第195話・陰軍「月影部隊」投入
マーティンさんから推薦の経緯を聞いた後、これからの仕事の話になった。
とは言え、大っぴらに情報を集めるわけにもいかず、それなりに冒険者としての仕事をしながら噂話を集める事くらいしか出来ない。
下手に他領の人間が情報収集をしている事がバレたら、戦争の準備をしているとも採られなくもない。
そうなると大問題に発展しかねないし伯爵様の立場が悪くなる可能性だってある。
極力、秘密裏に情報収集を行う事になった。
ホントに面倒くさい仕事だ。たった四人でどれだけの情報が集められるのかな?
正直、大した情報は集められないと思うんだよねぇ。
てな事なんで、ここは個人的に秘密戦力を投入しよう。
強化アバターの10体も投入すれば何とかなるだろう。
その為にDELSONで準備をしてきたんだからね。
その夜、俺は宿泊施設で10体の強化アバターをDELSONから呼び出した。
アバター用の遺伝子情報はこの一年の仕事でたんまりと揃っている。
伊達に掃除の仕事をやってきたわけじゃないのだ。
それに、アバターの人相はDELSONでモンタージュ出来るから数千通りの人相も用意出来る。
今回は男性型6体と女性型4体で構成してみた。
一応、全員を没個性の人相にしてある。
彼等を『月影部隊』と命名した。
任務内容は情報戦と暗殺を主として、隠密行動をしてもらう予定だ。
俺が計画していた『陰軍』だ。
『陽軍』の方はもう少し時間が掛かる。何せ目立つようにメタルヒーローっぽくしないといけないし、それに伴って変身機構も付けないといけないからね。
ちなみに、強化アバター内の棒人形には自重ナシにオーバーテクノロジーをぶち込んでいる。光学迷彩はもとよりマナキャパシタも超小型で超大容量化している。
黙って3年以上はアバターを維持出来るようにしてある。
「てなわけで、今回はテストを兼ねて情報収集をやってもらう」
一応、棒人形には超文明第三期に使用されていた通信機能も搭載されているが、いまいち性能が不確かなので一体だけ俺との連絡役をやってもらう事にした。
「その役目は『1番』にやってもらう」
彼等には名前は付けない。全員番号で呼ぶ事にした。
理由は簡単、身元を分かりにくくするため頻発に人相を変えるし、行動中は偽名を使っているからだ。
ついでに言うと、俺自身が多人数の名前など覚えられないし、名付けが面倒くさいからだ。
そういうわけで、深夜に10体の強化アバターを町に解き放った。
翌朝、情報収集は月影部隊に任せて俺は通常通りの出稼ぎ仕事に出た。
ギルドに行って仕事を適当に見繕う。
『亜竜』狩りのクエストでもと思っていたんだが、生憎とその系統のクエストはパーティ専用のお仕事で、今回ソロで出稼ぎに来ている俺には受けられない。
とはいえ、勝手に狩るのは禁止されてはいない。あくまでも自己責任で不測の事態になってもギルドは責任を負いませんよって事らしい。
それならば、勝手にやらせてもらおう。
仕事とはいえせっかくモルドバまで出張しているんだから、少しくらいは楽しませてもらってもバチは当たらないだろう。
「よっしゃ!ちょっくら一狩りいってきましょうか!!」
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