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第06話・訓練な日々のあれやこれや


あれから、五日ほどたった。未だに火熾しの練習中。

いろいろ火熾しの方法も教わった。弓引きとか、火打石とか、竹でやる方法もあるんだね~。知らなかったよ。


ただ、どの方法も3分切れない。だいたい5分台。だから未だに森にも連れていってもらえない。

普通のラノベの主人公なら、今ごろはケモミミの一人も連れてキャッキャウフフしてる頃だぞ……。それに比べて俺ときたら……現実は厳しいなぁ……。


あと、ヘイゼル爺さんの持ってた例の魔石も使わせてもらった。小さな魔石をつまんで俺の魔力を注ぎ小さな炎をイメージすると、ポっと火がついた。

スゴっ!ライターみたい。これは便利だ。


「やり方によっちゃぁ、武器にもなるぞ。」


と、ヘイゼル爺さんが教えてくれたけど、それには魔石の質とか大きさとか使用者の魔力とか条件がいろいろあるんだって。


ヘイゼル爺さんは、俺が火熾しの練習している時にいろんな話をしてくれる。

森に生息している動物の事や魔獣の事、迷子になった時の対応策。

街のギルドの事にダンジョン、この世界の神様の事。


俺は夜、覚えている限りの事をメモに起こし、村長さんちの離れにある膨大な資料と突き合わせて勉強している。

「知識こそ最大の武器」とも言うしねぇ。


そんな火熾しにかかる時間も4分弱になろうかとしているある日のこと……。


「そろそろユウキも森に出てみるか」


やった!!やっと努力が報われる日がきた!!

ガッツポーズが自然に出る。


「森の入口を見に行くだけじゃがな。一応、装備も持ってこい」


正直、火熾しにも飽きてきた頃だ。チラッとでも森に行けるのはありがたい。

あ?!DELSONは離れに置いてきたままだった。取りに帰るのも面倒だから召喚しちゃおう。

考えてみたら、初召喚だけどね。


「DELSON召喚!」


いちいち唱えなくても良いんだけど、なんかカッコ良さそうなんでやってみた。

ズシって感じに背中に重みを感じた。召喚成功!!


「なんじゃ?その派手なのは……?」


ヘイゼル爺さんが変な視線を俺の背中の掃除機に向けてきた。そう言えば、ヘイゼル爺さんは初めて見せるな。


「あっ、これは俺専用の装備です。DELSONって言うんですよ。カッコいいでしょ」


そう言って、背中の真っ赤な掃除機を見せびらかす。

なぜ、真っ赤な掃除機にしたのかというと、理由は簡単だ。赤だと3倍強そうだから!ヲタクとはそういう生き物なんだからしかたないのだ。


「アホか?そんな派手じゃ目立ってしかたないわ!獲物も寄ってこんぞ」


え~……ダメすか?カッコいいと思うんだけどなぁ~


「まぁイイ。そんな事より、ちょっと付いてこい」


そう言ってヘイゼル爺さんはスタスタと歩き出した。

「あの赤いのを何とかせにゃならんなぁ……」って台詞が聞こえたけど、今は気にしない事にしておこう。


村の外に出て小一時間も歩いただろうか。俺たちは森の入り口に着いた。

そこで俺はヘイゼル爺さんに一本の鉈を渡された。


「森に入るなら、ナイフでも良いから必ず持っておけよ」


これはサバイバルの基本なんだって。刃物一つで出来る事の幅が広がるんだとさ。

で、ここで何をやらされるかというと……。


「雨風を凌ぐ為の簡易的な小屋を作ってもらう」


いわゆる、シェルターってヤツね。サバイバルには大まかに優先順位がある。一番は「水」これは常識。次は「シェルター」身の安全を優先する事。その次は「火」これは獣避けって意味もあるけど心の安定って意味もあるらしい。そして最後に「食べ物」。ま、必ずしもこの順番じゃなければいけないって事でもないらしいけどね。


そんなこんなで、ヘイゼル爺さん手ほどきを受けながら簡単なシェルターを作りはじめた。

適当に切った木の枝を細長い三角形に組立、屋根みたいな形に配置して葉っぱで壁を作る簡単なもの。

たしか「A型シェルター」とかいうヤツ。


「うむ。上々な出来じゃな」


お褒めの言葉をいただいた。思った以上に簡単に出来た。

才能ってヤツかなぁ~。なんてニヤついていると、ヘイゼル爺さんが持っていたバックパックを俺に渡してきた。

何が入っているんだか?妙に重い。


「その中には三日分の食料と水が入っている。油断するなよ。森の入り口とは言っても、スライムくらいの魔獣は出てくるからな。じゃ、三日後に迎えに来るから頑張れよ」


え?……

何言ってんすか?この爺さんは?


シュタって感じに手を上げて去っていくヘイゼル爺さん。

残される呆然としている俺。

森の梢では、のどかに小鳥がさえずっていた。


こうして、三日間限定のサバイバル?じゃないな、耐久試験かな?が突如開始された。


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