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第53話・スライムの結果


ロールさんとダルトンさんは、まだDスライムをツンツンして楽しんでます。

その間に残りの2匹をしっかりと観察しましょう。


飼育器のフタを開けてっと……。う~む、こっちにも何だか液体が入ってる。

前のより量が多そうだ。とりあえず、DELSONで吸い出しておこう。


いつものようにピロロンと軽い音して何やら表示されたけど、後で確認しよう。

今、重要なのはスライムの大きさと攻撃性だ。


今、確認してるスライムは『狼タイプの魔獣の肉』を与えたヤツ。大きさは20cmくらいになってる。スライムの成長率は餌の魔獣の強さとか魔力の内包量が関係してるみたいだな。

って事は『イノシシタイプの魔獣』を与えたヤツが一番デカくなってるはずだ。


よし。イノシシタイプの方も確認してみよう。

まずは、液体を回収してっと…。


おお!!予想通り!!コイツが一番デカくなってるぞ!

30cmとはいかないが、25cm以上はあるな。んで、どっちも攻撃性はなくなってる。


やっぱり、ダンジョンのスライムたちは『飢餓状態』だったのが確実みたいだ。

大きくなったスライムを観察しながら、大きさや状態をメモしていく。

重量計とかあれば良かったかな?ギルドが絡めばそこらへんの事はどうにかなるかもしれないな。提案事項に入れておこう。


「こっちのはかなりデカくなってるな」


ダルトンさんが3匹目のスライムを見にやってきた。

ロールさんは相変わらず最初のスライムをツンツンしてます。

やめてあげなさいよ。スライムが嫌がってますよ。


「餌の違いだと思います。さっきのはウサギ肉で、こっちのは狼タイプの魔獣肉、一番デカいのがイノシシタイプの魔獣肉を与えたヤツですよ」

「う~む、すると強い魔獣の肉にするとより大きくなるって事か」

「そういう事になりますね。餌を与えればダンジョン内のスライムの凶暴化はどうにかできるって事ですよ」

「それはわかったが、スライムを餌付けするにはダンジョンは広過ぎるし、これをどうやって儲けに変えるんだ?」


ごもっともです。この世界のギルドは慈善事業じゃない、れっきとした商売だ。

だから儲けを考えなきゃならない。じゃぁ、どうするかってぇ~と…。


「スライムを飼えば良いんじゃないすか?」

「……飼う?」


ダルトンさん、目が点になってます。


「ユウキさん、ユウキさん!それってもしかてスライムを牛や馬みたいに家畜にしようってことですか?」


あら!ロールさん、復活しましたね。その通りですよ。

ダンジョン内でスライムの牧畜をやろうってことです。


「スライムを牧場のような場所で飼えるようになれば、スライムゼリーの安定供給に繋がりますしね」

「そうか。それならわざわざダンジョン全体に餌を撒かなくて良いしな」

「でも、牧場の外にいるスライムたちは餌が無いから凶暴化したままになりませんか?」

「それはたぶん大丈夫だと思いますよ」


ロールさんの不安はもっともだ。ただ俺自身はそれほど心配していない。

『ダンジョン生物説』が正しいのなら、ダンジョンは生命体としては燃費効率が桁外れ良い生き物のはずと俺は考えているからだ。

今までだって、ダンジョン内で確立している生態系の栄養と年間数人の犠牲者の栄養だけで生命維持が出来ていたんだからね。

ダンジョン内でスライム牧場が出来たなら、ダンジョンは牧場からの栄養で自身の生命維持と成長をやっていくはずだ。

そうなれば、ダンジョン内のスライムの生息数も減ると思っている。

まぁ、ダンジョンが大きく成長したらまた栄養不足に陥るかもしれないけど…。


そういうふうに、俺はダルトンさんとロールさんに軽く自説を説明した。


「また『ダンジョン生物説』か……」


ダルトンさんはお気に召さなかったようだ。


「でもぉ、『ダンジョン生物説』とか関係ナシにスライム牧場はやってみる価値はあると私は思うんですけど…」


そう言ったのはロールさんだ。不安材料はあるが実験を次の段階に進めようって事だろう。挑戦的で良い姿勢だと思いますよ。


「そうかもしれんな……。凶暴性が制御できるのは証明されたんだし…」


ダルトンさんは説はどうであれ儲けの可能性が出てきたから、そこらへんは領主様とのお話合いで進めいけば良いって事で大筋で合意してくれた。


「まぁ今、俺達が心配する事は十日後の領主様の視察の事だけどな」


ま、ダルトンさんは面倒くさい事は管理部長のトラスさんに丸投げしちゃおうって思ってるんだろうなぁ。

俺もそう思ってます。


「そうですね。とりあえず1~2匹スライムを捕まえて飼育器に入れておきましょうか」

「そうしよう。で、飼育器は…そうだな、道からそう離れていない場所に設置しておこう」


こうして、俺たちは視察を簡単にするべく動いた。


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