第二話 彼の事情と私の事情
怒った彼に私が焦っていたら、彼の方が逆に落ち着いたらしい。
とりあえずは事情を説明するために管理人の家に案内することにした。
後は何も出さないのも失礼なので、丁度家にあった、持っている茶葉でも一番高級なものを淹れる。
彼の口に合うかどうかは分からないが、とりあえずは淹れて私は、
「あ、どうぞお茶です」
「ありがとう」
彼にお茶を出した。
そうすると彼は受け取ってくれて飲んでくれる。
小さく美味しいといっている。
それから彼は自分の身の上を話してくれた。
彼の名前は近左基也というそうだ。
どうやら彼は異世界から私によって呼び出されたらしい。
誰かに呼び出されて、呼び出した人物の近くであるここに落ちたそうだ。
そうなるとここ周辺にいるのは私くらいなので……呼び出したのは私だろう。
だがもしかしたなら、別人がいるかもしれない、うん。
そしてしかも彼は異世界に呼び出されたのは五回目だそうだ。
そこで彼が一息つく
「俺が高校受験のために勉強していたら、今回、いきなり呼ばれたからな。集中して勉強していたのに……」
そう暗く彼は呟いてからさらに、
「おかげでこの世界の女神様に苦情を言ったら」
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「わ、ワタシナニモシレマセン。く、苦情は私の世界の呼んだ子に行ってくださーい」
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「といってこの世界に突然放り込まれたからな」
私のあの召喚魔法が?
で、でもそれを言ったらこの人どうなるんだろう?
絶対怒る。
というかこっちの都合で相手の都合を考えずに読んだんだから当然なわけで……。
そこで彼が、
「それで」
「はいいいいい」
私はそんな声をあげる。
すると彼は呆れたように、
「……俺も落ち着いたから、怖がらせて悪かった。それに君が召喚したってわかっているんだ。魔力の特徴で」
「う、うう……はい」
私がそう頷くとそこで彼は微笑んで、
「それに、魔王を倒せとかそういった理由で呼んだんじゃないんだろう?」
と彼は言った。
あまりにも予想外の言葉に私の思考が混乱する。
そもそも魔王というのが今の時代に合わない。
確か、大昔に人類が総力を挙げて倒した伝説上の怪物、魔王であったはずだ。
それを倒すために呼ばれたのでは、とこの人は思ったらしい。
一体どういう人なのだろう、そう私が思っていると彼が私に、
「それで何をして欲しいんだ?」
と聞いてくる。
だが魔王とも戦ったらしいかれであれば、私の願いなどもしかしたなら容易にかなえられるかもしれない。
そう思った私は彼に、
「……実は」
と私は話し出したのだった。