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第45話・営業活動もしなくちゃ



目が覚めた……。お日様はもうすぐてっぺんに差し掛かろうとしている時間。

……やべぇ〜。またやっちまった……。

さすがに寝坊二連続はマズいわなぁ〜


いやぁ〜。魔法操作にしっかりハマっちゃった。

手持ちの魔法をいじくり回した後、もしかしたらと思って『純魔力』を直接操作したら、魔法の自作が出来ちゃってさぁ〜。それがまた面白いんだ。


魔法制作の仕方は簡単だった。どんな感じかと言うと。

『ペインティングソフト』の『色制作』みたいな感じ。


簡単に言うと、4つの属性『地』『水』『火』『風』を『色』として割合を決め、それから『明度』しての残り2つの属性『光』『闇』の割合を決めるとそれに合った魔法が出来上がるわけ。

割合は各々000〜999までの範囲で決められる。当然、割合次第では似たような魔法になったり、魔法にすらならないモノも出来たりもした。

だがしかし!今まで俺が欲して()まなかった『火の魔法』が遂に手に入った事は特筆すべき事柄だ!!


これでさらに念願の金属加工が可能になったわけだ。ま、クリエイト機能に紐付けするための鍛冶道具も必要になったんだけどね。

う〜ん……。金、掛かるなぁ〜。


仕方ない!誰に怒られる訳ではないが、二日連続のおサボりは良くない。

少々遅めの出勤だけど、仕事を開始しますかねぇ〜。



と、いうわけで本日は買い物ついでに普段やってる「営業」&「得意先回り」をやって稼いでいこう。


最初に行くのは、アサイ村でお世話になったトッドさんのお店。

流石にアサイ村の学校計画に絡んでるだけあって、そこそこ大きなお店だ。

だけど、そこは田舎のお店なんで品揃えは「何でも屋」のレベル。

鍋釜からポーションまで何でも売ってる。売ってないのは食料品くらいかな。

俺はスライムゼリーを定期的に卸してる。だからもう顔馴染みなんだよね。


「まいど〜。スライム屋で〜す」

「おぉ、ユウキ君か。よく来たな」


普段は店長さんが店番をしてるんだが、今日はトッドさんが店番をしていた。いつもは仕入れやら行商でいないのに珍しい。


「あれ?トッドさん今日は店番ですか?珍しいですね?」

「まぁ、たまには店に出て商品の売れ筋とか見ないとならんからね」


流石はヤドラムで名の知れた商人だ。データのみに拘らず肌でお客の好みを感じ取ろうとは、見習うべきだな。


「私の師匠の教えでね。『売上の資料だけを見るな!お客を見ろ!』ってよく怒られたものだよ」

「商売に厳しい人だったんですね、その師匠って方は……」

「ああ、厳しくも優しいお人でね。5年ほど前に店を息子さんに譲って今は引退なさっているとか言ってたかな?その息子さんもなかなか手堅い商売をする人でね。懇意にしてもらってるよ」


5年前に引退?もしかてヤーヴェさんがトッドさんの師匠なのかな?

まぁいいや。こっちは商売で来たんだしね。


「今日はスライムゼリーのご入用はありますか?」

「あぁ、それならグルアに聞いてもらった方が良いかな。奥にいるからそっちで頼むよ」


そう言われて、俺は店の奥にある調剤室に向かった。

グルアさんっていうのはトッドさんの所で働く専属の薬師で知識が豊富で製薬技術もかなりの腕前の持ち主だ。ただ、見た目はガチムチで頬に大きな傷がある髭面のおっさんだからベテランの戦士にしか見えないんだけどね……。


「ち〜っす!スライム屋で〜す!グルアさんいますか〜?」

「ユウキか?!ちょうどいいところに来た!こっちこっち!」


グルアさんは調剤室ではなく、隣の休憩室にいた。扉からゴツい手をひらひらさせて呼んでいる。

休憩室に入ると、グルアさんと一緒に魔導具技師のユーノさんが一緒にお茶をしていた。

ユーノさんは近くで魔導具屋を営んでいる女性だ。スレンダー美人で魔導具製作では優秀な人なんだけど、生活能力が著しく低いんでそっち方面はグルアさんの奥さんが面倒をみてるんだって。


「あ!どうもユーノさん。ちゃんとご飯、食べてます?」

「ええ大丈夫ですよ。生活面ではグルア家のみなさんにお世話になってますから」


これだけ美人なんだし、ちょっと頑張れば生活面の面倒をみてくれる男がわんさかできそうなんだけど、浮いた話が一つも無いのが不思議だ。


「んで、グルアさん。スライムゼリーいかがですか?」

「おう。いつも通りに5本頼むわ。容器はそっちに置いてあるから」

「了解です」


俺はいつものように野球場のビール売りみたいな感じで、容器にゼリーを注ぎ込んでいった。


「検査はしないんですか?」

「ああ、後でやるよ。高品質なのはわかっているが一応、決まりだからな」


信用されてはいるものの、トッド商店は独自の検査基準があって品質を厳しくチェックしている。

絶対の品質保証が店の信用に繋がるってトッドさんが言ってた。


「それで、ユウキに相談があるんだがちょっと良いか?」

「ええ。構いませんよ。なんです?その相談って」

「ああ、ユーノが魔導具の事でね」

「魔導具ですか?俺は専門家の相談に乗れるほど勉強してませんよ」


そう言うとユーノさんが大丈夫だと俺に相談し始めた。


「大丈夫よ。魔導具自体の事じゃなくて、材料の事なのよ」

「材料ですか?」

「そう。実は回復系の魔導具、というか杖の製作依頼があったんだけど、スライムコアがなかなか手に入り難くってね。グルアさんに頼んでみたんだけど……」


「うちにもスライムコアの在庫はいくつかあるんだが、どれも古くてな。品質がいまいち良くないんだ。それでユウキならと思ってな」

「ああ、それなら在庫ありますよ。どれくらいのが必要ですか?」


「あるの?!良かったぁ〜。じゃ出来たら30cm級のを持ってるだけ売ってちょうだい」

「30cm級なら8個ありますよ。それで良いですか?」


そう言って、俺はバラバラとスライムコアを並べた。

それを見ていたユーノさんもグルアさんも、なぜか驚いている。


「え?8個も?それに何この傷一つ無い高品質は?」

「あぁ。それですか?俺の装備はスライム特化みたいなものですからね。それが普通なんですよ。あと30cm級はそれが最後ですからね」

「そうだよねぇ。流石にスライムコアは採取し難いからね」

「そうなんですよ。俺はメートル級のスライムしか狩っちゃダメってお達しがでてるんでね。30cm級はもう手に入らないんですよ」

「は?何それ?狩れないんじゃないの?」

「ええ。俺の師匠から狩猟を禁止されてるんです。だから在庫にある以外はメートル級のみになります」

「へぇ〜そうなんだぁ〜。なんか思った以上にスゴイんだね。ユウキ君て……」

「大したことないですよ。スライムに関してだけですから。で、コアはいくつご入用ですか?」


長々と話ていると余計な事までしゃべっちゃいそうだ。

適当に胡麻化して、さっさと本題の商売の話に変えよう。


そんなわけで、ユーノさんは2個、グルアさんは3個のスライムコアを買ってくれた。売上はゼリー代も含めて銀貨20枚になった。

本当はもっと高く買い取ってもらえたんだけど、今回はお友達価格って事で安くしてあげた。それでも銀貨20枚、約20万円だ。いい稼ぎになったなぁ〜。


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