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第78話・ペナルティが大き過ぎですぅ〜。


ギルマスとの話を済ませた俺は、マリアさんと別れてダンジョンへと向かった。

今回の件で一番迷惑をかけたのはダンジョン関係の人たちだものね。


ダンジョンの管理棟に着くとなぜか連絡がいっていたらしく、ノーベルくんとサリナさんが手ぐすねを引いて俺を待っていた。


「お待ちしておりましたよ、課長ぉ〜」

「待ってたのですよぉ〜〜〜」


お二人さん供、とても良い笑顔です…。でもなぜでしょう?目が笑ってませんよ。

なんかヤバそうだ。必殺の揉み手と愛想笑いで誤魔化そう。


「いやぁ〜なんと申しましょうか…。お二人には大変ご迷惑をおかけしまして…」


「そうですねぇ〜。非常に迷惑をかけられましたぁ」


「そうなのですぅ。ダンジョンに行ったと思ったら5日間の欠勤って…。スンゴく迷惑だったのですぅ」


「あ…あのですねぇ…。こちらといたしましても…そのぉ、なんて言うか…。いろいろありましてですねぇ…」


「お話はギルマスから伺っておりますが、それとこれとは別ですよ…」


「そうなのですぅ。私たちはあれから二人だけでゴミ集めもゴミ撒きもやったんですよぉ。とてもツラく厳しい日々でしたぁ〜」


「いやぁ〜…。それはそれは大変お疲れ様でございました…。これからしばらくはゴミ関係の仕事は俺がやっておきますので、お二人には書類仕事をメインにという事でいかがでしょうかぁ…?」


「それだけじゃ足りないのですぅ。ツラく厳しいお仕事をガンバったんだから、癒しとか労いもないといけないと思うのですぅ」


う〜む…。癒しと労いか…。どうしよう…。こんなド田舎じゃ大したこと出来んゾ。なんて思っていたら、ノーベルくんから提案がされた。


「どうでしょう?課長。ここは我々に豪華ディナーなんて奢ってもらえると今後のやる気に繋がると思うのですが…」


そう来たか。今回の件は豪華な飯で手を打とうと…。

コイツら、たかるの上手ぇ〜な…。

ま、仕方ないか。病欠とは言え、サボっちゃったからなぁ。

たかが、メシで済むならそれでイイかもしれんな。


「うん、そうだね。じゃ、迷惑かけちゃったしお詫びにご飯でも奢るよ」


「さすが課長。話が分かる」

「やったのですぅー。課長に呪いを掛けずに済みましたぁ」


オゥ…。サリナさんてば、メシを奢らなかったら変な呪いを掛けるつもりだったんだねぇ…。危なかった…。


「サリナさん。ちなみにどんな呪いを掛けようと?」


「旅行するたびにぃ奥歯がぁ痛くなる呪いですぅ」


サリナさんは、エヘンと胸を張って自慢げにしていた。

コワい人だわ〜サリナさんて〜。


んじゃ、予約入れておきますねぇ〜ってノーベルくんも行動を開始。

奢られるとなると、迅速だね。ついでにルキアさんとマリアさんの分も追加で予約してもらおう。あの二人にも世話になっちゃったからね。


そんなこんなで部下二人の機嫌をとっていると、ダンジョン管理部長トラス氏と管理課長ダルトン氏が現れた。


「やっと、復活したか…。ちょっと話があるから部屋に来てくれ」


あ…はい。行きますよ。今日は皆さんからお叱りを受ける日ですからね。

ガンバって謝罪いたしますですよ。


「今回の件ではいろいろとギルマスから聞いている。オマエも大変だったな」


部屋に入ってすぐにトラスさんが切り出してきた。


「いえ、ただただ今回の件では、皆さんにはご迷惑をお掛けしてしまい、本当にすみませんでした」


「ま、その迷惑でオマエにはペナルティーを受けてもらう事になった」


「ペナルティーですか…。それは仕方ありませんね…」


そうだろうな…。一応、『課長』なんて役職をもらっておいて、個人的な理由でいきなり5日間も欠勤したらバツがつくのは当たり前だ。


「この件は対外的にオマエさんのドジって事になっているから、少々キツ目の罰になっているぞ」


ま、クビにならないだけマシか…。でもどんな罰だろう?


「三か月間、50パーセントの減俸だ」


ハぅッ…。給料半分って…。これはちょっとキツいわぁ〜。


「そういう事ではオマエの報酬は銀貨3枚という事になった」


は?………給料半分で銀貨3枚?…。って事は、100パーセントもらっても銀貨6枚?…。少な!!元の給料自体が少な過ぎる!!


「元の給料が少ないと思っただろう?でも、仕方ないんだ。この実験的新規事業が軌道に乗るまではオマエさんの労働日数は月に4〜5日だからな。それではまともな給料は出せんよ」


それじゃ『課長』という役職は意味ないのでは?と思ったけど、そこはしがない出稼ぎ冒険者、黙っておくのが賢い選択だろう。


「ま、俺達もペナルティーを受けたんだから、我慢してくれ」


そう言ったのは管理課長のダルトンさんだ。


「お二方もペナルティーですか?」


「ああ二人供、半年間の30パーセント減俸だ」


「マフィアの件ならお二人には責任は無いと思いますが…」


「責任は無くはないんだが、今回の罰は見えない魔法使いインビジブル・マジシャンでの罰だな」


え?なぜ?責任問題になるのかな?


「ここは入場が管理されているダンジョンだ。だから入出者の管理も徹底されている。だが、ゲートの入出データにはヤツが出入りしたらしい痕跡が見当たらない。それはヤツがゲートを無視して自由にダンジョンに出入り出来るって事だ。これはダンジョンの入出管理に穴がある事を意味する。これは重大な事だ。今回の侵入者が見えない魔法使いインビジブル・マジシャンでなかったらと考えると空恐ろしいモノがある」


あぁ〜。そういう事ねぇ〜。仮にマフィアが侵入してたら、悪事やり放題だものなぁ〜。そりゃ、管理責任を問われるわなぁ〜。

なんか、ゴメンなさい。これは俺のせいで受けたとばっちりってヤツだね。


「そのおかげで、俺らも減俸ってわけさ」


管理課長のダルトンさんが「もう、やってられない」って感じで肩をすくめた。


「ま、今回の件でいろいろと見直さないといけない事ができたのは事実だからな。オマエもこれから大変だろうが、お互いに気張っていこうや」


そうダルトンさんに励まされた。

いやぁ〜…。なんでしょう?なんかモヤモヤしますな…。

こちらのとばっちりでペナルティーを受けた人に励まされるって…。


そんなこんなで、俺のお詫び行脚は終了したんだけど…。




その日の夜、部下と行ったお詫びのお食事会での事。


ノーベルくんが予約したお店は、前回ルキアさんと行った高級店だった。

まぁ、それは良しとしょう。


ただね、ノーベルくんのお隣にいるお美しい女性は誰なのかな?

ノーベルくんの彼女?あ、そう…。この際に上司に紹介しておこうと…。

どうも、ノーベルくんの上司ですぅ。

今日は久しぶりにデートに誘われたと?

いえいえ、喜んでいただけて、こちらとしても嬉しいです。


それと…。サリナさんのは?ご両親?

どうも…初めましてぇ。いえいえ、お嬢さんは頑張ってくれてますよ…。

先月、結婚記念日だった?それはそれは、おめでとうございます。

今日は?お嬢さんから結婚記念日のお祝いの代わりですか…。はぁ…そうですか。



でさ、なんで俺が皆さんのおもてなしをしないといけないの?

ついでだからイイじゃんって…。納得できないんだけど…。


ちなみに、今回のお食事代は銀貨35枚になりました。

貯金がすっ飛んだよ…。


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