夜遊の怪談
作り話です。
金曜日、仕事が終わったら土日が休みになる。俺、彼女、彼女の妹、彼女の妹の彼氏、四人がせっかく一緒に休みが取れるから二台のバイクで台北から宜蘭へ北宜公路を走ると決めた。また暑いので夜九時、みんなが支度して俺の住む場所に集まる。確認したら俺のバイクが先行で、彼女の妹が乗るバイクが続くことになった。
ずっと山の中で走るから山や森のほか何も見えないが、バイクで走ると涼しい。そしてこんな時間だと車も少ないから、事故の心配がないと思った。
多分半分くらいの道のりを走ってきたところで、急に霧が濃くてヘッドライトが照らした道しか見えなくなった。
「霧が濃くて危ないじゃない、一度停まってよ」
「そうだね」
彼女が話し掛けて、俺もそう思うから道のわきに寄せて停まっている。彼女の妹のバイクも俺の後ろに停まった。
「何があったか?なぜここで停まる?」
「いや、霧が…?!」
俺は説明しようとして、霧が消えているのに気づいた。彼女も俺の服の袖を引っ張っていて、「これはどういう事?」と俺を見ている。
「なんでもない、行きましょう」
誰も何も言ってない、そのままバイクに乗ってまた走り続ける。
そろそろ北宜公路のスポット、九弯十八拐にくる。と思った瞬間、道の脇に人が立っていた。俺達が接近したらその人は手を挙げて俺達に停まってほしいようだが、彼女が俺の服を引っ張っている。俺もこんな山の中で、こんな遅くに、誰がこんな場所に立つと思って、無視して通った。
そして俺達も無事で九弯十八拐を通って町に到着した、今夜泊まる場所も決定した。夜も遅いから俺達は二つの部屋でそれぞれに支度して寝るとする。
どれくらい寝たのか分からない、彼女が俺を揺らして起こした。
「妹が何かあったようです、見に行こ!」
「何?」
「だから妹が何かに遭ったようだ、早く行きましょう」
「分かった、分かった」
俺は彼女と一緒に隣に寝る彼女の妹の部屋に来てノックをしたが、彼女の妹の彼氏が精一杯の大きな声で話してくる。
「フロントで鍵を取って来い、俺は今手が離せない…」
本当に何かやばい事になっているようだ、俺は走ってフロントへ彼女の妹の部屋の鍵を取りに行った。
「お客さんは北宜公路から来たのですか?」
「そうですが、なにか?」
「これ」
フロントから護身符を出してくれた。
「これを使って、明日はすぐお寺へ行った方がいい…」
俺は鍵と護身符を取ってすぐに戻って、鍵で部屋を開けたら妹の彼氏が妹を押さえて床に横になって、椅子がなぜか窓の隣に倒れていた。俺はこれを見てすぐに妹の彼氏に加勢して妹を押さえる。
「何があった?」
「分からない、大きな音を聞いて起きたら彼女が椅子を取って窓を割るように投げた」
「いったいどうしたの?」
「離せ!」
俺の彼女が妹の彼氏に聞いて妹に問うが、妹は返事してくれたが、しかし、その声はどう聴いても妹の声ではない、むしろあれは男の声だ。
「誰だ!?」
「ははは、妹の命は貰うぞ!」
これを聞いて彼女が泣いている、俺は護身符を持って彼女の妹に着ける。すると、妹がトントンと静かになった。
翌日、俺達四人は近辺の寺へ行って事情を説明したら神に聞いてもらえた。その結果は、神にも完全に助けることが出来ないとのことで護身符だけくれた、護身符を着けたら簡単には憑依されないようだ。
こうなったら休みの遊びどころではなくなった、仕方がなく、また昼のうちに台北へ戻って知り合いの寺へもう一度助けを求める。
台北に戻って荷物を置いたらすぐに寺へ行く。しかし…結果としては同じだ、理由は怨念が深かった、祓うのは不可能だそうだ。幸い、ここはかなり離れた場所だから護身符を身に着けるならもう大丈夫だ、今後はそこに近付かないならもう憑依される心配もないのだ。
まあ、こんな事に遭ったから二度とそこを通ることはないと思う。