第83話・スニーキングミッション
翌日、ルキアさんにではなくマリアさんから教わった『スピンクス・ファミリー』のアジトへと向かった。
あれだけの事をお願いしておいて、一番重要なアジトの場所を把握してないってルキアさん…、Cランク冒険者としていかがなモノかな。
さて、そのアジトの場所はというと、ヤドラムの街の南東部にあった。
そこは言わずと知れたヤドラムの歓楽街。飲み屋に賭博場、そして風俗店がひしめき合う夜の街だ。
この南東部だけで街の税収の3割を占めており、ここを仕切ることこそがマフィアの命題になっている。
その歓楽街の中にある大きな屋敷が目的のアジトだった。
とりあえず、レーダー機能で確認しながら近づいてみた。
外観は普通の屋敷だ。ただ、レーダー上では屋敷内が確認できない。
他の店やらは内部構造や中にいる人がレーダーで確認できているんだけど、この屋敷だけレーダー上で見ると赤い線で囲われている。
結界かな?一応レーダー機能で鑑定してみた。
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*結界の存在を確認しました。
*結界は設置式・監視型の結界です。
*結界を無効化する場合は本機に吸引し解析して下さい。
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さすがはDELSONさん、優秀です。
ただ、結界を吸引するってどういうことだろう?
俺はとりあえず、物陰に隠れてステルス機能を起動し、結界に近づいた。
レーダーで結界の位置を確認しながら吸引パイプを伸ばしてスイッチON!!
次の瞬間、バホって感じの手ごたえを感じた。掃除機でティッシュペーパーを吸い込んだ感じに似ている。
するといつもの軽い電子音がピロロンと鳴った。
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*結界の吸引を確認しました。
*結界を解析します。・・・・解析が終了しました。
*結界を無効化しますか?・・Y/N
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もちろん、Yesを選択した。これでステルス機能を起動している時は、この結界には引っかかる事はない。
レーダーで再確認してみると屋敷を囲っていた赤い線が緑色に変わっていた。
これで安全って事なんだろうな。安心してアジトに侵入できる。
しかも、屋敷内もレーダーに映るようになっていた。
DELSONさんてば、優秀過ぎるわぁ〜。
では、侵入をしようと思って気が付いた。侵入するには扉を開けないといけない。
人がいるところで扉を開けたら完全に気づかれるだろう。
ステルス機能はこちらを認識し難くするだけで、存在そのものを無くすモノではない。だからと言って扉が開くまで待ってるわけにもいかないし…。
どこかに人のいない侵入口がないかなぁ…と、探すこと数分…。
屋敷の裏手にありました。使用人用の勝手口かな?カギもかかってない。
レーダーで安全を確認しつつ侵入してみた。後は何か証拠になる物を探すだけ。
簡単なミッションなんだけど、さて?どこを探せば良いのやら…。
決定的な証拠なる物は大抵、エライ人が持っているって相場が決まっている。
ただそのエライ人、この場合『スピンクス・ファミリー』のボスって事になるんだけど俺はその人の事を全く知らない。
超有名人らしいが人相もわからない。わかっているのは、口ひげで茶色の髪って事だけだ。一応、ルキアさんに似顔絵を描いてもらったけど画伯級の腕前だったので意味がなかった。マリアさんも同程度という事で描いてもらえなかった。
「とりあえず、二階かな?」
この手のボスは高い所にいる場合が多い。『ナンとかと煙は高い所が好き』とも言うしね。
階段はすぐに見つかった。足音をたてないようにゆっくり登り二階に行く。
二階の廊下にはフカフカの絨毯が敷いてあったので足音の心配はしなくて済みそうだ。とにかく手当たり次第に部屋を覗いてみよう。
三つほど部屋を探ってそれっぽい部屋を引き当てた。手紙やら資料やらが乱雑に散らばっているデカい机に来客用のテーブルにソファー、どこぞの社長室みたいだ。
たぶんこの部屋がボスの仕事部屋なんだろう。
机に散らばる書類を見ていく。ファミリーが経営してる店の売り上げ報告の書類やみかじめ料の明細ばかりで誘拐の証拠になりそうな物は見当たらない。
ハズレを引いたかな…、なんて半ば諦めてた時にそれを見つけた。
封蝋の付いた手紙だ。俺の知らない刻印がしてある。まあ、知ってる刻印はロンダーギヌス辺境伯の刻印のみだけどね。
とにかく、内容を確認してみた。
「こりゃ、かなりヤバいんじゃないの…」
その手紙の内容とは、とある貴族様の家族の誘拐または殺害の命令書だった。
ちょっと前にあった、あの事件の事だ。
「こんなモノ、後生大事に取っておくなよ…」
後で脅迫にでも使おうと思っていたのか?マフィアってのは怖いもの知らずだね。
誘拐事件の証拠とはいかないが、これだけで討伐対象どころか縛り首決定だ。
ついでに、この手紙の送り主も同罪だな。
よし!これで俺の仕事は完了だ。サッサとずらかるとしよう。
ボスの顔は拝めなかったけど、それ以上の収穫はあった。
これでこのマフィアもオシマイだな。
あとの事はギルドの皆さんに任せて、俺はのんびりさせてもらおうっと。




