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第46話・無駄遣い?いえ、先行投資です



さて、今回スライムコアを何故にお友達価格で売ったかというと、趣味のお買い物があるから。

これは無駄遣いじゃない、先行投資だ。

決して工具コレクターの蟲が疼いたわけではない。

いいじゃん、たいして必要がない工具を持ってったてさ……。

工具ってなんかカッコイイじゃん!


というわけで、トッドさんの店で大工用の工具一式と鍛冶用の工具一式をお友達価格で購入させてもらった。

価格は全部で銀貨8枚、ずいぶんと安くしてもらえた。

正直、(かんな)とかヤットコなんてDELSONがあると必要ないんだけど、持ってるだけでテンションが上がるんで購入した。

ちなみに、ドワーフ族やエルフ族が使ってる工具もあるんだとか、これは一流メーカーの工具みたいなものだね。いつかは手に入れよう。




んで、今は魔導具技師のユーノさんの工房にお邪魔している。


魔導具製作にも興味はあったし、どうせなら魔導具製作用の工具もついでに買っちゃおうって事でお邪魔させてもらった。


「ユウキ君も勉強熱心ね。魔導具を作りたいなんて……」

「いやぁ〜。モノ作りが趣味ってだけですよ」


実際、俺は元いた世界でもモノ作りを趣味としていた。ジャンルは問わない。

プラモデルを基本にして木工、陶芸、彫金とチャンスがあれば何でもやっていた。

ま、それで工具コレクションを始めたって事でもあるんだけどね。


「基本的な事は本で勉強してたんでしょ?」

「ええ、ギルドの資料で読んだだけですが……」

「それじゃ、作業場で行程を見た方がユウキ君には早いかもね」

「そうですか?よろしくお願いします」


魔導具工房っていうのは普通、販売を主とする店の部分と製作を主とする作業場が別々になっているんだけど、ユーノさんの工房は店の部分が事務所の様な造りになっていた。

なぜかっていうと、ユーノさんはオーダーメイド専門の魔導具技師だって事。

それだけ彼女が製作する魔導具が優秀で、トッドさんが言うには『ユーノブランド』って銘打って高値で取引されてるって話だ。


「なんか木工の作業場みたいですねぇ」


案内された作業場は何だか木工と彫金の作業場を足して2で割った様な感じの所だった。

工具もほとんどが大工道具と同じだし、違うのは歯科技工士が使うような金属製の工具くらいだった。


「ま、似たようなモノよ。魔導具って木製が多いからね」

「へぇ〜。そうなんですか?家とか店にある魔導具は金属製だったから、金属の取り扱いが多いと思ってた」

「金属製の魔導具って意外に少ないのよ。金属な分、高価にもなるし戦闘関係だと重量がネックになる時もあるしね」

「適当に考えて造っちゃダメって事ですね」

「そうよ。金属部分は必要最低限で如何に軽さと耐久性を兼ね備えた設計にするかが魔導具技師の腕の見せ所よ」


そう言ってユーノさんは作業台に置いてある木の棒を手に取って見せてくれた。


「これは?」

「これはね、さっき言ってた注文の杖よ」


ユーノさんは杖を上から三分の一の所から、パカって感じで開いて中を見せてくれた。

中には素材が違う木製の部品が入っていた。ユーノさんはそれを取り出して見せてくれる。


「この部品はダンジョン産のトレントの枝でできているの。魔力の流れの効率が良い素材だからよく使われる素材ね」

「へぇ〜、導線代わりって感じですか?」

「この部品でいうと、導線というよりは魔力の増強と調整に使ってるわ。導線ならミスリルとかオリハルコンの方が効率が断然良いからね」


そう言ってユーノさんは糸巻きに巻いてある銀色の極細線を見せてくれた。


「これがミスリルの導線よ。オリハルコン製もあるんだけど、こっちの方が手に入り易くてオリハルコンより安価だから導線はミスリルが一般的ね」

「アダマンタイトとかは使わないんですか?」

「アダマンタイトは魔力をほとんど通さないのよね。硬くて重いから剣の (やいば)の部分に使うくらいかなぁ。扱い難い金属だから鍛冶職人くらいし扱えないのよ」


ほぉ〜、勉強になるなぁ。やはり細かい事はプロの手解きを受けるのが一番だ。


「そして、これが魔導具の(かなめ)ね」


次にユーノさんが見せてくれたのは、小さな四角い銀板だった。

1cm角で厚さは3mmくらいのミスリル製の板で表面に魔法陣が施されている。


「魔法陣ですか?」

「そう、この部品はスイッチの機能しかないんだけど、魔法陣を変えたり組み合わせたりする事で魔法の威力が上がったり効果範囲を広げたりといろいろな機能を発揮出来るようになるの」

「ほぉ〜。じゃ、これの良し悪しが魔導具技師の腕前の良し悪しって事ですね」

「そういう事ね。如何に依頼主の意向に沿うようにこの部品を組み合わせるかで魔導具の評価も変わってくるからね」


いわゆる、企業秘密の部分だろう。ユーノさんが一流と言われるのは、この魔法陣の使い方が巧みで独創的だからなんだろうな。


そうして、俺はユーノさんから魔法陣の書き方や注意事項、工具の使い方なんかを教わった。もちろん、工具やいくつかの材料も忘れずに購入した。


「ユウキ君が魔導具を造ったら、私に見せてくれないかな?」

「もちろん。喜んで見せにきますよ。その時は評価の方をお願いしますね」

「良かった。ユウキ君なら何か変わった魔導具を造ってくれそうで、楽しみだわ」


ヤーヴェさんもそうだが、ユーノさんにも変に期待されてしまった。

その期待に応えられるかどうかはわからないが、頑張って造ってみよう。


あ!そうそう。ユーノさんの所での購入費用は銀貨7枚になった。

やべぇ。無駄遣い……いや、先行投資し過ぎたな。

今日はもう少し得意先を巡って稼がなきゃならんなぁ〜。


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