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第173話・実は面倒な事だった

更新が遅くてすみません。

どうにも、調子が上がらず筆は止まってしまいます。

しばらくは、こんな感じで遅れ気味の更新になりますので、ご容赦ください。


気づけば暑さの盛りも過ぎ、少し涼しさを感じ始めた。

村では麦の刈り入れの準備も始まり、いよいよ収穫の秋に向かって慌ただしい日々が過ぎていった。


そんなある日、ロールさんが書類の束を持って我が家にやって来た。

用件は知っての通り、ダンジョン攻略についてだ。


「申請していたダンジョン攻略の許可が下りました」


「あら?思いの外、早かったわね」


ロールさんが差し出した書類の束を受け取りながらユーノさんが呟く。


「ええ。私もビックリですよ。こんなに早く申請が通るなんて…」


普通なら三ヶ月は掛かるはずなんだけど、今回は一ヶ月程度で審査を通った。

一応はユーノさんが『危険魔導具の判定』をメインにする事で審査を通り易くしたって事もあるのだけど、今回は裏ワザの『貴族カード』も使わせてもらった。


クララ様に手伝ってもらったのだ。申請書にちょこっとサインをしてもらったのが功を奏したのだろう。

まあ、ズルではあるがこちらとしてものんびりとしてはいられないのだ。


何せ今年は秋の終わり頃に、新任の教師も来る事になってるし、新入生も迎えないといけない。それに生徒達には冬期の訓練が目白押しときている。


なので、ダンジョン攻略は早めに片付けておかないと大変なのだ。


そして俺はこの冬、ドラゴンの住む荒野に隣接している町『モルドバ』に出稼ぎに行く予定になっている。

これはクララ様から…というか、辺境伯様からの依頼でもある。


どうも、モルドバの周辺に未確認ではあるが、サル…なんとか教団(正直、覚えていない)の連中が居たとか居ないとか?そんな噂が流れたモノだから、情報収集も兼ねて出張してこいとの依頼だ。


なんで俺が?とも思ったが、モルドバはお隣さんの領地に属しているので、大っぴらにこちらの騎士団を動かせない。

そこで例のアンデット事件での絡みで俺が指名されたんだとか…。


しかも、伯爵様直轄の特務騎士団からの推薦らしい。


てか、特務騎士団てナニよ?そんなとこに知り合いなんていないぞ?

大体、そんな重要事件の捜査に俺を指名するって大丈夫か?

やってやれない事ではないが、あの事件で俺はコインを拾っただけだぞ?


どうして、俺の名前が出てきたのかは知らんが伯爵様からの依頼じゃ断る事も出来やしない。まあ、俺としては情報収集ついでにドラゴンに会いに行けるので、願ったり叶ったりな訳なんだが……。




さて、今はユーノさんが書類の確認してサインを入れているところだ。


「なんか、保険料が割高なんだけど〜」なんて文句も聞こえてくるが、払わないと許可されないので仕方がない。これも実験都市の発展の為なのだ。


承認の書類には免責事項やら損害保険の事やらと細かい事が記載されている。

それに対して、パーティ全員の確認のサインが必要なんで面倒くさい。


「ま、お役所仕事ってのはとかく書類やらサインが多くて効率が悪いんだよね」


なんて、ボヤいても仕方ない。やる事をやらなければ予定が立たないんだから。


それから二日ほど掛けて承認の書類を精査、そしてサインをしてギルドに送った。



「あとは、攻略の準備をするだけね」


と、ルキアさんがいろいろと必要な物資の洗い出しを始める。


「てか、普通の攻略ってどれくらいの日数を掛けるモノなんですか?」


俺は素朴な疑問を投げかけた。

実際のところ、俺達が本気で討伐をやるとするなら、最短で日帰りが可能だ。

だけど、それをやっちゃうといろいろと問題が起きる。


「そうねぇ。前回の討伐は2週間を掛けたんじゃなかったかな?」


ペラペラと資料をめくりながらルキアさんが答えてくれる。


「俺達の場合はどうします?なんせダンジョンまで日帰り出来るんですよ?」


「だよねぇ〜。でも、今回は直接ラムちゃんの所にお邪魔するわけにはいかないしね。普通にヤドラムに行ってから物資の補給をして……」


う〜ん……と唸りながらルキアさんが指を折って日数の計算をしている。


「そっかぁ〜。今回はダンジョン交通は使えないんだ〜」


と、マリアさんも忘れていたようだ。


「ダンジョン内の事も考えないとマズくないすか?」


そう俺が指摘すると、みんなは目をパチくりしていた。どうもわかっていないようだな。


「俺達がオルトロスの討伐をする事は他の冒険者も承知してるんですよ。それなのに、俺達がダンジョン内で目撃されないんじゃマズいでしょうが」


オルトロス討伐なんてイベントはヤドラムじゃ10年以上ぶりのイベントだ。

そんなイベントを見物しようなんてヤツ等も必ず出てくるはず、それなのに俺達がダンジョン内で目撃もされずにオルトロスの討伐をやってのけたら、それこそ大騒ぎになりかねない。

俺達は普通にダンジョン内を歩き回り、普通に野営をし、普通に討伐をしないといけないのだ。


「そうか……。今回はその他大勢の監視下って事か……」


ルキアさんはわかってくれたようだ。


「それじゃあ、ラムちゃんの部屋でのんびりお茶会三昧も無し?」


あの……ユーノさん?あなた、どれだけ楽しようと思ってたんすか?


「下手すりゃ、今回のダンジョンは見物客を引き連れていくってパターンも考えられますよ?」


「そうなると、魔導具判定もイベント化しちゃう可能性もあるわね……」


最悪はそうなるだろう……。そうなると判定する魔導具の質も落とさないといけなくなる。正直、面倒くさいがある程度はゴマかさないといけないのだ。


ちょっと行ってサクっと終わらせるとはいかないのが、今回のイベントなのだよ。

ああ〜面倒くさい……。


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