第2話 異常事態Ⅱ
沢山の兵士達を前に、まず初めにイデアルが能力で氷の橋を生成する。
その橋に三人で渡り、兵士達の上から突破を試みる。しかし、生成してから直ぐに破壊され、3人は渡っている最中に兵士達が待つ地面へと落下する。
ベルは予想通りと言わんばかりに能力で3人の身体の面積を優に超える程、大きな盾を作り出し、そのまま3人を乗せ落下する。
盾の下にいた兵士達は押しつぶされ倒れ込む。
そんな事はお構いなしに剣で、槍で、斧で、様々な方向から襲い掛かる兵士達。
「うおおおおお!」
ガンデスがそんな兵士達に張り合うようにがむしゃらに兵士の一人を殴りつける。
大きく後ろに吹き飛んだ兵士は後ろにいた兵士達を巻き込みながら壁まで衝突する。
「今だ! 一気に抜けるぞ!」
ガンデスの一撃で空いた空間を利用し、城の一階まで駆け降りる。
幸い兵士達は二階に集中していたのか、一階には二階ほど兵士達が密集していなかった。
「これならなんとか逃げ切れる」
「ああ!」
「ベル、イデアル、急ぐぞ!」
三人は難なく城の一階を抜け、ノースクの城下町まで出る事が出来たベルは、油断することなく、しかし少しだけ余裕を見せる。
だが、村の様子を見てその余裕を一瞬で無くしてしまう。
全ての国民の目が此方を見ていたのだ。
ノースクの兵士だけでなく、ノースクの国民の全てがベル達を見ていた。マーロウやボルネクスと同じ生気を感じれない目でしっかりとベル達を捕えていた。
中には洗濯に使うのであろう物干し竿を構える者、なんの役にも立たないような木の枝まで武器として構えだす子供すらいる。
そんな者たちがじりじりとにじり寄ってきていた。
武器にもならないものを掲げ、それでもベル達を悪だと、敵だと決めつけながらにじり寄ってくる。
その光景におぞましさを感じ、思わず後ずさりする3人。
「なんなんだこれは」
「まるで、俺達が犯罪者の様だ」
「多分もう俺達はノースク国からして犯罪者なんだろう」
各々が口を揃えて言い放つ。
この国はおかしい。決定的に何かがおかしい――。
その可笑しさが何なのかはわからないまま、3人は再び走り出す。
その3人をノースクの人々は怯えながらも、確実にその目に捕える。しかし誰一人3人に襲い掛かろうとはしなかった。
3人がこの異様な光景に恐怖していると共に、ノースクの人々もまた3人に恐怖していたのだ。
結局3人は城下町では何の妨害も無く、ノースク王国から逃げ出す事に成功する。
しかし、身体は無事でも、心には深い傷を負う事となった。
――何も悪い事はしていない筈だ。
そうわかっていても平静を保てない。
3人はノースク王国を抜けてからの数時間、誰一人として口を開こうとはしなかった……。




