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第166話・暗雲と光明と…


さて、着陸である。

翼がある分、着陸にも一工夫いる。


まずは、一気に垂直上昇する。

飛行姿勢が地面に対して垂直になったら、出力を調整してホバリング状態にする。

この時、風に注意する事を忘れてはいけない。翼面に突風でも当てられたら、バランスを崩して墜落しかねない。

最後は、慎重にゆっくりと下降するだけだ。


「う~む、やっぱり可変翼に変更しようかなぁ?」


畳める翼なら少しは着陸が楽になるかもしれないな。などと考えつつ、着陸した。


その後は、DELSONに翼を収納し結界を無効化して問題の場所に侵入する。

結界の内側に苔むした廃墟群が姿を現した。


「おお~。マジに都市遺跡だよ…。ノートンさんの勘の良さが怖いな…」


そこかしこに崩れかかったビルやドーム状の廃墟はが乱立している。

ただ、苔や草には侵食されてはいるのだが、不思議なことに樹木に侵食されている部分が少ない。この為に陽光が差し込み樹海とは思えないほどに明るいのだ。


「都市だったから舗装とかの影響があるのかな?」


なんて思ってみたのだが、分かるはずもない。

とりあえず、このまま歩いていても埒もないので、DELSONで上空から様子を見る事にした。


30mほど上昇して周囲を見回してみると、そこそこ広い範囲で建物が存在していない場所があった。結界はこの地域を囲む様に設置してある事から、この地域が重要なのだろう。そう考えてそこに直行した。



その場所は少し不思議な造りをした場所だった。

広大な長方形の空き地があり。それの端っこに巨大な建物群が建っていた。


「ああ…。何か見た事あると思ってたけど、ここは空港だわ」


そう、広大な長方形の空き地は滑走路、その周囲にあるのが空港施設だ。

そして、滑走路の端には今まさに滑走を開始するかの様な形で大型の飛行機らしき機体が数機、苔に覆われ無残な姿を晒していた。


俺はその一機のそばに着陸して観察してみた。

機体の全長は20mほど、全幅も同じくらいかな?

経年劣化で飛べそうにもないが、しかっりと形を保っている。

後方に回ると後部のハッチが壊れて開いていた。

中を覗いてみると、何か積み込まれていたようなので入ってみた。


「あ……これは人員輸送機だったのか……」


機内には甲冑だか装甲服のようなモノが20体ほど座っていた。

全員のフェイスガードは上がっていて、手にはカップや武器など持っていた。

出撃前だったのかは分からないが、とてもリラックスしていたのが窺えた。


ただ、今の彼らは苔に覆われている。自分達が突然の死に襲われた事すら気付いていなかったようだ。


「まあ、戦争で滅んだって事はわかってたんだし、こんな場面も想定していたんだけど…。どうにも……キツいね……」


しかし、何が彼らに起こったのだろうか?

機体や施設には経年劣化以外に破壊されたような痕跡は見当たらない。

施設を傷つけず、兵士達だけを死に至らしめた兵器が使われたようだ。


「まさか…。中性子爆弾?……いや……まさかね……」


そんな大量破壊兵器がこっちの世界にも存在していたのか?ここはファンタジーの世界だぞ?魔法と剣の世界のはずだ。


「発達した科学は魔法と区別がつかないとは言うけどさぁ……」


いくら何でも核兵器か、もしくはそれに似た兵器が存在していたなんて考えたくもない。


「異世界に非核三原則は通用しないか……」


しかしだ。仮に存在したとすれば、それが残っている可能性もあるって事だ。

これは由々しき問題だ。そんなモノが罷り間違って好戦的な組織にでも渡ったら、どうなる事かわかりゃしない。


「過去の戦争で使い切っていれば良いんだが、その可能性も低そうだしな……」


とにかく、この事は帰ったらユーノさんと相談しよう。

そう心に決めて俺は次の行動に移った。


俺は残りの輸送機らしき大型機を確認して周った。

機内に積み込まれていた積荷の大半は消失していた。たぶん、燃料や食料の様な補給物資だったのだろう。

ただ、その内の一機にお宝と言えるモノが残っていた。


「これは…たぶんトラック?だな」


トラックの様な貨物輸送用の車両だ。だが、タイヤではなく、キャタピラ、履帯(りたい)とか無限軌道とかいうヤツだった。

勿論、経年劣化でレストアも不可能なほどボロボロだったが、こいつを解析すればエンジンの詳しい構造やディファレンシャルギアの構造が判明するだろう。


「これはトロッコ計画にも役立つぞ」


トロッコは現段階では馬に引かせる予定だったが、起動車が出来れは輸送量もスピードも大幅にアップ出来るはずだ。

そう考えて、ボロボロのトラックをDELSONに収納した。


素材回収はまだ出来ていないけど、幸先が良いな。


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