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第192話・『超魔法文明』について


テリアからモルドバへの街道はかなり整備されていて歩きやすい。

3kmごとに水飲み場はあるし、10kmごとにキャンプ地も設定されている。


まあ、モルドバの特産品が「ドラゴンの素材」という高額商品なんだから街道の整備に回す金もたんまりあるってもんだわな。

だもんで、ここの領地(領主様はサマセット子爵って人)はそこそこお金持ち。

税率も低めなんで、この国の住みたい領地ベスト5を常にキープしている。


流石はドラゴンパワー、ブレスで貧乏も吹き飛ぶってか?


「ヤドラムの特産品がスライム関連じゃ太刀打ちできないわなぁ」


ザコキャラとボスキャラの差はどうやったって縮まらないよな。

産業の安定も大事だけど、特産品も新しく考えていかないとなぁ。


てな事を考えつつ旅は順調に進む。

お金掛けてるから治安も良いんだ。盗賊どころか魔獣も野獣も出て来ない。




だもんで、ぶっちゃけ完全に忘れていた『超魔法文明』についてお話しようと思います。


伝説では、この『超魔法文明』は一万年ほど前に炎に焼かれて滅んだとされているんだけど、樹海で拾ったデータによると一度の災禍で滅亡したわけではないらしいのだ。災禍は三度以上起こったらしい。


これは樹海に残っていた遺物の解析で年代の誤差が出た事から事実である可能性が高いと思われる。


で、樹海で回収したデータの解析を素に出した推論が以下の通りだ。



超魔法文明は大まかに三期に分けられる。


その第一期は純粋に魔法技術が高度に発達した文明で、ある一つの政治形態に依って治められていたと思われる。そこには場所は不明だが『エルドランド』という名の都市が存在したらしい。

そして、その魔法技術は気候をも操り、空中に浮かぶ城まであったらしいのだ。


しかし、理由は定かではないが、魔法の暴走が各所で発生し地震や噴火、制御不能な気候変動、謎の疫病の発生などが立て続けの起こった。そして国内は三つの勢力に分裂、資源や食料の争奪戦と覇権争いが勃発し徐々に衰退していった。

これが今から一万年ほど前に起こった事である。


その後、三つの勢力の内の一つが滅亡。二大勢力と多数の属国という構造に変化していったのが第ニ期の始まりだ。


始めの内は二大勢力の牽制のしあいで政治的には比較的に平和が維持されていた。


だが、第一期から続く気候変動により資源の生産を担っていたダンジョンが少なからず死滅し、資源不足の厳しい状況がより目立つようになってきた。

そして、この時期からダンジョンは種子の状態で休眠期に入ったようだ。


さらに、食料事情も悪化の一途をたどり人口の減衰に拍車を掛けることとなった。


第二期中期に入ると、二大勢力内部にも『文明の崩壊』や『人類滅亡』の危機を訴えるグループが出始め、それらを回避すべく多種多様な魔導研究がなされるようになった。


その研究に一役買ったのが死滅したダンジョンから回収された『ダンジョンコア』だった。これは政治的にも一役買いコアを多く所有する勢力こそが優位に立つという図式をも構築する事になった。


こうなるとコアの争奪戦も始まり、さらに人類の滅亡が現実味を帯びてきた。


そこで滅亡を回避すべく研究者たちはダンジョンコアのある能力に注目する。

その能力というのが、ラムちゃんの所でも使った遺伝子組み換えや生体融合の能力だった。

この能力を利用し人類の種としての強化を図り、進化した次世代の人類を生み出そうという研究が始まった。

その結果、生まれたのがエルフ、ドワーフ、各種獣人を代表する亜人種である。

彼等は次世代の超魔法文明の担い手として生み出された新人類だったのだが、時代がそれを許さなかった。

彼等の強化された能力が兵器として転用され、戦地へと送られたのだ。

そして、ダンジョンコア争奪戦が全面戦争へと発展していった。


しかも、ダンジョンコアの能力を使用した兵器開発はこれだけでは終わらず、最悪の兵器が誕生する。


この兵器の詳細は不明だ。ただ『闇』という名前だけが伝わっている。

この兵器の威力は凄まじく人類滅亡どころか、世界の崩壊すらあり得るほどのモノだったらしい。


そして、世界の崩壊を懸念した『神』と呼ばれる存在が、それを阻止すべく介入を決定した。

ただそれは直接介入するのではなく、後に『神獣』と呼ばれる6体の存在を派遣し『闇』の破壊もしくは封印を行う事のみにとどまった。

この『神獣』の一匹が荒野に住まう『神竜』である。


そして、この介入が幸いし世界の崩壊と人類滅亡は回避された。


だが戦争の影響は凄まじく、第一期後半に80億を数えた人口は第二期終末には10億弱までその数を減らしていった。


そして第三期が始まる。


第二期の二大勢力は崩壊し大小合わせて百を超える国家が複数のイデオロギーで緩やかに同盟関係を結ぶという形態に変貌したの第三期の特徴である。


そして、もう一つの特徴が魔法技術の残滓を応用して発達した科学技術、『魔導技術』の発現である。

この技術体系から生まれたのが、俺が使っている棒人形なんかだ。


この時代も前例に漏れず、最初は比較的平和に発展していった。

だが、人類とはとかく愚かな生き物で発展し平和が続くと支配欲というモノが出てくるようだ。


そして起こるのは覇権争いからの戦争である。


しかし、今回の戦争は様子が違った。兵器のファクターに『魔法』だけではなく『科学』まで絡んでいたからだ。


兵員の絶対数が少ないことからゴーレムが導入され、さらには戦車のような現代兵器に似たモノが数多く使用された。


そして、戦いは泥沼の一途を辿る事になる。

そうなれば、短絡的な戦争指導者は起死回生の一手を切る事に躊躇しなかった。


『熱核兵器』の使用である。


その時、人々は何を考えていたのだろうか?

前回と同様に『神獣』が介入してくれるとでも思っていたのだろうか?


それ以降の事はデータが無いので何が起こったのかは不明である。


ただ、判明している事は『神獣』の介入が無かった事と文明が崩壊した事、そして人類がどうにか滅亡を免れた事だけだ。


以上が現時点で判明している『超魔法文明の崩壊』の歴史である。


お読みいただき、ありがとうございました。


不定期更新で、のんびり進めていきます。


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