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第171話・いろいろと発表します


Dスライムの個性が生まれた問題はとりあえず置いておいて、俺が樹海で手に入れた情報をみんなに報告しなければならない。


「てなわけで、超文明の情報の一部が解析出来たのでご報告しますね」


「てなわけって、どういうわけよ?休みの間にまた樹海に行ったの?」


と、ユーノさんがジト目で睨んでくる。


「樹海の散策って楽しいんですよ。珍しいモノがたくさん落ちてるし、いろいろと発見があるんですよ」


「その拾ってくるモノがいろいろと問題になってるんだけど~」


「今回のは役に立つモノですから、安心してくださいって」


「ホントに大丈夫なんでしょうね?アンデットみたいな厄介なモノじゃないんでしょうね?」


「大丈夫、大丈夫ですって……たぶん……」


「目を逸らして返事をするんじゃありません!」


ユーノさんは心配し過ぎなんだよ。ちゃんと解析もしたし、現状に合うようにグレードダウンもして開発したんだからさ。

それに、ちょっと厄介なのは情報の部分だけだから、みんなが秘密にしてくれたら大丈夫なはずなのよ。


「とりあえず、今回の樹海散策で手に入れた遺物から開発したモノを発表します」


少々強引だが、ユーノさんを無視して新開発の便利グッズを発表する。

タラララッタラ~~~『有線式魔導通信機』~~。


「ナニ?また変なモノ作ったの?」


ユーノさんは警戒するけど、そんな大層なモノじゃない。

名前だけはそれっぽくカッコ良くしてみたが、ぶっちゃけこれは『電話機』だ。

ただし、電力の代わりに魔力を使用し、ダンジョンを電線代わりに使うように開発してみた。


「この機械はダンジョンを利用した通信機ですよ。アサイ村ヤドラム間の情報交換は手紙や伝書鳩なんかに頼ってたでしょ?それをこの通信機でタイムラグ無しに情報交換してしまおうと思いましてね」


「それは、スゴいモノが出来ましたね!」


この話に喰いついたのはクララ様だった。情報伝達速度の重要性を理解していらっしゃる。


「そうでしょう。ただダンジョンを利用するんで、クララ様のお屋敷とこの部屋、あと我が家の三ヶ所でしか使えないんですけどね」


「それでも、相互の連絡が時差無く出来るのは非常に助かります」


と、クララ様はご満悦だ。そして、俺は現物を公開する。

通信機の見た目はチョットお洒落な電話機。

呼び出し用のボタンが三つ付いている。

クララ様用には白を基調にした豪華バージョンを用意した。


ではでは、テストといきましょうかね。

電話のコードの先端には、ラムちゃんからもらったダンジョンのトゲを使用している。それを適当な所に刺して……と、これで準備完了だ。


一応、テストなので少し離れた場所にもう一台を設置する。

呼び出しボタンを押すと、リンリンと軽やかにベルが鳴りだす。


「おお?!びっくりしたぁ」


油断してたのか?ラムちゃんがビクってしてた。


「ラムちゃん。受話器を取ってみて」


俺が指示すると、ラムちゃんが恐る恐る受話器を取り、耳に当てる。

ナニ天下のダンジョン様がビビってるのよ?


「もしもし?聞こえる?」


「おお!ユウキの声が聞こえる!!」


と、ラムちゃんがはしゃいでいる。テストは成功のようだ。


「どれどれ、私にも使わせて!」


そう言って、俺の使っていた受話器を欲しがったのはルキアさんだ。

それからしばらくは二台の電話を使って、みんなが遊んでいた。



「んで、次のヤツなんですけど……」


みんなが電話に満足した頃、俺は次のブツを取り出した。

コイツは現物ではなく、設計図なんでユーノさんを中心に見てもらおう。


「これは……魔導ボイラー?」


「ボイラーを利用した例のトロッコの動力車です」


と言っても、機関車の様にピストンではなく蒸気タービンを使っている。

今回、樹海で拾ってきたコンテナにタービンエンジンを利用した車両があったのでそれを解析して設計してみた。

小型ボイラーを利用し、トルク重視で設計したので最高速度は時速30km程度を見込んでいる。


「まあ、古代文明の技術とは言え、現状の技術レベルに合わせての設計なんで貨物車が10両程度、荷物の量でいうと荷馬車5台程度しか引っ張れませんけどね」


「……いや……それだけでも充分に革命的な代物なんですけど……」


そうユーノさんは驚いているが、今DELSONで秘密裏に開発しているクローラートラックは荷馬車50台以上はいけるぞ。


「で、こっちはトロッコ用の線路の設計図です」


この線路は元の世界での玩具を参考してみた。

直線の線路にカーブの線路。これを路線に合わせて設置すれば良いだけだ。

トロッコを上手く利用すれば線路を設置しながら路線の延長も出来る。


「うまい事を考えたわねぇ~」


って、ユーノさんは褒めてくれたけど、実はこの方法は元の世界で戦争の時にやってた方法らしい。ぼんやりした記憶に残っていたので採用してみた。


「この方法なら工事期間も短縮出来そうですね。父に相談してみます」


クララ様からも良い感触を得られた。これで伯爵様の許可が下りればアサイ村ヤドラム間での鉄道輸送の実験ができる。

ヤドラム周辺の発展はこの鉄道実験に掛かっているといっても過言ではない。


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