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第30話・考えたら初の対人戦じゃないの


さて、手助けするならのんびりしてはいられない。サクサク片付けていきましょうかね。


で、戦況はというと、ボロボロになったタンク役の騎士さんたちがどうにかオークの攻撃を抑え、そこに魔力切れ寸前でヘロっている魔法使いが目潰しのファイアボールを放ち、こちらもボロボロのマッチョマンが渾身の一撃をオークの脛に叩き込んで体勢を崩したところに、赤い革の鎧のお姉ちゃんがオークの首に止めの一撃を入れて、どうにか対オーク戦が終了した。


そこに現れ出でたるは盗賊さま御一行、何やらニヤついた笑みを浮かべてリーダーらしき人物がしゃべっている。

ん〜……?。何しゃべってるんだろう?スコープ機能に盗聴機能も付けておけばよかった。単独でもスパイ機能としても使えそうだし、改造の予定に入れておこう。


機能の改造はひとまず置いておいて、お貴族様の方はどうなってるかというと、冒険者も騎士様たちも横倒しに馬車を守る陣形をとって、じりじりと後退している。

盗賊たちが姿を見せているのは、剣を持ってる7人だけだ。残りは隠れて不意打ちって手筈なんだろう。そこそこ考えてるようだ。


じゃ、俺はその隠れている3人を片付けましょうかね。

木の陰に2人のシーフ、少し離れて草むらに魔法使いが隠れている。

DELSONを構えて狙いを付けると、3人に四角いマークが表示されマークの色が赤く変わる。これでターゲットはロックオン状態になった。

あとは撃つだけ。今回は弾種を「迫撃砲弾型」にした口径15mmほどのヤツだ。それを秒速3000mで撃ってみよう。


3連射してみた。パスパスパスっと軽い発射音、これなら少し離れたら発射音すら聞こえないだろう。

問題は威力の方だった。想像では弾が腕とかに命中して戦えない程度になると思ってたんだけど、そうじゃなかった。

考えたら簡単なことだ。戦闘機の機銃だって12.7mmあるんだしね。それより大きな弾が当たれば人間なんて怪我じゃ済まない。

3人とも叫び声すらない。だって上半身がふっとんじゃったんだもの。


弾丸の質量と速度をかけるとエネルギーが解るんだっけか?すっかり忘れてましたよ。とにかく威力が強すぎた。


これに驚いたのは盗賊たちだ、何せ隠し玉の3人が突然に上半身がなくなった死体を晒したんだもの。

だが、多勢に無勢は変わらない。多少は躊躇したがヘロってる騎士たちなんざ敵じゃねぇってばかりに襲いかかった。

騎士たちも黙ってやられるわけにはいかない。最後の力を振り絞って応戦する。


さすがに俺も協力しないとね。最後まで面倒みましょう。ただし、弾速は少し遅くして秒速1500mにしてね。

この手の集団戦を簡単に終わらせるのは「アタマ」を潰すのが定石、だから俺はリーダーっぽいヤツを集中的に狙った。

まずは武器を持ってる右手、そして逃げられるといけないと思って両足を打ち抜いた…つもりだった。

威力は弱めてるはずなんだけど、それでも強力だったみたい。

武器は右腕ごとふっ飛び、両足は膝からモゲちゃった。リーダーが叫びながらのたうちまわる。そんな姿にビビって手下たちは我先にと逃げ出す。

そこに追い打ちをかける騎士と冒険者たち。気が付けば現場にはオークの死体と俺が倒した死体が3つ、それと騎士たちが切り伏せたのが4つ、そして盗賊のリーダーが生死不明状態で転がっていた。



いやぁ〜何とかなりましたなぁ。俺の仕事はここまでって事でお暇させていただきましょう。

ただ、今回の出来事は一応、初の対人戦だ。だけど、不思議な事に心になんの変化もおこらない。これでも俺は自慢じゃないが平和ボケした日本人だ。普通なら引き金を引く時に躊躇したり、殺人っていう一大事に罪悪感なり高揚感なりを感じるはずなんだけど、それが何も感じない。ウサギ狩りした時の方が精神的にキタ。

今回の出来事は単に淡々と仕事をこなしたって感じで心にさざ波すら立たない。

これはたぶんDELSONの効果なんだろうな。そうでもしないとこの世界では生き残れないって事なんだろう。

ここは命の価値がすごく低い世界なんだって実感した。今以上に気を引き締めていかないとあっさりと死んじゃうかもしれない。頑張って安全マージンを広げていく事にしよう。



さて、ウダウダ引きずってても仕方ないし、さっさと切り替えていこう。

今日はやる事が多いのだ。まずは森に戻って適当に魔獣を狩らないといけない。

それもできるだけ大物が良い。そいつをダンジョンに持って行って、ちょっとした実験をするつもりだ。

まあ、結果が出るかどうかもわからない実験だけど、やらないよりはマシだろうってくらいに考えてる。


うまくいけば、俺の儲けにも繋がるしね。


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