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第32話・スライムを捕まえよう



もらった小冊子をペラペラ捲りながらダンジョンの入り口に向かう。

入り口の改札ゲートの横に発券機みたいな魔導具があった。

まさに『駅』って感じ……。


発券機にギルドスティックを差し込むと画面代わりの水晶玉に名前とランク、それに推奨階層が表示された。

それから「探索日数」を登録するボタンを押す。

とりあえず、今回は最短の『一日』にした。料金は銅貨5枚。

料金表によれば、日数やパーティーの人数なんかでいろいろと割引が適用されるんだとさ。ギルドも細かく稼いでるな〜。


さて、入場料も支払ったし入るとしますか。

入場ゲートの差し込み口にスティックを差し込むとポンとアラームが鳴ってゲートが開いた。


うわ〜……。まんま『駅』じゃん。なんか地下鉄の駅って感じ。


ゲートの向こうには、大き目の洞窟はあった。ただ普通の洞窟じゃなく、壁面が樹木の様な装飾になっている。これは周囲の環境で変化するらしく、森の中のダンジョンは森の様に山岳地のダンジョンは岩肌状になっているんだとか。

俺の考えでは、これは周囲の動物を警戒されないように擬態しているんだと思う。

そうじゃないと、餌になる動物を誘い込めないものね。


洞窟はなだらかな下り坂になっていて、しかも明るい。外と同じ明るさだった。

のんびりと歩いて第一階層に入った。


小冊子の地図によると、第一階層と第二階層は『森と平原』の階層になっていて、冬場でも暖かく昔は街の猟師たちの冬場の狩猟場だった。

でも今じゃ、スルーされるだけの単なる通り道、何せ冒険者が欲しがるようなお宝も出ないし、次の階層に行くための下り坂も200メートルと離れていない場所にあるので、なおさらだ。

直径10キロほどの単に広いだけの階層に成り下がってしまったって事だろう。


第一階層は閑散としていて、人通りがほとんどなかった。ほんの数組のパーティーが下で手に入れたであろう素材や魔獣を抱えて出口に向かっているだけだった。


俺は道を外れ、地図を頼りに平原を進んでいった。

しばらく行くと、ウサギやそれを狙うキツネなんかがちらほらと見受けられた。

たぶん、このウサギやキツネは過去に迷い込んだヤツが繁殖した奴らだろう。


ダンジョン内で生態系を作り上げて、自給自足か……。効率的かもしれないな。


ただ、ダンジョン自体が消化吸収するんじゃ、これだけの長期間の繁殖はあり得ないはずだから、それを助けるモノが必要だ。

それが「スライム」って考えているんだけども……。

さっき、レーダーでスライムを検索にかけたら「普通のスライム」と「ダンジョン産のスライム」の二種類がいた。


たぶん、ダンジョン産のスライムが消化吸収を助けてる「ビフィズス菌」的なヤツなんだろうな。

今回の実験対象はダンジョン産のスライム(めんどくさいから『Dスライム』って呼ぶ事にする)にしよう。

さて、まずはDスライムの捕獲をしないとね。


んで、捕獲の方法なんだけど、いろいろと資料を当たってみたんだけどこれが載ってないんだよねぇ〜。

まあ、ザコ中のザコなんだから捕まえようとか飼おうとか考える人はいなかったんだろうね。

でも、寄せ付けない方法は知っている。実はアサイ村でもやっている方法で、村の中や人家に入り込んだりしないように対策してるんだよね。


今回はこれを利用して捕獲&飼育をしようと思う。方法は簡単、『ニガウ草』っていう見た目がタンポポに似ている草がある。

この草は止血剤の材料になる薬草なんだけど、スライムはなぜかこの『ニガウ草』を嫌うんだよね。近寄りもしない。だから、村の周囲や人家にはこの草を植えてスライム除けに利用している。

森の中でキャンプを張る時なんかにも使うんだよ。寝てる時にスライムに襲われちゃ笑い話にもならないからね。


んじゃ、捕獲に移ろう。まず用意する物は飼育用に入れ物、入れ物の口の周りには『ニガウ草』をくっつけてスライムが逃げられない様にしておこう。

それと入れ物のフタも『ニガウ草』で覆っておく事にしよう。そしてスライム誘導用に棒の先に『ニガウ草』を付けた箒とおびき寄せる為の餌で準備完了。


とりあえず、適当に肉を撒いて待機しよう。このダンジョンのスライムは飢餓状態だからすぐに餌に喰いつくはず……。


……と、五分も待たずにスライムたちがウニウニと集まってきた。

どれも10cmも無い小さいヤツばかりだ。我先にと餌に群がってくる。


こりゃあ、確実に飢餓状態だね。


それから、ダンジョン産のヤツだけを「検索」で探し出して、三匹ほど箒でちょいちょいと選別して捕獲器に誘導した。

動きが遅い分、思ったより簡単だった。


んで、三匹のスライムを分けてそれぞれの飼育器に入れてと……、これで終了〜。


餌は『ウサギ肉』と『狼タイプの魔獣肉』と『イノシシタイプの魔獣肉』の三種類を用意してみた。

餌の違いで成長の違いが出るのか?って実験も兼ねてね。


あとは餌を入れて、たまに様子を見に来ればOKかな。



うむ、思ったより早めに事が済んだぞ。

まだ時間もあることだし、ちょっとダンジョンの探検でもしてから帰ろう〜。


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