第29話・さらにイベント?!
翌日、新しく作ったステルス機能とスコープ機能を試すために森に来た。
とは言え、ステルス機能のテストは森でどうにかなったんだが、スコープ機能のテストが如何ともし難い。
スコープ機能のテストとしてやる事は、望遠の性能テストと遠距離射撃のテスト。
そのどちらも、遮蔽物が多い森じゃ難しい。やるとすれば、見晴らし良い平原とか小高い丘みたいなのある場所が良いんだけど…。
って事で、今は森に沿って続いている街道にいる。もちろん、テストも兼ねてステルス機能は起動しっぱなしだ。
街道はそこそこ人通りが多い。でも、俺の存在に気づいてる人はいない。
ステルス機能は大過なく性能を発揮している。
何せ、さっき荷馬車に気づかれず、轢かれそうになった。
ステルス機能を起動している時は、周囲には気を付けないといけないね。
小一時間も歩くと森が途切れてはじめてきた。草原が増えてきて視界が広がる。
なだらかな起伏もあって、スコープ機能のテストにはもってこい場所だ。
小高い丘があったので、そこでテストを開始する。
5倍、10倍と倍率を上げながら周囲を観察してみた。さすがはDELSONの機能だ。
映像の歪みも無く快適に使える。
じゃ、次に射撃テストにいきますかね。DELSONを『ライフルモード』にして構えると、視界に『クロスゲージ』が表示された。
イイじゃん。イイじゃん。狙いが着けやすいジャン。しかも、ターゲットの「ロックオン」までできるジャン。
思い付きでいろいろと紐付けしてみたけど大正解だな。
DELSONを構えてあちらこちらに狙いをつけていると、何やら秋の心地良い風に乗って物騒な音が微かに聞こえてきた。
「?…。この音は……戦ってる?」
レーダーで確認してみると、800mほど先で誰かが戦っているっぽい。
ちょっとスコープで覗いてみましょうかね。
そこには、豪奢な馬車が横倒しになっていた。そのすぐそばで、体高3m近いブタ面の巨体が暴れまわっている。
「ありゃ、オークか?」
『オーク』、ファンタジーでは定番の魔獣だ。その姿は醜く凶暴で人を襲い、小さな村なら簡単に滅ぼすほどに強い。って言うのが普通なんだけど、この世界のオークはそうじゃない。
この世界のオークは、普段は森の奥に住み、滅多に森からは出てこない。
しかも、頭が良く温厚な性格で家族単位の群れで行動している。別名「森の賢者」とも言われるくらい大人しい生き物だ。
暴れるとしたら、家族を狙われた時くらいだから、こちらから攻撃しなければ何の脅威もないモンスターだ。
だから、ギルドでも彼らに会っても手出し無用とお達しが出ているくらいだ。
そんなおとなしいオークが暴れていること自体がおかしい。
バカなお貴族様がオークを剥製にでもしようとして、返討ちにでもあったのかな。
と、思っていたんだけど、どうもそんな雰囲気でもない…。
なんだかオークは拘束されてたみたいで、首や腕に鎖の付いた輪っかがある。
それを鞭よろしく振り回してる。
それを盾で防いでいるのは、貴族直属の騎士だな。3人が豪華な甲冑で頑張ってる。
あ!っと、鎖の直撃を喰らった!騎士はこれであと2人。こりゃ、ジリ貧だね。
あとは、赤い革の鎧で剣を振るっているお姉ちゃんと、あのローブは魔法使いだろうかファイアボールで牽制してるヤツ、それと大きな鎚?ウォーハンマー?ってヤツかな?をオークに叩き付けてるマッチョマンがイイ仕事をしている。
あいつらは、雇われか助っ人の冒険者だな。
ま、これならどうにかオークは倒せるだろう。でも…、次で確実に全滅だな。
なぜって?そりゃ、囚われてたはずのオークが一匹でこんな場所に都合よくいるはずがないもん。
あのオークを連れてきたヤツが確実に近くにいるはずだ。
ちょっと、レーダーで検索してみましょう〜っと…。
やっぱりいました。盗賊さま御一行、総勢10人内訳は剣を使う戦士くずれ7人、弓を使うシーフくずれ2人、ラストは魔法使いが1人。
人数はいるけど、それほど強そうな連中には見えないな。こんな奴らがおとなしいとは言え、強いオークを捕まえられるとは思えない。
何と言うか…。いろいろと裏に臭う感じがして何とも香ばしいなぁ…。
関わると非常にめんどくさいことになりそうだけど…。
う〜ん…。見なかった事にして済ましたいなぁ。
でも、これで全滅しましたって事になったら、寝覚めが悪いしな…。
……仕方ないか。こっちはステルス機能で隠れてるんだから、気付かれる事はないだろうし、長距離射撃の練習も兼ねて、手助けしましょうかね。




