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第3話 映画

 初めに映ったシーンは、ホコリまみれの服を着たシンデレラが2人の義理の姉に馬鹿にされ、掃除や洗濯をするシーンだった。


 シンデレラと義理の2人の姉は、女装した男が演じ、シンデレラが夢見る王子様やシンデレラのお父さんを男装した女が演じていた。シンデレラの物語にお父さんなんか出てこないけど……。前の席の方でめちゃくちゃ盛り上がっていた。

 

「めちゃくちゃ恥ずかしいな」

 

「大輔くん、めちゃくちゃ可愛いね」

 

「女装似合ってるじゃん」

 

「別に嬉しくねぇよ」

 

 このシーンに僕の知っている人は居なかった。僕はどこのシーンで出るんだろう。臆病で陰キャな僕だったら、どうでもいいようなモブキャラに女装しているのだろう。


 次は、魔女とシンデレラの会話とカボチャの馬車のシーンに移った。シンデレラは、少し堅いの良い別の男が演じていた。

 

「絶対、あの筋肉シンデレラじゃねぇだろ」


「なんか気持ち悪いな」

 

「誰だよ、あれ」


「馬鹿みたいだな」


 会場全体が笑いに包まれた。これが、男女逆転シンデレラの面白さなのかもしれない。でも、このシーンでも僕と明美の姿は無かった。それどころか、拓海や桐生君、佐藤さんの姿もなかった。

 

「いよいよ、次だね」

 

 拓海が小声で僕に聞こえるように言った。


 次って……シンデレラのストーリー上、次は王子様との舞踏会。このシンデレラのクライマックスだ。

 

 舞踏会に行くシンデレラは、また別の人に入れ替わっていた。その姿は、1番見覚えのある顔だった。

 

「お前、似合ってるじゃん」


「裕介君可愛いー」

 

「サイコーだな」

 

 周りのみんなが僕に笑いながら言ってきた。周りを見ると、みんなが僕の方を見ていた。なんで、僕がシンデレラに!?絶対主人公なんかに立候補しないと思っていたのに、、。


 でも、僕がシンデレラになった理由はすぐに分かった。舞踏会に行ったシンデレラの目の前に1人のプリンスがやってきた。


『君、可愛いね。僕と一緒に踊らないか?』

 

『はい……』


 男装したプリンスに僕は見惚れてしまった。間違いない。シンデレラの王子様役は明美だ。明美が王子様役に立候補したから、僕もシンデレラになったのかもしれない。

 

「俺ら、全然映ってないな」


「まあモブキャラだからな」

 

 拓海と桐生君が残念そうな顔をしていた。僕達は、同じ班で映画のクライマックスのシーンを撮影したのか。文化祭でやる事がやっと分かった僕に1つの疑問が浮かび上がった。


『そういえば、佐藤さんが来れば、文化祭の3班が揃いますね』


 さっきの拓海の言葉がまた頭に蘇ってきた。僕と明美が同じ班なら、もう来てるのかな。


 でも、来てるなら、同じ班同士同じ席に座るはず……。どういう事だろう。映画のエンディングが流れ始め、大きな拍手が起きた。

 

「めちゃくちゃ面白かったな」


「それな」

 

 みんなが楽しそうに感想を言い合う中、僕は真剣な顔で拓海に言った。

 

「ねえ、拓海、明美はどこにいるの?」

 

「明美?ああ、村上さんの事か……。お前、忘れたのかよ。村上さんは――」

 

「これから、タイムカプセルの中に入っているものを1人ずつ渡していきます」

 

 大事な所が司会のマイクで聞き取れなかった。1人ずつ名前を呼ばれ始め、拓海が司会のところに行ってしまった。明美に何か起きたのかな……。不安な気持ちで頭がいっぱいになった。

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