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第217話・レッドさんの仕事


レッドさんのお披露目が済み、なぜかピリピリした空気を纏いながら帰宅した後、俺は理由はわからないが、みんなから理不尽な折檻を受けた。


うむ、こんな短時間の内に二度も叱られると、身も心もボロボロになるね。


で、俺がボロボロになってる内にレッドさんへの対応が決められていた。


さすがに黙っておくのはマズかろうという事で、ダンジョン経由でクララ様と面会する事になり、そこでレッドさんの今後についての話し合いをする事になった。


そして二日後、俺達はレッドさんを伴いダンジョンへと向かった。




ダンジョン交通の扉が開くとラムちゃんがお淑やかに出迎えてくれた。

どうやら、レッドさんの気配を察知していたようだ。


「ようこそいらっしゃいました。私、この地のダンジョンのアバター。このユウキにより授かりました名を『ラム』と申します。若輩者ではありますが、以後よろしくお願い致します」


カーテシーって言う挨拶だっけか?スカートをちょんとつまんでする淑女の挨拶。

ドラマとか映画でしか見た事がないヤツを、あのラムちゃんがやっております。


正直、びっくりした。あのコスプレ幼女がここまでお嬢様然とするとは……。

そして、似非お嬢様に続きこちらは本物のお嬢様のクララ様もご挨拶。


「お初にお目にかかります。私、本領地の領主を務めますアルベルト・ロンダーギヌスが娘、クラリベル・ロンダーギヌスと申します。現在はここ、ヤドラムにて領主の名代を務めております。よろしくお願い致します」


やっぱり貴族のお嬢様は違いますな。同じカーテシーでも気品がある。


「うむ、急な訪問で申し訳ない。いろいろと迷惑をかけるが、よろしく頼む」


レッドさんも当然の様に返礼する。


「で、電話でも伝えましたが彼が例の神竜のレッドさんです。一応、パーティメンバーにはドラゴンモードのレッドさんも確認してもらいました」


と紹介した。


「ええ、信憑性は微塵も疑ってはおりません。ラムちゃんがレッド様を感知するなり、物凄く慌てていましたから」


クララ様の話ではラムちゃんの狂乱ぷりは酷かったらしい。

少しの失礼でもあってならぬとクララ様に連絡を入れ、急遽カーテシーを教えたんだそうだ。


「ラムよ。我は世間の礼儀には疎い。なので余程の事でない限りは気にはせん。もっと気楽にしてくれ。我も気を使われると肩が凝るのでな」


「ありがとうございます。そうしていただけると、ワタシも気が楽になるとういものです」


まだまだ硬い表情でラムちゃんが答えた。

そして、とりあえずお茶でも飲みながらお話しましょうという事になり、話し合いが始まった。


「それでレッド様はどういった理由で我が領をお選びになったのでしょうか?」


と、クララ様が切り出す。


「うむ、たいした理由ではないのだ。元いた穴倉に少々飽きてきたところにユウキが訪ねてきての、煩わしい連中もいたので良い頃合いと思って、あの地を出たのだ。ここを選んだのは……そう、ユウキのいる所ならば何か面白い事がありそうだと思うての」


「そうですか……。まあ、ユウキさんならばレッド様を飽きさせるような事はまずないと思いますよ」


そう言ってクララ様が俺をジロりと睨む。


「そうよねぇ。ユウキは厄介事を引っ張ってくる天才だから、飽きる事はないかもしれないわねぇ」


と、ルキアさんが言う。


「そんな天才にこっちは苦労させられてるんだけどねぇ…」


そう言ってユーノさんがため息をついていた。

失敬な。俺だって好きで厄介事を引っ張って来ているつもりはないんだ。

なぜか知らんが、ちょっとした事が厄介事になってしまうんだ。


「ただ、レッド様のお住まいをこの地で探すとなりますと、竜の御姿では少々都合が良くありません。それは御納得いただかないとなりませんが…」


クララ様がそう言う。まあ、アサイ村の周辺にはドラゴンモードのレッドさんが隠れる事が出来る様な場所は無いしね。


「そんな事は初めから承知している。人の姿でも竜の姿でも大差ないのでな、気にする事でもあるまい。ただ…」


レッドさんが言うには、これから人の姿でここに住むのならば、仕事を斡旋して欲しいとの事だった。いくら神竜とは言え、無駄飯喰らいになるのはプライドが許さないらしい。


「仕事ですか?どういった仕事がよろしいでしょうか?希望はありますか?」


「そうだな……酒だ、酒を扱う仕事がしたい。以前、ユウキと飲んだ『スパークリングワイン』という酒が美味かったのでな。ああいう酒を扱える仕事が出来れば良いのだが……」


ああ、レッドさんの所に通っていた時にDELSONで作って飲んだなぁ~。

まあ、ちょっとお高めのワインに炭酸ガスを溶かし込んだだけのナンチャッテスパークリングワインだったけど、これが思いの外美味かったんだよね。


「あれは自作の酒だから普通じゃ手に入らないんだよねぇ。ああいう変わった酒を扱うってのならバーテンダーとかかな?」


と、俺が提案する。


「バーテンダー?それはどんな仕事だ?」


「簡単に言うと、飲み屋のオヤジだね。ただ、そこらあるような安酒を売ってるような店じゃなくて、ちょっと高級路線で静かに酒を味わうような感じの店のマスターって言えば良いのかな?それならいろんな種類を扱うからレッドさんに希望に添えるんじゃない?」


「ほう、それは面白そうな仕事だ。そのバーテンダーなる仕事が良いぞ!!」


こんな感じでレッドさんの仕事が決定した。



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