貫く剣。
【――三つ目の夢――】
澄んだ青空を翔ける白きペガサス。
その背には、エリオットとセレスティアが並んで座っていた。
剣と祈りが共鳴し、黄金の光が大空を駆け抜ける。
二人の力はひとつに溶け合い、やがて■■■■を貫いた。
勇者と聖女を讃える勝利の歓声、祝福の鐘。
ツァミーナは、ただひとりその光景を遠くから見ていた。
紫のローブを風に揺らし、静かに背を向ける。
彼女の存在は、勝利の物語には必要なかった。
【――最後の夢――】
血に濡れた石畳。
エリオットは身を挺して子どもたちの前に立ち、■■■■の爪を受け止めていた。
鎧が砕け、肉が裂け、鮮血が迸る。
それでも彼は剣を振るい、■の片目と片翼を斬り落とす。
「――これで、あとは・・」
その声と共に、彼は膝を折った。
ツァミーナは絶叫をあげ、あらゆる魔力を解き放ち、■■■■を灰へと変えた。
だが勝利の静寂の中、彼女の腕の中でエリオットの心音は二度と戻らなかった。
「――ッ!」
ツァミーナはそこで目を覚ました。
呼吸が荒く、胸が締めつけられる。
白い寝台の上で、彼女はシーツを握りしめていた。
額から首筋まで、冷や汗が滲み、肌に冷たく張り付く。
全ては夢――そう理解しても、心臓の鼓動は早鐘のように収まらない。
「・・どの未来を選んでも、私は・・」
誰もいない部屋で、彼女の呟きは虚空に吸い込まれていった。
それでも彼女は悟っていた。
――いずれ、この夢のいずれかが現実になる。
そしてその時、選ぶのは自分自身だと。
ツァミーナは額の汗を拭い、深く息を吐いた。
夢に過ぎぬとわかっていても、胸を掴む痛みは消えない。
静かに窓を開けると、黎明の光が差し込んだ。
夜と朝の狭間、まだ魔女の館は眠りの中にある。
遠く、細い月だけが薄明に浮かんでいた。
ツァミーナは目を細めた。
この世の何処かにある孤児院――。
笑い声と祈りが絶えぬ、小さな温もりの巣窟。
だが彼女の見た夢のすべてに、必ず孤児たちが巻き込まれていた。
そこに希望があるからこそ、必ず■■■■は狙う。
そして――エリオットも、必ずその戦いに立たされる。
「選択肢などないのかもしれない・・それでも・・」
その呟きに答える者は誰もいない。
だがツァミーナはわかっていた。
――孤児院へ足を運ぶことこそが、見た四つの夢の分岐点であることを。
気怠さの残る身体で、”世界樹の枝で作られた杖”を手に取る。
その動作は、戦場へ赴く兵士のように硬い。
夢の残響のように、子どもたちの無邪気な声が、また遠くから聞こえてきた。
「・・愚かしい。未来を覗けば覗くほど、選択肢は狭まるばかり・・」
薄紫の髪を振る声は低く、しかし揺るぎなかった。
「・・元から”薄紫の魔女”は、嫌われ者の魔女・・」
魔女としての義務ではない。
未来を変えられる可能性が、ほんの僅かにでもあるのなら。
エリオットを、そしてあの子どもたちを、どうにかして――。
「・・子どもたちを絶望に堕とさず、希望も抱かせなければいい・・」
”夢”がいつ訪れるかは、彼女にも判らない。
「・・どうか・・貴方だけは、私の前から消えたりしないで・・」
乱れた髪と重いカラダを引きずりながら、彼の待つ部屋へ向かう。
――いつもの様に優しく髪を梳いて欲しい――
そうすれば、今だけは満たされるのだから。
さて、⑤の本編も進めなきゃ・・(; ・`д・´)φ<ある程度は書けてるんですよ!?←え




