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第158話・これからは自重ナシでいきます


「にっぱ。にぃっぱ。にっぱっぱぁ〜。にゃハハハハハぁ〜〜」


…………え〜と……。現在、ラムちゃんがスッゴイご機嫌で踊っております。

あの後、人造魔鉱泉を100リットルほどダンジョン・コアに与えたところ、ラムちゃんが酔っぱらいにジョブチェンジしました。

モノごっつぅご機嫌です。なんせダンジョンの寄生虫と言われたリッチの手を取って華麗なダンスを披露しているんですから…。


リッチはこの状況に困惑して助けを求めていますが、ここはほら…酔っぱらいに関わると面倒くさい事になるからさ…。一人で頑張っていただきたい。

スケルトン三人衆はリッチより危機回避能力が高いのか、さっさとDELSONに避難しました。


いやぁ〜。まさかダンジョンが高濃度の魔鉱泉で酔うと思わなかった。

リッチが「DELSONのマナは酒の様だ」と表現したのは、あながちウソではないみたいだ。


んで、俺はと言うと…。Dランク昇格のお祝い〜!ってなっていません。

正座して有難いお説教を喰らっております。


「何度、自重してくださいと言えばわかって下さるのですか?」


クララ様は静かに、そして優しく諭してくれています。が、空気が氷点下です。

凍てつく怒りってのは怖いですよ…。マジで逃げ出したくなります。


そして、ルキアさんは持っている剣をカツン!カツン!と床に打ち付けながら黙って睨んでいます。背後から炎の様なオーラがチラホラと垣間見える様です。

マリアさんは頭を抱えてるし、ユーノさんに至っては、指をボキボキ鳴らして折檻の準備体操をしているようです。


「よりにもよって、アンデットを使役するってナニ考えてるのよ!!」


むぎゅっと、いつものアイアンクロウをいただきました。


「のあああ!脳がぁ〜…脳がはみ出るぅぅぅ〜」


ミシミシと俺の頭蓋骨が音を立ててます。相変わらずの激痛です。


「この事が世間にバレたら、クララ様の立場が悪くなるでしょうがぁ!」


なんかね、この世界でもアンデットを使役する『死霊使い(ネクロマンサー)』っていう職業は、好かれてはいないらしい。

まあ、死者への冒涜とか禁忌である『死者の蘇生』ってのに関わってるんだら忌避されるのも当たり前の事か。


とは言え、せっかく手に入れた戦力を手放すなんて勿体無い。

バレないようにする手筈は既に計画済みだ。


「大丈夫ですよぉ〜。アイツ等には新型の自動鎧(オートメイル)を着せて使う予定ですから、もし露見しても謎のゴーレムにしか見えない様にしますから〜」


「あのゴーレムを着せるってどういう事ですか?」


そう訊ねてきたのはマリアさんだ。不思議に思うのは当然だ。この世界じゃ『強化服(パワードスーツ)』の概念なんて無いものね。


「簡単にいうとゴーレム技術を使って勇者様の着る様な鎧を造っちゃおうって考えているんですよ」


「そんな事、出来るんですか?」


「ええ、技術的にもデータ的にも可能です。今は設計段階に入ってます」


正直、今回のアンデット用パワードスーツは次への叩き台だ。

これが成功すれば、次は俺達用のパワードスーツを製作するつもりでいる。


「『強化鎧(パワードメイル)』計画と命名しています」


「またそんなトンデモないモノ造ろうとしてからにぃ〜」


ユーノさんが頭を抱える。


「どうせ、やめろって言っても秘密裡にやるんだし、ユーノもこのバカを制御しようなんて土台無理なんだから諦めて自由にやらしてあげれば?」


ルキアさんはため息をついて諦めムードになっている。


「そうは言っても、ユウキ君の造るモノって今の世界基準から逸脱してるモノばかりだから、戦争の火種になり易いのよ?」


「あのね、ユウキはただ思いつくままにモノ作りをするのが好きなだけのヤツなのよ?なら自由にやらせて表に出すか出さないかの判断は、アタシ等でやればイイんじゃない?」


ルキアさんとユーノさんは俺のヤリ過ぎを今後どうするのか?を話し合い始めた。

そして、その話し合いに乗ってきたのはクララ様だった。


「そういう考え方もありますね。ユウキさんの発想は超魔法文明の技術と親和性があるように感じます。それをただ危険だからと封印するのは少し勿体ない気もしますから、こちらで管理するもの良いと思いますよ」


「なら、これから村に出来る『魔導技術研究所』で管理したら良いんじゃないでしょうか?」


そう言ったのはマリアさんだ。『魔導技術研究所』通称『魔術研』はユーノさんが所長として勤める事になっている新しい施設の事だ。

この研究所は魔法理論と魔導技術を総合的に研究発展させ、民間利用に役立たせようという画期的な研究所なんだそうだ。権威主義で追放させられた研究者や技術者も招く予定だという。


「そうね。それなら使えそうなモノは『魔術研』の研究成果に紛れ込ませて発表すれば良いんだし、封印するモノはこのダンジョンかユウキ君のDELSONに保管しておけば安全だものね」


そうユーノさんが結論を出した。これで俺は自重ナシに自由にトンデモアイテムの製作に励める事になった。


「ただし!ユウキ君は必ず私に何を造るかを報告する事!いいわね!!」


「はい!わかりました!わかりましたからアイアンクローはやめて……。脳が……脳がはみ出るぅ〜〜」


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