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第43話・DELSONよ!お前か?!


一気に上がったハードル。呪文の詠唱……。

この期に及んで厨ニ病になれ!と、この世界は俺に試練を与えてきた。


いやぁ〜ちょっと待ってくださいよ。それは勘弁してほしいわぁ。

だってさぁ、恥ずかしいもん。


そりゃ、こっちの世界じゃ普通でも、俺自身は転移して来たあっち側の人だからさぁ。やっぱり恥ずかしい訳よ。


元いた世界じゃ、魔法の呪文を唱えるのって、せいぜい幼児くらいまでだよ。

まぁ、たま〜に痛いヲタクがやってたけどさぁ〜

俺だってヲタクだったりしたけど、一応は理性あるヲタクだったわけでぇ……。

今さら厨ニ病になれるわけがない。

そこらへんの所を何とか譲歩できないもんかなぁ〜。


「呪文って省略出来ないですか?」

「無詠唱って事ですか?出来なくはないですけど、無詠唱が出来たらそれこそ国王軍の魔法兵部隊に抜擢されるレベルですよ」

「え?そうなんですか?でも、冒険者のみなさんは戦闘時に無詠唱で魔法使ってますよね?」

「それはですね。呪文詠唱の時間稼ぎに魔導具やの杖を使ってるんですよ。魔導具や杖なら付随してる魔石経由ですから呪文の詠唱は必要はないですしね」

「そうなんですか。知らなかったなぁ〜」

「だから魔法使いの人たちは魔導具や杖に装備費用が掛かるんで、認定を取って高額報酬のクエストを受け易くするんですよ」

「なるほどねぇ〜。勉強になりました。じゃ、俺は呪文を覚えないといけないってことですね」

「そういう事になりますね。じゃぁ今回は簡単な着火(イグニッション)の呪文を覚えてみましょうか」

「はい。お願いします」


恥ずかしいが仕方ないか……。別に戦闘時に魔法の本格使用をする訳じゃないし、魔法の使い方さえ理解出来ればそれで良いんだからね。

今回だけは恥ずかしさを押し殺して頑張りましょうかね。


「呪文は短いですし、簡単ですよ。私の後に続いて詠唱してください」

「あ!ちょっと待ってください。メモりますから……。じゃ先生、お願いします」


そう言って、いつものメモを出して構えると、ロール先生の詠唱が始まった。


「世界を司る諸元の(ことわり)よ」


「我が右手に集い」


「小さき炎に為りて、その力を示せ」


着火(イグニッション)


う〜ん……。思ってた以上に簡単だ。しかも、これくらいなら恥ずかしさも少しで済みそうだ。


それにこの呪文は三節詩のパターンだ。

最初の『世界を司る諸元の(ことわり)よ』は意識の集中の切っ掛け。

これで体内の魔力を丹田に集めると思われる。


次の『我が右手に集い』が魔法を発動させる場所の選定だ。

この節文で集まった魔力を移動させる。この呪文の場合は『右手』となる。


次の『小さき炎に為りて、その力を示せ』はイメージの固定化だな。

これで、発動する魔法を『炎』や『水』『風』にするって感じだろう。


そして最後の呪文、これは発動の切っ掛けだな。

イメージの固定化も絡んでるんだろうから、魔法の名前も大事なんだろう。


うむ。大体掴んだ。ざっとだけど、理論化もできた。当たってるかどうかはわからんけどね。

正解なら、無詠唱もできそうだ。


「よし!覚えました。これならいけそうです」

「そうですか。じゃ早速、試してみましょう」


そして俺は意識を集中させ、魔力を集め練っていく。

今回の呪文はかなり短い、初心者向けの呪文だ。

これなら、魔力の集中も短時間で済む。

後はさらっと詠唱して、魔法を発動させるだけの事だ。

俺は集中した魔力を右手にもっていき、詠唱を始めた。


「世界を司る諸元の(ことわり)よ」


「我が右手に集い」


「小さき炎にな……?」


詠唱が最終段階に入ったところでそれが起こった。


右手に集まっていた魔力が見る間に消えていく。

なんだ?なにが起こった?


「え?なに?どうしたんですか?」


ロールさんもわかっていないようだ。


「えと……。魔力が消えました……?」


そう魔力が消えた。俺の集中が切れて散逸したわけじゃない。

ただ魔力が消えたのだ。


「どうしたんでしょうか?」

「私にもわかりません。いったい何がなんだか?」


よくわからない事が起きたのは間違えないが、ただこれで済ませたらいけない気がする。


もう一度やり直してみよう。何か原因があるはずだ。

俺は軽く意識を集中して魔力を右手に集めてみた。すると……。

集まったそばから魔力が消えていっていく。散逸してるんじゃない。どこかに消えていく感じだ。いったいどこへ消えていくんだ?


右手に消えていく魔力を感じながら周囲を観察してみる。

微かだが何か聞こえる……。なんだろう?聞き覚えがある様な無い様な……。

これは……。モーターの音?DELSONか?


そう思って置いてあったDELSONの方を見ると、何故かホルスターに仕舞っておいた吸引パイプがこちらの方に向いている。


まさか?お前か?


そう思って俺はジッとDELSONを見ていると……。

スッと目を逸らす様にDELSONの吸引パイプが動いた。

しかも何か気まずそうに……。


やっぱりお前か。それでいつ頃からお前さんは意識みたいのを持ち始めたんだ?

てか、お前はそんなに俺に魔法を使わせたくないのか?


俺はDELSONに近づいてストレージの内容を確認してみた。


「純魔力 34」


やっぱりだった。いつもの通り単位はわからんがDELSONは俺の魔力を吸っていた。

ま、これはこれで保存してある魔法のパワーアップに使えたりするんで、ある意味ラッキーだったりはするんだが……。


そしてもう一つある事がハッキリした。

それは、俺自身が魔法を使えない単なる魔力の保存タンクだって事だ。


薄々はわかってたけどねぇ〜


異世界に来て魔法が使えないって楽しみ半減だよ……。




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