第175話・ヤドラムに着きました。
「あんた等、ホントに大丈夫かい?」
荷馬車の御者が心配そうに俺達に声をかけてくる。
アサイ村を出て三日、ようやくヤドラムに到着した。
この三日間の馬車の揺れは、俺達の鈍った身体と腰に多大なダメージを与え皆それぞれに腰を押さえ、ガチガチになった身体を揉み解している。
俺なんか、尻の肉がボロボロ取れてく夢が見れちゃったよ…。
「痛たたたた……ユ、ユウキ君…。このイベントが終わったら早めにトロッコ計画を進めましょう…」
ユーノさんはもう限界とばかりに四つん這いになって腰をトントンしているし、マリアさんやルキアさんは剣や杖をついて歩いている。まあ、トロッコは馬車ほど揺れないから開通したら腰への負担も減るかもね。
「まったく、最近の冒険者もひ弱になったもんだなぁ」
なんて御者さんの皮肉が聞こえたが言い返す事が出来ない。
こりゃ、今日明日は宿から動けないな……。
なんて思いつつ、本日の宿泊先を確保する事にした。
翌朝は案の定、女子三人は昼を過ぎても動けずにいたので、俺だけで行動を開始する事にした。
え?なんで俺だけ大丈夫なのかって?
そりゃ、DELSONの修復機能もあるし、前に作った俺専用の高品質のポーションもあるからね。みんなには悪いが、お先に腰痛地獄からおさらばさせていただいた。
なので、今日はダンジョンで使う物資を買い漁るために一人で街の商店巡りをすることにした。ルキアさんの書いたメモを頼りに、食料品やらポーションなどを適当に買い漁っていく。
ついでに、お得意様への御挨拶も忘れない。こういう地道な営業努力が今後の儲けに繋がるのだ。
そこで知ったのだが、俺達がやる事になっている『オルトロス討伐』が冒険者や商人の間で、かなりの話題になっているらしい。
冒険者の方は予想通りなのだが、何故に商人も?と思って聞いてみたところ、冒険者には討伐後の『階段の出現』を狙って、商人の方は途中でやる危険魔導具の判定が重要なのだとか……。
まあ、階段の発見だけでもギルドからそこそこの報酬が出るから、冒険者はそれを狙って動いているし、商人の方は討伐終了後に領都で行われるギルド主催のオークションの為なんだそうだ。
「ああ、判定した魔導具はオークションで売る事になってるからか。魔導具の値段の査定をする為に見学に来るのか……」
しかし、商人の情報収集能力ってスゲぇ〜なぁ。
もう、オークションの為に動いてるのか……。
それでも討伐の観客がゼロって事にはならないだろうな。
って事は、今回はDELSON部隊の出番は無いってか……。
「つまらんなぁ〜。せっかく無双できると思ってたのに……」
正直、秘密戦力というヤツは出し処が難しい。
秘密のままにしておけば戦艦大和の様に無用の長物と化してしまうし、かと言って大々的に発表したらいろいろと問題が起きる。加減が難しいのだ。
「やっぱし、『陰軍』と『陽軍』とに分けた方が良いかなぁ?」
手品師がよくやってる目線を逸らす方法だ。
隠したいモノがあるなら別の場所に目立つモノを出して目線を逸らせば良い。
ノートンさんの好きそうなキャラを作って、そいつに目線を集中させれば他のヤツ等に注意が向く事は無いはず…。
「ならば、それっぽいキャラを考えねば……」
う〜む。なんかワクワクしてきた!目立つキャラか!俺のヲタク魂に火が着くぜ!
こういう不安定な世界には『正義の味方』ってのは必要不可欠だものね!!
う〜む、次はメタルヒーローの線で行こうかなぁ〜。




