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第28話・腹ペコダンジョン?


中途半端な時間の昼飯だったから、午後もお勉強の時間にする。

今度はダンジョンの情報を入れておこう。

アドルさんからは簡単なダンジョン情報だけしか聞いていない。

それはダンジョン産のスライムが外のスライムに比べて比較的小型で凶暴ということ。

俺はその情報にちょいと引っ掛かるモノを感じた。


森のスライムも凶暴化する時があるが、それは『飢餓状態』の時、冬場とか他の動物が少ない事とか時期や条件が決まっている。

と、いう事はダンジョンのスライムも『飢餓状態』にある可能性があるはずだ。

じゃぁ、なぜ『飢餓状態』なのか?それを検証するとしよう。


例によって資料室をうろついて、片っ端からダンジョン関連の資料と魔獣関連の資料をDELSONに完コピしていく。

一通り揃ったところで、ゆっくり資料を読んでいった。


ヤドラムの街にあるダンジョンは50年ほど前に街の猟師によって発見された。

発見当初は単なる猟場として使われていたが、冒険者が増えるにつれてダンジョンに迷い込む野生動物や魔獣との遭遇戦が多発、犠牲者が増加する結果になった。

そこで15年前からギルドがダンジョンの入り口に管理棟を建設して、野生動物や魔獣の侵入の排除と冒険者の入場を管理することとなった。


これがダンジョン簡単な歴史だ。


このレポートを読んで俺はある疑問がうかんだ。

それは、森を知り尽くしているはずの猟師が、なぜそれまでダンジョンの存在に気がつかなかったのか?

ヤドラムのダンジョンは森の浅い所で発見された。そんな所に昔からダンジョンが存在していたのなら、猟師が知らないはずはない。

ある日、突然に湧いて出たようにダンジョンが現れた?そんな感じがする。


次にもし、ダンジョンが人間に発見されなければ、今でもダンジョンには野生動物や魔獣が迷い込んで、ある種の生態系をダンジョン内で形成しているのではないか?と……。

では、なぜダンジョンは野生動物や魔獣を迷い込ませているのか?

もしかしたら、ダンジョン内の魔獣への餌として外の生物を必要とそているのか?

いや、ダンジョン内の魔獣が必要としているのではなく、ダンジョンそのものが外の生物を餌としているとしたら?

もしかしたらダンジョンは食虫植物のような『生命体』なんじゃないか?

そうだとしたなら、ダンジョン自体が飢えているんじゃないのか?


そこで俺はここ15年間のダンジョンでの犠牲者数の統計を調べていく事にした。

結果は予想通りだった。ギルドがダンジョンの管理を始めから、ダンジョンでの犠牲者は減少している。

管理初期には年間100人程度の犠牲者があったが、3年目からは年間30人程度に、現在では年間10人を切っている。

まぁその分、森とかでドジる奴が増えていたりもするんだけどね。


とにかく、ギルドの管理は確実に成功している。ただ、それは人間側から見た成功であってダンジョンにとって『絶食状態』が続いている、甚だ迷惑な成功なんじゃないか?


「そりゃあ、凶暴にもなるわなぁ…」


そして俺は資料を閉じ、鍵を返却するついでに受付のロールさんに質問してみた。


「ありがとうございました。勉強になりました」

「お疲れ様です。お役に立てて良かったです」

「あの、ダンジョンの魔獣が凶暴になったのって、最近の事ですか?」

「ええ、ここ10年くらいの事って聞いてますけど……。それが何か?」

「あぁ、やっぱりか…」

「何か思いついたんですね?!何ですか?教えてください」

「ええ、まぁちょっとね……」


おっと、いきなり食いついてきた。ロールさんてば好奇心旺盛だね。


「ちょっとねって。ちょっとくらいいいじゃないですかぁ〜教えてくださいよぉ」

「ほんの思い付きですよ。ちゃんと調べてから教えますから、待ってください」

「本当ですよ。ちゃんと教えてくださいね。待ってますからね」

「はいはい、了解です。気長に待っててくださいね」


そう言って俺はギルドを出た。

今日のギルドは得る物が多かったなぁ。ロールさんとも出会えたし。


これからイベントが増えていくのかなぁ?

神様〜、楽しいイベントが増えていく事を切に願いますよ〜。


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