第196話・荒野で仕事
気合いも新たに荒野へとやって来た。
荒野と言っても草一本生えていない訳ではない。
まばらではあるがブッシュがあり、下草もそれなりに生えている。
それに湯気が沸き立つ泥沼もあったりする。
ああいう沼地には、たいてい『マッド・イーター』と言われるワニみたいな亜竜がいる。魔獣ではないが『竜』として分類されている。
まあ、ぶっちゃけギルドでの分類ってのが物凄く適当なんだよね。
大きなトカゲは魔獣化とか関係ナシに全部『亜竜』だし、小さいヤツは魔獣化してても全部『トカゲ』って分類されている。
危険度とか関係ナシ。素材の買取価格が多少上下するくらいの違いしかない。
正直な話、この世界では動物学とか分類学とかいう学問は等の昔に廃れちゃっているんだよね。超文明第二期では遺伝子工学まで発達したっていうのにさ。
まだラムちゃんの方が遺伝子とか理解してるし、俺から得た知識でダンジョンモンスターの分類とかがしっかり出来ている。
正直、人類の知恵の衰退はあの戦争で最低レベルまで落ちてしまったんじゃないかな?なんて思えてならない。
でも、今はそんな事は関係ない。とりあえず今日のクエストを熟さないとね。
一応は出稼ぎに来ているんだから、それなりに稼ぎを出しておかないと。
「んで、今日の獲物は『イワトカゲ』を3匹に『ダッシュバード』の卵に『アナネズミ』が5匹か…」
ちょっと多くクエストを受け過ぎたかな?まあイイか、レーダー機能を使えば半日も掛からずに出来るはずだ。
ちなみに『イワトカゲ』ってのは体長1mほどでお肉がタンパクで美味しい。
『ダッシュバード』は肉食の凶暴なダチョウみたいな飛べない鳥、卵は大きく中身は濃厚で美味しい。
んで、『アナネズミ』は50cmほどの大きいネズミ。揚げ物にするとこれまたジューシーでウマウマなのだ。
「では、しっかり稼いで、美味しくいただくとしようか!」
俺はレーダの索敵範囲を広げ、獲物を求めて荒野を邁進した。
結果から言うと、3時間ほどでクエストは終了できた。
レーダー機能とステルス機能で無双した結果である。
「毎回思うけど、このDELSON無双はほどほどにすべきだな。ヘイゼル爺さんにどやされるのが目に見えてるよ」
さて、思ってた以上に早く仕事が済んだ。
後はギルドに帰って納品するだけなんだけども、あまりに早くギルドに行くと目立ってしまう。なので、少々時間調節をしないとならないんだけど…。
「安易に亜竜を狩りに行くってぇのもなぁ〜」
たぶん狩ろうと思えば狩れるんだろうけど、問題はその後の事だ。
どこで処分するかが問題になる。
素直にギルドに出せば目立ちすぎるし、個人的に売りにいく訳にもいかない。
だからと言って領外に持ち出すなんて事は以ての外。
「亜竜を狩るなら、事前の準備がいるしなぁ」
どう考えても亜竜狩りはナシだな…。
「仕方ないか…。んじゃ、久しぶりに魔法コレクションでも増やすとするかな」
お読みいただき、ありがとうございました。
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