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第147話・疑わしきは……

今回は思った以上に長くなったんで、2話に分けて連続投稿します。


こちらは1話目です。


2話目は昼に投稿予定です。


「のわーーーー!!」


ドカ!!ゴロゴローーー!!!ザリザリザリーーーー!!!


と、派手にホバー走行からの停止に失敗しました。

いやあ~、DELSONのバリア機能があって助かったわぁ~。

あれが無かったら、今頃は全身大根おろし状態だったわ……。

止まる時はホバーを切っちゃダメね。地面に突っ込む感じになっちゃうから。

ちゃんと、ボバーで低速にしてから止まりましょう。勉強になったわ。


「だ、大丈夫か?!」


血相を変えてハワードさんが駆けつけてくれた。


「大丈夫です。ちょっと失敗しました」


「勘弁してくれ。かなり驚いたぞ」


「すんません。一応は転んでも大丈夫なように対策はしてあるんで……」


「そうか?ならイイが…。で、偵察の結果は?」


「3km先まで魔獣や動物の気配はありません」


「そんな先まで調べたのか。助かったよ、ありがとう」


「いえ、このホバーを使えば先行偵察は素早く行えますから…」


「う~む。その魔導具は便利そうだなぁ。売り出すのか?」


「どうでしょうか?試験運用の結果次第ですかね。ただ、売り出しても相当な高額商品になるのは確実ですけど……」


「だろうなあ……。かなり稼がないと買えそうにないな……」


ハワードさんは諦めムードだ。実際、コイツは貴族でもなければ買えないような代物だ。小さな町程度の財政が傾くくらいの額になると思う。


さて、先行偵察の報告は済んだのだが、問題の商隊内にいる敵性人物の事はどうしようか?

ハワードさんに報告して良いんだが、少々問題がある。

それはレーダー機能の敵性判断の基準が曖昧なのだ。

この基準というのは、俺が味方と認定した個人もしくは団体に対して敵意を持っているモノが敵性判別され赤い光点で表示されるという、実に個人的且つ適当な判断基準に基づいているからだ。

だから、この敵性人物が味方認定をしている団体の中の、ある人物に対して個人的な敵意を持った場合でも『敵性』と判断されてしまうのだ。その人物に向けられた敵意が色恋沙汰のしょうもない敵意であってもだ……。

だから、迂闊に危険人物と報告が出来ない。しかも今回の場合、その敵性人物は一人だけ……。これじゃあ、危険かどうかの判断が出来ないのだ。


こりゃあ、ちょっと様子見だなぁ。でも、個人情報くらいは調べておく必要はありそうだな。商隊の責任者のフリンジさんに聞いてみるかな。


そう思って、フリンジさんが乗車している馬車に行ってみた。


その馬車は商隊の半ばに位置した所をゆっくりと進んでいる。

まあ、商隊全体は早歩き程度のスピードしか出ていないんで当たり前か……。


俺が馬車と横について歩き、どう声を掛けようかと考えていると逆に馬車から声が掛かった。


「あれ?ユウキさん。どうかしましたか?」


その声はロールさんだった。フリンジさんと一緒に乗っていたようだ。


「ああ、ロールさん。ちょっとばかり気になる事がありましてね……」


「気になる事?何でしたら、私が調べておきましょうか?」


一応、個人情報だしギルドの関係者のロールさんが絡んだ方がイイかな?


「じゃ、お願い出来ますか?」


俺は適当な理由をつけて、その人物について調べてもらった。

その人物は商隊の中央に位置している馬車に乗っていた。

その馬車はオリオ商会の馬車とは違い、小さめの馬車で『サロメ商店』という行商人の馬車だった。

乗っている人達は『サロメ商店』の店主のサロメさんとその家族、そして従業員のロクワンさんとジプトさん。

敵性反応を示していたのはジプトさんの方だ。彼は三ヶ月ほど前に人足(にんそく)としてヤドラムで雇われたらしい。


………たったの三ヶ月で雇い主に悪意を抱く事があるのか?

『サロメ商店』って、そんなにブラック企業なんだろうか?

馬車の雰囲気から察するに、それほど酷い仕事環境とは思えない。

何か個人的な恨みでもあるのだろうか?どうも怪しい……。


今回の仕事では何か問題でも起こったら、俺の昇格試験にも影響が出る。

それは非常に困るのだ。何事もなく無事に領都に着かねばならない。

ジプトさんには悪いが観察対象にして張り付いてみる事にしよう。

問題の芽は早めに、そして秘密裡に潰しておくのが良い結果を招くはずだ。


そう考えて、俺はジプトさんをレーダー上でターゲット設定し観察を開始した。





その野営地には夕刻少し前に到着した。

そこには数組の商隊が既に居て、テントや夕食の用意をしていた。

ここで俺達は夜間の警備を『夜蝶』チームと交代し休憩する事になっている。


「仕事は交代だが酒は控えてくれ。護衛が酔ってちゃ話にならんからな」


とのハワードさんからの御達しがあった。護衛の仕事で禁酒は常識らしい。

「酒が飲めんのかぁ~、こりゃあキっツい仕事だわぁ~」とマーティンさんは愚痴っていた。


そして、夕食も済み後は寝るだけという頃にヤツが動き出した。


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