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第149話・仕事がない!!


領都『メルキア』は人口3万人を抱える巨大な都市だ。

そんな大都市の片隅のうらぶれた飲み屋で俺は苦い酒をチビチビと飲んでいた。


一回目の昇級試験でもある初の護衛の仕事は、何事もなく無事に終わり受験者全員が合格の通知をもらって喜んでいた。


だが俺は森での大量虐殺の件で、ある悩みを抱える事になった。

別に虐殺者になったからと言って鬱状態になったわけではない。

そうしなければ、逆にこちらが殺される側になっていたのだから、悩む事でも無いのだ。ただ、奴らの所持品から敵がプロだと判明した事に悩んでいるのだ。


まず、彼ら全員の装備が画一的なモノだった事。そして戦闘時の動きが確実に訓練を受けた者の動きだった事。そして、極め付けが全員が所持していたコイン。

まるで、自分達がどこに所属するかを誇示するかのように全員が戦闘服の裏地に縫い付けてあった。


「どう考えても、マフィア程度の戦闘集団じゃないよなぁ〜」


俺はコインを弄びながら酒を飲む。

今回の敵はかなり高度な訓練を受けていた様子があった。

ならば、上役が言っていた「我が主」というヤツはどこぞの貴族、それもかなり高位の者か、あるいは国家レベルの人間が関わっていると考えられる。


「図らずもマズいのに手を出しちゃったかも〜」


下手したらクララ様に迷惑を掛ける事になっちゃうかもしれない。

いくらロンダーギヌス家が優秀な貴族だからと言って、国家レベルの相手から睨まれたらどうしようもない。最悪、戦争って事にもなりかねない。


「こうなったら、とことん戦力アップに努めるか…」


かなり物騒な事を考えちゃってるけど、恩を仇で返すわけにはいかない。

俺個人で出来る事、それは超魔法文明の遺物とDELSONを利用して裏から世界を操作する事。これなら出来る。世界に変革をもたらすなんて大それた事はしないでイイ。俺と俺の周りにいる人達の生活をほんの少し有利な状況に置ければイイのだ。


「よし。当面の目標は決まったな」


そう呟いて、俺は飲み屋を後にした。





翌日、俺は領都のギルドに行った。次の昇級規定の仕事を探すためだ。

受付に行き、昇級試験の用紙とギルドスティックを提出する。

これで規定用の仕事が見つかりさすれば、後は同じ事を繰り返すだけだ。


「う〜ん…。生憎と今は昇級用の仕事は見つかりませんね〜」


受付嬢にいろいろと探してもらったのだが、どうも仕事が無いらしい。

仕事自体は腐るほどあるが、安全性を考えると規定にしてもらえるようなモノは少ないのだろう。

どうしようかと、ギルドに併設されているカフェで悩んでいると、昇級試験で同行したマーティンさんが声を掛けてきた。


「ユウキじゃねぇか。どうした?浮かない顔して…」


俺は次の規定の仕事を探している事を打ち明けた。


「ああ〜。そんな事かぁ」


マーティンさんに因れば、規定の仕事が少ないのは普通の事らしい。

なので、Dランクに昇級するためには時間を掛け、伝手を作らないといけない。

要は冒険者家業をやっていくための関係造りの時間という事なのだ。


「普通は半年くらい掛けて規定の仕事をこなしてDランクになるんだってさ」


と、マーティンさんは言っていた。ちなみにマーティンさんは今回の規定は2個目で二ヶ月ほど掛かっているとか…。


「それじゃあ、困るんですよねぇ〜。俺の場合、期限があるんで…」


「なら、別に護衛の仕事にこだわる事ないんじゃね?」


「え?規定って護衛が決まりじゃないんですか?」


「うん。別に何の仕事でも良いんだよ。だからお得意様を作るんじゃん」


「そういう事か…。そのお得意様に頼んで仕事を規定にしてもらうと…」


「そういうこと…。だから、Dランクの昇級には時間が掛かるのよ」


納得である。冒険者として食っていく為の下地造りがこの昇級試験なんだね。


「その大事な下地造りを短時間でやれって…。どういう神経してるんだ?オマエさんの仲間は…」


だよねぇ〜。でも、こちらにも事情があるんだ。なんせ、雇い主がお貴族様なんだから拒否は出来ない。


しかし、ここメルキアじゃ伝手すら無い状態、どうしよう……。

と、悩んだ末にハタと気が付いた。あるじゃん、デカい伝手が……。

それも、この領都で最大の権力を持つ伝手が……。



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