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第146話・豪傑と夜蝶と……


「本日は、昇級試験にご協力して下さって、ありがとうございます」


ロールさんがそう挨拶したのは、この商隊の責任者、オリオ商会の行商主任フリンジさんだ。


「いえいえ、こちらとしましても依頼料が安くなりますから、お気になさらず」


「で、この方々が今回の受験者のみなさんです」


そう言ってロールさんが一人一人紹介し始める。


今回の受験者は俺を含め全部で4人だ。

まずは、革製のハーフメイルの男性、オズマさん。両手剣の使い手で前衛職。

もう一人の受験者、魔法使いの女性セリアさんと一緒にパーティー組んでいるリア充な人だ。

そして、もう一人の男性冒険者はソロでガンバってきた、マーティンさん。

こちらは槍使いの前衛職。小声で「爆発しろ。爆発しろ」って軽く呪っていたのが個人的にとても好印象だ。


よろしくお願いします。と、挨拶をしていると向こうから冒険者の集団がやって来た。今回、商隊の警護をする『豪傑』と『夜蝶』のメンバーだ。


『豪傑』のメンバーは全部で4人。

前衛職が3人の回復役が一人、なぜか全員がフルメイルで剣や斧で武装している攻撃型のパーティーだ。


リーダーは回復役のハワードさん。背中に巨大なバスターソードを背負っている。

なぜヒーラーがそんな物騒な獲物を持っているの?って聞いたら、「カッコイイから!!」って即答してくれた。


そして『夜蝶』のメンバーはと言うと……。

それはもう、パーティー名からもわかるように見目麗しい美女ばかり5人。

流石に皆さん、冒険者なんでセクシーで露出度の高い服装なんてしてませんが、そんな事を差っ引いても美人さんなのがわかるほどに輝いています。

メンバーの構成は前衛職2、魔法使い2、ヒーラー1の魔法主体のパーティー。

リーダーは前衛職のメルトアさん。口元のホクロがセクシーです!!


「ユウキさん、減点します」


試験も始まってないのにロールさんから減点を喰らった。


「なぜ?!」


「なんとなくです!!」


理由はわからんが、減点は避けたい。

試験に不合格になったら、確実にユーノさんから折檻を喰らってしまう。

気を付けねばなるまい。


「ま、まあ、とりあえず皆の得意分野を教えてくれ。配置分けをしたい」


変な空気を払拭するかのように、『豪傑』のハワードさんが中心となって護衛の配置決めが行われる。


「そうですね。ユウキさんとマーティンさんは『豪傑』の、オズマさんとセリアさんは『夜蝶』の指示に従って下さい」


ロールさんから唐突にチーム分けの指示が出される。

普通はそういう事って試験官が指示する事じゃないんじゃないかなぁ?


「ナニ?文句あります?」


いえ……。文句ありません。

どういうわけか、ロールさんがスッゴイ不機嫌になっております。

なんでしょう?メッチャ怖いんですけどぉ〜。


そんなピリピリした空気の中、俺は斥候としての任務を与えられ配置についた。

まあ、猟師の技術もあるしレーダー機能もある、しかも今回は新アイテムのテストも兼ねて装備してるから願ってもない任務だ。


「まず、『夜蝶』チームは3組に分かれて乗車してくれ。俺達は周囲の警戒だ。ユウキは悪いが先行して偵察を頼む」


「了解!」


リーダーのハワードさんの号令で、商隊は中継地であるサークの町に向けて出発した。


「そういえば、ユウキさんの装備って少し変わりました?」


と、ロールさんが聞いてきた。


「ええ、新しくオプションパーツを装備したんですよ」


オプションパーツと言うよりも、背負子の部分を丸々バージョンアップしたんだけどね。今までは鉄パイプ製だったのを、新型のゴーレムパーツに変更して耐久性を大幅にアップした。それとパイプの各所にオプションパーツの接続ポートを増設して簡単にパーツ交換を出来るようにした。

そして下部の荷物を載せる部分の板には、これも新型の大容量マナキャパシタと多用途コントロールシステムを仕込んで、オプションパーツの制御を容易に出来るようにもした。


ちなみに、今回のオプションパーツは小型ロケットモーターを装着している。

ロケットの出力は全力で俺を5m程浮かせる程度のモノだけど、履いているブーツにも同じモノを仕込んでいるので、超有名ロボットアニメの踏み台された黒いヤツみたいにホバー走行が可能になっている。

制御系をヘルメットに仕込んで背負子のコントロールシステムとリンクしているので、考えるだけで自由自在に動けるようになっている。


なぜ、こんなモノを造ったかというと、ジェット〇トリーム・〇タックがやってみたくなったから。

ダンジョンアタックの時にみんなに提案するつもりだ。


「これで、高速移動が可能になるはずですよ」


「画期的なモノみたいですねぇ。でも、大丈夫なんですか?」


「それをこれから実践してみるんですよ」


そう言って、俺はホバー走行を開始した。






「うわ!何だ?アイツ…。スゴイ速さですっ飛んで行ったぞ?」


「あっ!ハワードさん。あれはユウキさんの新装備みたいですよ」


「大丈夫なのか?あんな速さで動いて?」


「さあ?でも、大丈夫なんじゃないですか?ユウキさんは、あのユーノさんのお弟子さんですから…」


「へえ、あの有名な魔導具技師の弟子か……。アイツ案外と使えそうだな」


「皆さん、そうおっしゃってますよ。何せロンダーギヌス辺境伯も彼を評価していますからね」






しばらく走行して安定性を確認する。良い感じだ。

スピードも40〜50km/hくらいでちょうどいい。

まあ、この世界じゃ超高速の部類に入る速度だけど、気にしてはいけない。

ただ、騒音と砂埃が問題だな。ロケットの噴射音が大きいし、走行時に巻き上げる砂埃が目立つ。隠密行動には向いていないようだ。


「さて、視認してるだけじゃ偵察にはならないから、レーダーでも確認してから帰還しましょうかね」


そう呟いて、レーダー機能を起動する。


「おや?なんだこりゃ…」


なんで、商隊の中に敵性反応の赤い光点があるんだ?


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