第40話・適性検査を受けよう
翌日、目が覚めたら昼を過ぎていた。
ヤーヴェさんからもらったポーション造りの本を軽い気持ちで読み始めたら、妙にハマっちゃって寝るのが遅くなった。
久々の寝坊……。とは言え誰が怒るわけでもなく元居た世界より罪悪感が無いのが異世界の良いところ。
さて、昼飯がてら行動開始しますかねぇ~。
しかし中途半端な時間、今から森に入るのは遅すぎるし、だからと言ってダンジョンに行くのは面倒だし……。
ならば、ロールさんの言ってた魔法の適性検査でも受けてみようかね。
そう考えて、途中で買った串焼きを頬張りつつギルドに向かった。
昼過ぎ、それはギルドにとっては一番ヒマな時間帯だ。
この時間を利用して職員たちは昼食をとったり、書類仕事を片付けたりと夕方の忙しくなる時間帯に向けて準備をしている。
ギルドに入ると受付でヒマそうにしているロールさんと目が合った。
「こんにちは。今日はごゆっくりなんですね」
「いやぁ~。今日は寝坊しちゃいましてねぇ~」
「お疲れなんじゃないですか?あまり無理しないで下さいね」
うわぁ~ロールさんてば優しい。惚れてまうやろう~。
「で?今日はこれからクエストを受けるんですか?」
「いいえ。流石にこの時間じゃ遅いですからね。前にロールさんが言ってた魔法の適性検査でも受けられればって思ってるんですけど……。今からでも大丈夫ですか?」
「はい。適性検査は魔導具化されていますから、いつでも大丈夫ですよ。あちらの測定器で出来ますから」
ロールさんが指し示す方を見ると水晶玉みたいのが乗ってる魔導具があって、看板には『魔法適性検査機』と書いてあった。
「使い方をご案内しますから、一緒にいきましょう」
そう言うと、ロールさんが受付から出てきて魔導具まで一緒に来てくれた。
「まずは『魔力測定』からです。これはユウキさんが内包している魔力の量を測定します。測定は簡単ですから、やってみましょうか」
「はい。よろしくお願いします」
「では、水晶玉に手を置いてください。そいて『赤い光』が現れたら集中して魔力を流し込んでください」
俺は言われた通りに水晶玉に手を置いて集中する。そして魔力を流し込み……。
……って、どうすれば魔力を流し込めるんだ?大体、自分の魔力なんか感じた事がないからわからんぞ。
「……あの~。どうやっら魔力って出るんでしょうか?」
「あ!そうか!ユウキさん、魔法は魔石頼りだって言ってましたものね。魔法を使った事がないんじゃ、魔力制御も出来なくて当たり前か!」
一応は『DELSON召喚』の魔法は使った事があるんだけど、魔力を制御したって感覚がないから魔力の出し方なんてわからない。
「じゃ、あれを使いましょう。……よいしょっと……」
ロールさんがガサゴソと魔導具からケーブルを出して俺の腕に巻き付けた。
何だか血圧を計るみたいな感じだ。
「これで魔力を流し込む必要は無くなりましたから、もう一度同じ様にお願いします」
「はい。了解しました」
もう一度、水晶玉に手を付けてしばし待つ……。
……?。なんの反応も無い。どうした?故障か?
「……。何も反応しませんね?」
「あれ~?どうしたんだろう?故障かな~?」
そう言ってロールさんが計測器をバンバン叩いた。
あぁ~。こっちの世界も故障した機械は叩くのねぇ~。
でも、ロールさん。精密機器は叩くと余計に壊れちゃいますよ。
そう思いながら俺もどこかに不具合がないか魔導具を覗き込むと、どこかで見たようなパーツを見つけた。
縦長の金属パーツに縦長の穴が開いている、そのパーツには「コイン投入口」と書いてあった。
「あの……。ロールさん……。これ……」
「あ……。えっとぉ~……。銅貨5枚になります!」
……。やっぱり無料じゃなかったんですね~。しかもそこそこ高いですよ。
って!儲けてやがんな!このギルド!!!




