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第42話・魔法を使ってみよう



さて、『属性』云々でややこしい事になってはいるが、そんな事はスっ飛ばしてロールさんの個人授業を受けよう。


『個人授業』と聞くとなんかムフフで魅惑的な言葉に聞こえるが、授業を行う場所はギルドの裏庭にある訓練場だ。個室でいかがわしい授業を…。なんて事を考えちゃいけないのだ。


で、この訓練場、普通のファンタジーならお約束通り無料の施設のはずなんだけど、ここは守銭奴ギルド、一区画一時間に付き銅貨10枚〜20枚程度の使用料となっている。

ま、この施設もダンジョンと同様に複数区画やら長時間やら人数等で割引が適用されるんだとか……。


んで、今回の個人授業ではロールさんが職員優待を使ってくれたんで、一区画一時間分を無料にしてくれた。

ロールさん、いろいろとありがとう。今度、飯でも奢りますね。


「ちなみになんですけど、実際に講習を受けるとしたら料金はいかほどで?」

「料金は銀貨2枚になります。講習内容は座学に2日、実習に1日ですね」


うわ!高ぁ〜……。魔法の勉強って思ってた以上に金が掛かるのねぇ〜。


「講習後にペーパーテストと魔法の実技試験もありますよ。それに合格すると魔法学会の認定がもらえるんです」

「認定?ですか」

「はい。魔法使いの認定です。それがあると魔法の使用頻度の高いクエストをギルドから優先的に紹介されるようになります」


なんか資格試験みたいなモノなのかな。


「さっき言ってた『問題』は私の個人授業では『認定』があげられないって事なんです」


そういう事ならこちらとしては何の問題も無い。別に認定が欲しいわけじゃないし、魔法の出し方が知りたいだけだ。


「それなら大丈夫ですよ。俺は魔法が使いたいだけですから」

「良いんですか?『魔法認定』のクエストって高額報酬が多いんですよ」

「構いませんよ。俺は出稼ぎですからね、街クエストの方が合ってますから……」


今の俺にとって重要なのは魔法を使える様になる事。高額報酬は魅力的だが、クエストの危険度が上昇する様なことは望んじゃいない。

安全第一!『いのちだいじに』が俺のモットーだ。


「それじゃ、時間がもったいないですし始めますか!」


そうロールさんが宣言して授業が開始された。

……あ!そうだ!授業の邪魔にならないようにDELSONはちょっと横に置いておかないとね。


「ユウキさんには座学の必要は無いですから、サックっと実技からいきますね」

「ですね。理論とかやると変な感じになっちゃいそうですしねぇ」


というわけで、サッサと始めしょうか。


「魔法はイメージが重要です。これがしかっり出来ていないと威力が低かったり魔法が発動しなかったりしますから気を付けてくださいね」

「はい。先生!がんばってイメージします!」


イメージ!魔法の基本だね。ラノベでも科学知識に裏打ちされたイメージで主人公が高出力の魔法を打つってのは定番だ。


「じゃ、一番イメージし易い『火』の魔法をやってみましょう」

「はい。了解しました」


ピシッと敬礼して、ロール先生の指示を待つ。


「では、始めに魔力制御のコツを教えますね。お臍の辺りに意識を集中してください」


所謂、『丹田』ってヤツね。これも基本だね。大丈夫!『丹田呼吸法』って健康法を田舎の爺ちゃんに教わった事あるから意識を集中させるくらいは完璧にできる。


呼吸を整え丹田に意識を集中する。

呼吸のやり方はゆっくりと10数えながら息を吸い、息を止めてゆっくり10数える。

そして、ゆっくり10数えながら息を吐いて、息を止めてゆっくり10数える。

この繰り返しだ。かなりキツいので慣れない内は秒数を短めにすると良い。

下手をすれば、失神するから要注意だ。

ちなみに俺は初日から無茶して失神して、爺ちゃんにしこたま怒られた。

でも、そんな出来事も今は良い思い出だ。


意識が集中出来てくると、身体の中のエネルギー?というか、魔力?というか、そんな感じのモノが丹田に集まってくるのを感じた。

俺はさらに集中して、自分の身体と周囲の空間の境界線を消していく。

世界と一体化する感じだ。

すると、自分の周囲の空間からも魔力が集まってくる感じがした。

……良い感じだ。なんだか柔らかな暖かさに包まれた感じですごく心地良い。

そして、集まってきた魔力を練り上げていく。


「ユウキさん?何かスゴイ量の魔力集めてませんか?無理しないで下さいよ」


心配してロールさんが注意を促してくれた。


「大丈夫。いけます!」

「じゃ、集まった魔力をゆっくりと上昇さて、(てのひら)に持っていってください」


俺は丹田に集まった魔力の塊に意識を集中させて、ゆっくりと身体の中を上昇させていく。

ゆっくりと、丹田から腹部へ、腹部から胸部へ。

胸部からは右腕・左腕・頭部の三つの経路に別れるんだけど、今回はロールさんの指示に従って右腕に魔力を持っていく。

ゆっくりとだが確実に(てのひら)に魔力が集まってくる。


そして、ロールさんから次の指示が発せられた。いよいよ念願の魔法の発動だ。


「魔力が集まったところで、呪文の詠唱をしてください!!」


!!!?。へ?……詠唱?魔法って呪文の詠唱しなきゃダメなの?

てか、魔法の呪文、知らないんですけど!!


ここで俺の意識の集中が途切れ、集まった魔力が散逸してしまった。


「あれ?どうしたんですか?呪文の詠唱しないんですか?」

「……あのぉ〜呪文……。知らないんですけど……」

「え?マジですか?魔法の勉強してませんでしたっけ?」

「マジですよ。魔法理論の勉強はしてましたが、呪文の勉強はしてません」


どうやら魔法は呪文の詠唱をしないと、発動しないらしい……。

マジかぁ〜異世界じゃ厨ニ病を発病させないと魔法はできないと……。


一気にハードル上がったなぁ〜。


いい大人が呪文の詠唱って……。恥ずかし過ぎてキツいわぁ〜。



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