6冊め 『小説十八史略』中国史の入門として
[講談社文庫] 著者:陳舜臣
これは面白い。ほんと面白い。中国史に興味がある方なら。
入門書として最適。だって歴史が物語になっているから!
そして、ちゃんとした資料を参考に書きつつ、こんな説やこんな説があるよ、という解説付きなので、知識が偏らなくて良いです。
6巻まであり各500頁くらい。
だけど私が好きなのは1巻。
神話混じりの殷や、『キングダム』でおなじみの秦、などなどが掲載されているから。
惜しむらくは『十八史略』を対象としているため、後代の中国史については触れられておらず南宋くらいまでで終了します。
よって私は中国近代がさっぱり不明です。これが全史網羅しててくれたらなぁ、と何度思ったことか。
そしてリアルに残酷。
籠城とかするでしょ? 食べ物なくなるわけです。そうしたら……親同士が子どもを取り換えて(以下略)。
「なろう」さんの『オーバーロード』も大概残酷描写だけど、史実として一行で端的に書かれていると、逆に強烈でゾッとします。
立ち止まらずに、ふわわ~~と読み流すことが必須です。
収録されている中で特に印象的だったのは、これぞ中国版、"ざまぁ"だなぁと思うエピソード。
いつの時代の、どの国の、どの王様だったか。
嫉妬深い王様が、守りに長けた部下の将軍を嫉みから処刑してしまうんです。
そして敵に攻め込まれ、絶対絶命に陥った時、「〇〇将軍を呼べ」って。あんたが殺したんだ――っ。というお話。
……殺されているので本人による"ざまぁ"ではないのですが、でも何だかこう、心に刺さります。脚色して創作小説の題材にしたい、そんな気持ちにさせられる史実でした。
上記書籍と、まったく時代は違うけれど、中国と言えば中公新書『科挙』や『宦官』が好きです。
科挙では"貢院に出る鬼"。鬼って幽霊のことなんですが。いつか拙作『~世界の民話・伝承集~最奥の森、最果ての海。』でご紹介したいものです。
えっ、求められてない? がぁぁぁん。
まあ何せ中国史には影響されました。東洋史ゼミとかいう進路に進んだのも、このせいですから。




