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第157話・ラムちゃんはごきげんナナメ


はい。Dランクになって戻ってまいりました。

今は昇格のお祝いでラムちゃんのダンジョンにいます。

メンバーはいつもの如くですが、なんかラムちゃんの機嫌がよろしくない。


「がるるるるるるるぅ〜」


と、クララ様の背後に隠れて唸り声を上げている。

クララ様もどうしてこうなっているのか?理由も分からず困っている。


「ラムちゃん、どうしちゃったんだよ?何か変なモノでも食べたか?」


不機嫌な理由を聞いても、唸ってばかりでよくわからない。

落ち着かせようと近づいてみるが、隠れるように逃げてばかりだ。


「ワン!!ワン!!ワン!!ワン!!ユウキはそれ以上近づくな!!!」


まるで病院で注射されるペット状態だ。


「近づくなって……。俺、ラムちゃんに何かした?」


「DELSONに寄生虫を4匹も飼ってるじゃない!しかも、強化までしてるし!」


寄生虫?強化?……う〜む、思い当たるのアレかな?


「アンデット達の事かな?」


村に帰る途中、ヒマを見つけてリッチやスケルトンたちをちょっと強化したんだよね。ゴーストが38匹もいるんだから、全部強化素材につかっちゃったんだ。


リッチは憑依体・5体融合ゴーストにゴースト11匹を追加融合して16体融合ゴーストに強化してみた。そしたら上位存在に進化しちゃって、なんか超お金持ちっぽい名前の『ハイ・リッチ』ってヤツになった。

まあ、それでも元々無かった足は生えてこなくて、今でも空中浮遊してる。


んで、スケルトンの方は憑依体のゴーストに各9匹づつを追加融合。10体融合ゴーストにしたんだから『リッチ』に進化するのかな?って思っていたら、『ナイト・スケルトン』ってのに進化した。ナイトってくらいなんだから、剣でも渡せば戦えそうな感じだな。


まあ、そんな感じだからそれぞれに名前を付けて新型のオートメイルを進呈しようと考えてるんだわ。


まあ、そんな些末な事は置いておいて、さっきの俺のアンデット発言にクララ様他三名の顔色が変わった。


「ユウキくん?どういう事?」


そう聞いてきたのは、笑顔が素敵なユーノさんだ。黒いオーラを背負っている。


「え?!え〜とですねぇ…。駆除の仕事の時にちょ〜と捕獲しまして……」


一瞬前までお祝いムードだったのに、戦場のド真ん中に立っているような緊張感がある。


「捕獲って…駆除対象でしょうが!!なに考えてるの!さっさと駆除してきなさい!!」


そう言われても、せっかく手に入れた新戦力を手放す気は一切ない。


「そうだ!そいつらはさっさと駆除すべき!アンデットはダンジョンの寄生虫!敵は殲滅だぁーー!!」


と、ラムちゃんは御立腹だ。なぜにこうもアンデットを敵視すかねぇ?


「あいつ等はアタシ達ダンジョンのマナを横取りする!!」


ラムちゃん曰く、ダンジョンの体内環境、特に冒険者が探索する様なダンジョンの体内環境はアンデットが湧きやすいんだそうだ。

外の環境よりマナが多く、冒険者達の死でオドも溜まりやすい。アンデットが湧く条件が揃っている。

そして、湧いたアンデットはダンジョンのマナとオドを糧にして成長し増えていくらしい。

そして、それはダンジョンの健康を害して最悪はダンジョンの死に繋がる。

そこで、ダンジョンは体内にアンデットが湧かないように、溜まったオドを浄化する為に時折、光属性の魔法を放って体内を清潔にしてるんだそうだ。


「あ〜。それって冒険者達の間で伝説になってる発光現象だわ。ホントのあったのねぇ〜」


なんてルキアさんが唸っている。ちなみに冒険者達の間では、この発光現象の事を『ダンジョンの恵み』と言っている。偶然、この光を浴びた冒険者によると酷い怪我が治ったり、体力が回復したりとかしたそうだ。


「そんな事、当たり前!!あの光は対アンデット用でもあるけど、治癒の効果もあるからね!!」


と、ラムちゃんは自慢げだ。まあ、健康を保つ為の魔法だものねぇ。


「でもさぁ…、捕獲したアンデットは従属化してるから安全なんだけど……」


「いくら安全と言っても、アンデットはダンジョンのマナを吸う敵だ!」


と、ラムちゃんは頑として譲らない。

だからと言って俺も引くわけにはいかない。せっかく手に入れた戦力だし、コレクション目的だったとは言え、飼ってしまったのだから情が湧く。

案外と気さくでイイ奴らなんだよ。


「ちゃんと俺が責任を持って世話するからさぁ〜。飼ってもイイでしょ?ラムちゃんに絶対には迷惑かけないからさぁ〜」


もうこうなったら、拾ってきた子猫を飼ってもらう小学生ばりに頭を下げて、お願いするしかない。


「ねぇ〜イイでしょう?絶対!絶対に迷惑かけないからぁ〜」


「拝んだってダメなものはダメ!!元の場所に捨ててらっしゃい!!」


そんな昭和のお母さんみたいな感じで言ってくるラムちゃん。


「あのさ、元の場所に捨てるのもナシだよ」


そう言ってきたのは、ルキアさんだ。


「アンデットは駆除対象なんだから、捨てるのはナシ。この場で駆除の一択」


いやいや!それは無理っす!せっかく仲良くなったのに駆除なんて無理!

もうこうなったら、みんなで口説き落とすしかあるまい。


「じゃあさ、その駆除対象のアンデットたちの意見も聞いてあげて下さい。お願いします!!」


「…………。ここにアンデットを出すの?」


「大丈夫!従属化もしてるから絶対安全だから!お願い!チャンスを下さい!」


もう必死の土下座です。有無を言わさず駆除するってのは、いくら何でもヒド過ぎる。せめてアンデットたちの意見くらい聞いてあげて欲しい。


「…………。もう仕方ないわねぇ」


と、ルキアさんが折れてくれた。


「なんだかんだ言って、ルキアはユウキに甘い!!」


って、ラムちゃんが言ってるがこのチャンスは逃すわけにはいかない。

すかさず、俺はアンデット達を召喚する。


「全アンデット!召喚!!」


掛け声と共にDELSONからアンデット達が排出される。


「「「「お呼び出しにより参上致しました、お館様」」」」


4体のアンデット達が跪いて召喚される。


「お…お館様?」


ルキアさんが少しビビりながら呟く。いや、俺もこの呼び方は恥ずかしいのよ。


「え〜と…とりあえず、紹介するね。この4体が問題のアンデット衆です」


「お初にお目にかかります、奥方様がた。我等アンデット4人衆、ユウキ様の忠実なる(しもべ)でございます。以後、お見知り置きを」


ざっと規律正しく跪いて挨拶をするアンデット衆。

これにはかなりビックリしたのか「よ……よろしく……」とクララ様他3名が消え入りそうな声で挨拶を返していた。


「ガルルルル〜〜」


ラムちゃんだけは相も変わらず戦闘態勢だ。でも、クララ様を盾にしている。


「ラムちゃん。大丈夫だって、こいつ等はラムちゃんからマナを取ったりしないから…」


「さよう。我等はお館様の至宝のアイテム『DELSON』から豊潤なマナを頂いておりますゆえ、わざわざダンジョンの希薄なマナを取るなどの愚は犯しませぬ」


ちょっと言い方ぁ〜。ラムちゃんの神経を逆撫でしてどうすんのよ。


「なんだとーー!新参者のくせに生意気なーー!希薄とはなんだ!希薄とは!!こっちは仮にもダンジョンだぞ!そこ等の魔獣より高濃度のマナを循環させて生きてるんだーー!!」


「しかし、事実は事実。ダンジョンから得られるマナなどDELSONに比べれば、水と酒以上の差がございますからな…」


「ぐぬぬぬぅ〜。アタシだって頑張れば、もっと濃ゆいマナを出せるわ!!」


………?あのさぁ、一体ナニで争ってるの?今はマナの濃さって関係なくない?


「まあまあ、ラム様もあまり御無理をなさいますな。お身体に障りますぞ」


なんか『ハイ・リッチ』がドヤ顔でラムちゃんを諭してるんだけど……。


「実際にラム様も御経験なさるとよろしい。さすればお館様が如何に偉大な存在かがおわかりになりましょう」


「うう〜ん……。でも、アタシはアバターだからデータのやり取りしか出来ないし……。かと言って本体をDELSONに収納すると死ぬかもしれないし……」


そりゃそうだよね。本体のダンジョン・コアをDELSONで吸い取るのは、リスクが大きい。う〜む、なんかイイ方法はないかな?


「あ!そうだ。DELSONで製作した高濃度の『人造魔泉水』ってのがあるけど、試してみる?」


「なにそれ?!そんなの造ってたの?試させて!!」


ラムちゃんが乗り気になってます。まあ、この人造魔泉水は人にとっては毒物の様なモノ。でも、ダンジョンにならば良い感じの清涼飲料水って感じじゃないだろうか?

そう思いつつ、俺はダンジョン・コアの根元に人造魔泉水をショワショワと注いでみた。

すると突然、ラムちゃんのアバターがブルブルっと震え、ダンジョン・コアがキラキラと光り出した。


「ナニこれーー!!ちょっとスゴいんですけどーー!!メッチャ芳醇!!」


ラムちゃん?なんか言葉遣いが変わっちゃってますよ〜。


「どうですかな?ラム様。これを一度でも味わってしまったら、もう他のマナなど薄すぎて物足りなくなりましょう?」


「う〜む。これは危険すぎるほどの味わい…。もう、やめられない止まらない…」


なんかマナの品評会みたいになっちゃてるですけど…。

しかも、クララ様たちは完全に置いてけ堀を食らってるし…。


まあ、ラムちゃんの機嫌が治ったようだからイイか……。


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