第213話・幻達の会話
幻のクララ様とユーノさん、ルキアさん、マリアさんが心配そうな顔をして何やらヒソヒソと話している。
「ユウキくん、大丈夫なんでしょうか?目のクマがすごいんですけど…」
心配そうにマリアさんが呟く。
「どう見ても限界が近そうだけどねぇ~。でも、交代出来る仕事じゃないし…」
と、諦めムードはルキアさんだ。
「これも自業自得よ。まさか私を通さずに発案してるとは思わなかったわ」
ユーノさんは苦笑している。
「私のせいでもあるんです。ラムちゃんが預かっていた提案書を確認もせずにお父様に渡していましたので…」
と、クララ様は反省していた。
「でも、提案書はユーノの許可が下りてるって思ったんでしょ?」
と、ルキアさん。
「はい。ユーノさんから頂いた書類と同じ様に許可されたモノだと思いました」
「それなら仕方ないんじゃない?この策士が余計なことをしたんだから、その罰を受けてるって思えば良いのよ」
そうルキアさんは言ってクララ様を慰めている。
……それにしてもリアルな幻だな。まるで本人達みたいだ。
しかし、そんな事を気にしている時間は無い。
書類仕事は溜まっているのだ。少しでも多く片づけなければ文官さん達に叱られてしまう。
霞の掛かった頭でそう考え、仕事に集中する。
それでも消えない幻のメンバー達は、今度は俺が仕上げた書類を手にして何やかやと話し始めた。
「一応は私の言った安全基準を守ってはいるんだけどねぇ…。この魔法陣の干渉緩和の技術的方法なんて錬金術師協会の出してる技術論文のレベルよ」
ユーノさんが手にした書類を見ながら言う。
「それを実用レベルにまで引き上げちゃうんだから、そりゃエルフ族の人も喰いつくってもんだわよねぇ~」
と、ルキアさんも感心している。
「これが上手くいけば、アサイ村に優秀な技術者や研究者を誘致できる事になりますからね。学術研究都市構想もますます発展するはずです」
クララ様も喜んでいらっしゃる。
「その前にユウキ君が倒れちゃわないかが、私は心配なんですけど…」
そう、マリアさんが心配そうに締めくくった。
「大丈夫よ。万が一倒れてもDELSONの修復機能が働いてくれるはずだから」
「あの痛そうなヤツですよね?それはそれで心配なんですけど…」
ルキアさんとマリアさんがそんな感じの話しをしながら扉の向こうに消えていく。
それに続いてユーノさんとクララ様も談笑しながら消えていった。
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