第200話・読者がいた
祝!200話!!
読者の皆様には長々とお付き合い頂き、非常に感謝しております。
これからもダラダラと続いていきますが、ご容赦ください。
とかく人間という生き物は思い込みをしがちな生き物だ。
特に学者先生が書き残した資料に『赤竜は人語を解する』と記載されていたならば、「人語を解する相手なら平和的な話し合いに応じるはずだ」と思い込んでしまう。
過去に赤竜が話し合いをしたという記録が一切無かったとしても、赤竜なのだから…神の眷属なのだから…、無駄な戦いなどせず理知的な行動をするだろうと何の根拠も無く思い込んでしまう。
気に人間という生き物は、愚かで無知蒙昧な毛の無い猿なのである。
そして、件の赤竜であるが…。
「……消し炭にしてくれるわ!!」
と、話し合いの『は』の字も無く、いきなりドラゴンブレスを吐きやがった!
その時、とっさに動けた自分を褒めてほしい。
灼熱のブレスが迫る中、DELSONの吸引パイプを向けて最大出力でスイッチを押す。
モーターがフル回転して必殺の炎を吸い込んでいった。
「な!?何が起きた!?」
一撃必殺のブレスが消えた事に赤竜は驚愕していた。
「は?何が起きた?じゃねぇーよ!!驚いたのはコッチだってぇーの!問答無用でブレスを放つとか、どういう了見だよ!!」
「ふん。私のブレスを無効化とは…。加護を欲しがる愚か者でも少しはやるものだな…」
「あのな…。俺はテメェ〜の加護なんざコレっぽっちも興味は無ぇんだよ」
「加護に興味がないだと?そんな戯言など信じられるか!」
「まあ、数百年もの間ここに来るヤツはオマエさんの加護目当てだったから、信じられないってのもわかるけどさ。でも俺の興味は他にあるの!」
ドラゴンブレスの採取もあるが、俺は他にも知りたい事があるのだ。
何せこの赤竜は少なく見積もっても超文明第二期中期からきている、言わば歴史の生き証人だ。
それならば、超文明の事を聞きたくなるってのが人情ってモノだ。
俺はその事を正直に話し、赤竜対してインタビューを申し込んでみた。
「俺の持ってる情報から推測するに、アンタ等『神獣』は五~六千年は生きているはずだ。こうして会話が可能なら超文明の歴史を聞きたくなるじゃん」
「ほう…我らの生存年数をそこまで正確に算出しているとは、貴様は前に来た愚か者共よりも正確な情報を持っているようだな」
「まあ、いろいろと過去の遺物を掘り出してるからね。こんなモノとか…」
そう言って、俺はDELSONから棒人形を出して見せた。
「それは『戦闘人形』か。そんなモノを復活させているとは…。貴様は何を企んでいる?」
「別に世界征服をしようとか人類を滅ぼそうなんて考えちゃいないよ。前の文明の様に世界を核の炎で焼かれちゃ堪らんからな。コイツを使って残り火の封印でもしようと思ってさ…」
「それは我ら『神獣』がやったと考えなかったのか?」
「アンタ等がこっちに派遣されたのは、『闇』とか言われていた世界の根本を崩壊する兵器の封印の為だろ?それ以外の事に関しては観察するだけで何の関与もしないって事くらいは考察済みだよ」
「ふむ。そこまで考察されているとはな…。やはり貴様はただの愚か者ではなさそうだ。……よし!私が答えられるモノなら全て教えよう。何でも質問してみよ」
どうやら赤竜の御眼鏡に適ったようだ。何でも質問して良いって言うなら、いろいろと聞いてみよう。
「インタビューの承諾、ありがとう。じゃ、最初に少々ぶしつけな質問なんだが良いかな?」
「ああ、構わんぞ。何でも聞いてくれ」
「じゃ、さっき何か読書をしてたようなんだけど、一体どんな書籍を読んでいたんだ?」
「ん?……ああ、これか?これは最近、手に入れたモノでな。オマエが言う『超文明』の事を考察している本だ。意外に的を射た事が書かれているぞ」
そう言って赤竜が本を渡してきた。
「こ……これは……」
俺はその本を見て絶句した。
それは異世界唯一のオカルト雑誌『月刊 エルドランド』だった。
お〜い、ノートンさん。こんな所に超大物の読者がいたぞ〜。
お読みいただき、ありがとうございました。
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