第3話(お巡りさん、登場)
小宮山は渋々、エントランスから出て外で待機する。小宮山は廃墟内の雰囲気を存分に楽しみたかったが、ルールでは翔に撃たれた者は廃病院から出ないといけない。最近は廃墟めぐりの仲間も減った。1人じゃ怖いから、ある意味仲間である参加者と一緒に廃墟の雰囲気を味わいたかった。翔は一斉メールで最初の脱落者は小宮山だと通知した。
その時だった。
「キャーーー!」
廃病院構内に響く悲鳴。ヨウコとマチコのコンビが2階に隠れていて、マチコがスマホ片手に外の様子を見に行った時、ヨウコが何者かに刺殺されていた。辺りに広がる血の海。
「ヨウコちゃん! ヨウコちゃん!」
マチコは急いで翔にメールを送る。
【ヨウコが死んでる。もう終わりにして。警察に連絡するよ】
【死人が出た? 冗談じゃないよね?】
マチコは警察に電話しようとした時に廃病院の駐車場にパトカーが来た。
「良かった~…………。お巡りさん! こっちです!」
パーン! 警察官は小宮山の頭を拳銃で撃った。そして、照準はマチコの方へ。ツルッ。パーン! 警察官がマチコを撃とうとした時、血溜まりでマチコは足を滑らせて事なきを得た。この警察官は廃病院に入ってくる。
「グリョ! アヒッ! ガァーー!」
翔は警察官の発砲を6階の窓から見ていた。参加者と田中に一斉メールを送信する。
【イカれた奴が小宮山を殺した。皆、逃げて】
4階の病室にはユウキとマミが隠れていた。ユウキはそのメールを演出だと勘違いした。
「面白くなってきたな」
「もし本当だったらどうするの? 私、怖い」
「すぐに怖いって言う女、嫌い」
「あ、ごめん」
「銃を持ってんのは主催者の翔って奴なんだし。ペイント銃だから死なねーよ」
「……うん」
「よし。取り敢えず移動だ」
「鬼に見付からないかな」
「多少のリスクは仕方ない。それに、俺達は賞金が欲しいんじゃないんだし。雰囲気を楽しもうぜ」
「うん」
ユウキとマミは東棟から西棟へ移動する。足元はそれほど荒れてないから足音も静かだ。その時だった。階段の方から懐中電灯の光が見えた。二人はひそひそ声で話す。
「一旦、戻るぞ」
「待って。近くの病室に隠れよ」
「分かった」
ユウキとマミはドアが開いてた病室に入り、ユウキはゆっくりとドアを閉める。ギギギギ!
「しまった」