第49話・ダンジョンに行く前に
アドルさんとの予定も決めて、森へとやって来た。
木々の葉も色づいてきて、なかなか綺麗だ。
少しずつではあるけど、この森も冬への準備を始めているらしい。
この時期になってくると、涼しいというより少し肌寒くなってきている。
そろそろ冬支度も考えないといけないなぁ。
それに防具も考えないと、いくらなんでも革の手袋も無いのはマズいしね。
なんてことを考えながらレーダー機能で森の様子を探ってみる。
30cm級以下の小型のスライムが少なくなってきている。
冬眠し始めているのかな。他の動物たちも同様で暖かい場所へと少しずつ移動を開始してるみたいだ。
今日の予定としてはDスライムの餌用に魔獣を数匹と冬場のスライムゼリーの安定供給のためにメートル級のスライムを2匹ほど狩るつもりだ。
他の冒険者からの話では、そろそろ森での狩りが厳しくなるって事だから、出来たら今日の内に狩っておきたい。
レーダーの索敵範囲を広げて小一時間、森を歩き回ってようやく目的のスライムを見つけてサクっと狩った。
いつもより時間かかるなぁ〜。せめてDスライムの餌は確実にゲットしておかないと、餌がなくてダンジョンでの実験を頓挫なんてもったいない。
気合い入れていこうっと。
そういう事なら、なりふり構ってはいられない。DELSONの機能をフル活用して餌をゲットだぜ!
さらに小一時間かけて、メートル級のスライムと餌用の猪の魔獣をサクと狩った。
DELSON様々だな。何の苦労も無く今日の予定を終了できた。
ヘイゼル爺さんが俺に規制を掛けるのもわかるわ。なんの規制もなかったら、たぶん俺は生態系の破壊者になってたかもしれない。
そうなっていたら魔王認定されて討伐対象なってたかもしれないな。
そう考えてみると、アサイ村のみんなに出会えて命拾いしたとも言えるわけで…。
危ないところだった。感謝しかないね、精一杯アサイ村に恩返ししないとな。
さて、昼飯ついでにギルドに戻ろう。この後はロールさんと一緒にダンジョンに行かなきゃならないから、ギルドのカフェスペースでご飯の方が効率的だろう。
そう考えてギルドに行ったら、すでにロールさんが待っていた。
「あ!お待たせさせちゃって、すいません」
「いえいえ、私も今、休憩に入ったところですから…。ユウキさん、お昼はどうするんですか?」
「ここで済ませちゃってからダンジョンに行こうと思ってますけど……。ロールさんも一緒にお昼しませんか?」
「そうですね。じゃ、ご一緒させてもらっちゃおうかな?」
よし!ダンジョンの視察に 託けてランチに誘えたぞ!
こっちは、どこぞのラノベの主人公みたいにモテキャラじゃないからな。
少ないチャンスはモノにしないと、最悪ミイシャ婆さんがメインヒロインになんてなりかねないぞ。それだけ阻止しなければ!!
「それで今日はスライムの様子を見に行くだけなんですか?」
ランチのサンドイッチにかじりつきながらロールさんが質問してくる。
「ええ、今日は様子見と餌やりだけですよ。ただ、なんだか領主様がこの実験に興味を持ってるらしいんですよね」
「あぁそれ、アドルさんから聞きましたよ。ご領主様も好奇心旺盛な人なんですね〜」
「ダンジョンを直接視察に来るっていうなら、何かしら施設の整備とかしなきゃならないんでしょうけど、時間もありませんからね」
「さすがに直接視察は無いと思いますけど、その時はギルドが動きますよ」
「そうなってくれるとありがたいんですけど、何せこの件は俺個人の思い付きでやってますからねぇ〜」
「でも、領主様が絡んだらギルドが動かないわけにはいきませんからねぇ…」
実際問題、領主様が絡んできたらギルド抜きではこの実験は進まなくなってしまうだろうし、そうなるとある程度の成果なり結果なりを出さなければならなくなる。
正直、面倒くさい事になってきたなぁ…なんて気持ちにもなる。
どうせ『ダメ元』でやってることだし、結果が出なくても損はないって感じで気楽にやってたんだけどなぁ……。
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