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第168話・柳の下にドジョウは二匹いるのか?


昼メシを喰いながら回収したトラックを解析に掛ける。

名称が『クローラー・トラック』になっていた。

要はキャタピラのトラックって事かな?

まあ、それは別に大した事ではない。問題は別にあった。


「え?エンジンじゃなくてモーターなの?」


どうも、超文明は内燃機関の発展が歪んでいるようだ。

やはり、魔法なるモノがこの歪み原因なんだろうか?


「ジェットエンジンみたいモノはあったけど、ピストンエンジンは無い?変な発展の仕方だな……」


しかも、このトラックにはドライブシャフトとかトランスミッションらしきモノも存在していなかった。

どうも駆動輪が個々に制御されているらしい。その制御に使われているのが、例のゴーレムを制御していたコントロールユニットに似た制御システムだった。


「ゴーレム技術から派生した技術なのかな?」


う~む、人型ロボットから生まれた自動車の技術?順番が逆だろ?

やっぱり、魔法なんていう変なファクターがあるから機械文明の発展も歪むのか?


「変な世界だと思ってたけど、ここまで変だとはなぁ~」


とは言え、この技術は使えないモノじゃない。

まあ『郷に入っては郷に従え』とも言うし、ここは俺の異世界知識も利用して、言い方は変だけど、この『魔法機械文明』の復活を目指すのも良いかもしれないな。


「どうせ、この世界の国々は覇権争いの為に超文明の遺産を利用しようとしてるんだし、それを指を銜えて眺めてるってのも性に合わないしね」


『専守防衛』って感じでもないな。ぶっちゃけ『ゲームの理論』ってヤツだ。

握手には握手で答え、ナイフにはナイフで答える。

これがこの世界で生き残れる方法の一つだろう。


「その為には秘匿戦力の絶対的優位性の確保が重要だな」


………どうも、この樹海に来ると考え方が過激な方向にいっちゃうな。

とにかく、使えそうな技術は使って、ヤバそうなヤツは秘匿するって事で良いだろう。ただでさえ、今の時点でDELSONにはヤバいモノが揃ってるからな。

こんなモノを全部披露したら、ユーノさんに折檻されるだけじゃ済まないゾ。

身の安全も確保する為にも、バレないようにしよう。


さて、お次はPC関係とサーバーの解析だな。

経験上、ハード面の解析にはそれほど時間は掛からないだろうけど、ソフトの解析にはそれなりに掛かる。


結果は帰ってからのお楽しみって事にして、次なる場所に移動した。


ロケットベルトで低空飛行しながら手ごろな広さの結界を探して飛ぶ。

しかし、飛行場跡の周辺には狭い結界が少数しか見つからなかった。


「更に奥地を探すしかないかなぁ…」


それとも逆に戻って、最初に探検した場所の周辺を探すのも有りかな?


「ふむ……二匹目のドジョウを狙うか……」


前回の探索場所は工場らしき跡地だった。ならば、他にも材料保管庫くらいは残っているだろうと思い、俺は前回の探索場所へと踵を返した。


ロケットベルトでの移動だった為に現地付近に到着したのは夕方近くになった。

流石にこの時間から探索を開始するのは危険すぎる。

なので、一番近くの結界に侵入して本日のキャンプ地を探すことにした。


その結界を張った土地には前回と同様に崩れかけたビルとドームがあった。

見た目の判断だけだが『当たり』を引いた予感がする。


「二匹目のドジョウがいたかも~」


ニマニマしながら適当なビルの一室を陣取り、本日のキャンプ地とした。


翌朝、眠い目をこすりながら探索を開始する。

ビル周辺からドームに沿って虱潰しに探索した結果、倉庫の残骸を発見した。


そこは一見すると単なる残骸の山にしか見えなかったが、崩れた壁の隙間からコンテナが覗き見えた。


早速、DELSONで崩れた壁や屋根、折れた支柱などを回収し周辺を整理してみる。

すると、コンテナが20個ほど出てきた。

一部のコンテナは破損して中身が散乱しているが、大半は傷一つ無い状態だ。


ただ、破損したコンテナからの中身がゴミにしか見えない。


「まあ、大昔のモノだから土になってるのもわかるけどね…。ビニールだかプラスチックみたいのに包まれた土?ってのは何なんだ?こんなモノも軍需物資になるのか?」


一体これは何だろうか?新種の魔法兵器か?もしかしてゴーレムの材料とか?

とりあえず、ビニールみたいな包装紙を引っ張出してみた。

擦れて読み辛いが文字が書いてある。


「……え~と?……れ……レーション?」


………うむ、軍需物資だ。しかも最重要に位置する軍需物資。

この土の山は兵隊さんのご飯の成れの果てだ。


「って事はぁ~。このコンテナは全部、レーションって事?」


まさかとは思うが、一応コンテナを全てチェックしてみる。


「そりゃ、重要物資だけどさぁ~。今更、レーションを回収するってのもねぇ」


無傷のコンテナは正常に稼働していた為に中身は時間停止状態、なのでレーションは腐ってもいない。いつでも食える状態だ。しかし、ここでトン単位のレーションを回収したところで使い道がない。


だけど、廃棄するってのもいただけない。そんな事したら絶対に『モッタイナイオバケ』が出てくる違いないのだ。どうしたら良いものか…。


「あ!そうだ。ラムちゃんのお土産にしよう!」


それが良い。彼女ならトン単位の不用品をどうにかしてくれるだろう。


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