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第65話・こんなキャラ出ましたけど〜


翌日、翌々日と部屋に籠って考えていた魔導具や携帯食料、それと装備の魔導具化なんかを製作していった。

それでも、ノートにメモっていた物の2割も造っていないが、自分の商売と安全マージンを広げる事が出来たってことでよしとしよう。


で、今日は打ち合わせついでに出来上がった杖を持ってマリアさんに会いにギルドの治療室に来た。

治療室に入るとマリアさんとルキアさんが荷物をまとめているところだった。


「おはようございます。もう退院ですか?」

「おはようございます。お陰様で本日、退院になりました」


マリアさんが元気になって良かった。

しかし、元気なったからと言って安心は出来ない。何せこの人は狙われている。

まさか、すぐにロバートとクエストに出るんじゃないだろうな?


「マリアさんはこの後、どうするんですか?」


と、心配になって聞いてみたらルキアさんがそれに答えてくれた。


「マリアはしばらくの間はリハビリがてらアタシたちと行動する事になってるよ」

「ええ、ルキアさんと一緒に領主様の警護に就く予定になってます」

「そうなんですか?それなら俺ともしばらく一緒の行動ですね」


チラッとルキアさんを見るとウィンクで答えてくれた。

なんだかんだ無理してマリアさんの事をねじ込んだみたいだ。

あからさまな人事だけど、これでロバートが警戒して計画を諦めるなり、逃亡するなりしてくれると楽なんだけなぁ〜。


「それでユウキの方はどうなの?準備は出来てる?」

「そりゃもうバッチリ出来てますよ」


いろいろと想定して準備したからね。そのおかげで貯金はすっからかんだ。


「先にマリアさんの杖を返しておきますね」


そう言って改良した杖をマリアさんに渡し、魔力の個人認証をやってもらった。


「三日でメンテナンスって仕事が早いねぇ〜」


ってルキアさんが褒めてくれた。本当ならメンテナンスだけでも一週間はかかるんだとか…。


「メンテだけじゃないですよ。ちゃんと改造もやってますよ」

「え?改造もやってるの?」

「そりゃ、中の魔石が三つに割れてましたから。改造しないと使えなくなっちゃいますからね」


それを聞いてマリアさんが小さな声で「ごめんなさい…」って謝ってた。

ルキアさんからも「これからは、ちゃんとメンテしなよぉ」って注意を受けてた。


「それで、どんな改造したんですか?前はアイスバレットが3発くらいだったんですけど…」


マリアさんが話を変えるように聞いてきた。ま、命を預ける道具だから性能は気になるところだよね。


「そうですね。前の威力の半分程度のアイスバレットの多重発動か、もしくは威力1.5倍程度の単発が10〜12発ってところかな〜。ちなみに多重発動なら速射もできますよ」


そう適当に説明するとなぜかルキアさんがギョっとした。


「ちょっとアンタ!この杖、軍事兵器に作り変えちゃったの!?」

「え?この程度で軍事兵器って、たかが10発程度撃てるくらいですよ?」


そうなのだ。この杖は10発ほど撃った後はキャパシタが充填できるまでの4〜5時間は単なる杖でしかなくなる。


「あのねぇ。軍隊用の魔導兵器はキャパシタを山ほど積んだり魔法陣をおおきくして弾数や威力を稼いでいるのよ。だから自然と大きな兵器になるの。でも、アンタは人が持ち歩ける大きさで弾数を稼いでしかも連射まで出来る様なモノを造ったって事なのよ。それがどういう事か、わかってるの!?」


なんだかルキアさんが激怒りしてる。でもなんでそんなに兵器に詳しいのかな?もしかして「軍ヲタ」かな?


「えぇ〜。でも造っちゃいましたし、今さら戻すのも出来ませんよ?」

「まったく…。こんなのが国王軍や魔法学会あたりにバレたりしたら、どうなる事やら…。下手したら戦争が起こるかもよ…」


やべぇ。適当に改造したら兵器扱いされちゃったよ。マリアさんは杖を抱えて青い顔してるし…。こうなったらルキアさんの知恵に縋るしかないな。


「ルキアさん、どうしよう?…」

「造っちゃったモノはしょうがないわ。適当に誤魔化しましょう」

「誤魔化すったって、どうすんですか?」

「いい?よく聞いて。この杖はユウキが造ったんじゃない」


???なんか、よくわからん?俺が造ったのに、俺が造ってない?


「これは、どこの誰だかわからない錬金術師が造ったって事にしましょう」


あぁ〜。そういう事か。とりあえずこの杖の事は謎の錬金術師のせいにして、あとは知らぬ存ぜぬを決め込もうって事だね。


「マリアもイイ?貴女はその杖の事をしつこく聞かれた時だけ、仕方なくこの謎の錬金術師の事を言うのよ。わかったわね」


マリアさんは青い顔のままコクコクとうなずいている。でも大丈夫なの?そんな適当で…。そんな不安をルキアさんにぶつけてみた。


「正直、わからないわ。でも今はここら辺りに噂の『見えない魔法使い《インビジブル・マジシャン》』もうろついているから、もう一人くらい謎の人物が増えても誤魔化しが効くと思うの」


それから三人で謎の錬金術師のキャラ付けと口裏合わせをやった。


そのキャラクターは黒いフードを目深に被りほとんど口をきかないので男か女かもわからないって事にした。

まったくの謎キャラの誕生だ。後にノートンさんがこのキャラクターの事を『沈黙の錬金術師《サイレンス・アルケミスト》』と呼ぶようになったのは別の話だ。


ノートンさんってアレだな。ちょっと厨二病が入ってるね。


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