第180話・第一回判定試験
さて翌日は判定試験の本番。
御集りの冒険者様達は俺達の周囲に陣取っています。
皆さん、雇い主の為に些細な事も逃さずように真剣です。
んで、一発目は何の判定から始めるのかな?って思っていたんですが…。
「一発目はアンタが言ってた『製造ライセンス制度』の説明からよ」
と、ルキアさんからの御命令。
って事は…説明するのは俺なのね。
ハイ、ハイ…わかってますよ。その為に説明の資料もたくさん用意して冒険者さん達に持って帰ってもらうようにしてあるんですからね。
てな事で、小一時間ほど説明したんですが……。
これが、ビックリするほどのダダすべり。
ほとんどの冒険者が理解出来ていないご様子。
大丈夫なのか?コイツ等?そんなんじゃ、海千山千の商人達と交渉しても買い叩かれるだけだぞ?
なんか不安になってきたなぁ。うちの生徒達がこんなレベルだったら心配でしかない。少し商売の授業もした方がイイんじゃないかな?あとで検討しよう。
しかし、どうしましょう?このドッチラケムードの会場は……。
一応、冒険者さんの皆さんには、詳しい資料を配布して依頼者に渡す事をオススメしておいたけど……。
まあ、とにかく次はユーノさん製の魔導具の判定試験を行うんだから、盛り上がってくれるだろうと願いつつ準備をしました。
次は杖型魔導具のテストなんで、杖型魔導具の扱いに慣れているマリアさんに頼みました。
では、炎系の魔法を発現させる魔導具って事なので、派手にやって頂きましょう。
「じゃあ、マリア。まずは単発からお願い」
と、ユーノさんからの指示を受け、マリアさんが的に向かって杖を構える。
「はい。では、行きます!!」
気合い一発、腰撓めに構えた杖から魔法が発動する!!
ゴーーー!!と、唸りを上げて炎の竜巻が一瞬にして的を焼き尽くした!!
この杖の威力に会場の冒険者達からも、驚嘆の声が上がる。
「流石に派手な魔法は盛り上がるなぁ」
と、背後からダルトンさんの声がした。
「すみませんね。初っ端から盛り下げちゃって…」
「いや、別に嫌味で言ってるわけじゃねぇよ。オマエさんのは冒険者向きじゃないってだけの話だ」
「一応は儲け話なんですけどねぇ。それじゃダメなのかな?」
「アイツ等に小難しい話は無理だろうな。オマエほど頭の回るヤツは少ないから」
「そんなレベルで大丈夫なんすかね?買い叩かれてる人が大勢いそうで心配になっちゃいますよ」
「その為のギルドなんだよ。全員がオマエみたいに計算の出来るヤツだったなら、こっちの仕事も減って楽になるんだけどな…」
「そうなんすか…。大変なんすね、ギルドって…」
「冒険者は大雑把なヤツが多いからな。そんな連中を守ってやらにゃならんのさ」
「ご苦労様です」
「オマエも学校の方を頼むぞ。少しでも頭の回るヤツを増やしてくれよ」
マリアさんが派手な魔法を連発する中、ダルトンさんはそう言っていた。
「脳筋の相手は疲れるんだよ…」
これはダルトンさんの本音だと思う。




