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第136話・こんな所に悪の巣窟が……


さて、試験のスケジュールを決めたので次に挨拶に行くのはクララ様のところ。

クララ様には事前に訪問の日時をお知らせしているので、安心だ。


のんびりと街を散策しながら、クララ様の屋敷に向かう。

門の横に立っている衛兵に訪問を伝えてもらうと、すぐに執事のアルフレッドさんが迎えに来てくれた。


「ユウキ様、お待ちしておりました」


「その節はお世話になりました。アルフレッドさん」


「いえいえ、私共の務めでございますので、お気になさらずに…」


そんな挨拶を交わしつつ屋敷の奥へと案内され、中庭に通された。

中庭にある小さな東屋にクララ様が居た。ティータイムを楽しんでいるようだ。


「こんにちは、クララ様」


「ユウキさん、お早いお着きですね。お茶でもいかがですか?」


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えまして…」


俺がクララ様の対面に座ると隣に控えていたメイドさんがお茶を用意してくれる。

カップに紅茶が注がれ、高貴な香りが鼻をくすぐる。

これって…高級なヤツなんだろうなぁ〜。俺のバカ舌には区別がつかないけど…。


「例の解析は進んでいますか?」


クララ様が切り出しくる。


「はい。まだ全体の三割程度の進捗ですが……」


「時間は掛かりそうですか?」


「はい。今回は超文明の遺産ですからDELSONでも簡単にはいきませんね」


思ってた以上に解析に時間が掛かってはいるが、解析不可能ではない。

しかも、普段より詳細に解析しているから、更に時間がかかるのだ。


「ダンジョンアタックまでには解析を終え、『自動鎧(オートメイル)』のプロトタイプの完成まで漕ぎ着けると思います」


自動鎧(オートメイル)ですか?」


「あ…、すみません。さすがに『ゴーレム』ではマズかろうと思いまして…」


「名称を変更したというわけですか…。よろしいと思いますよ」


と、クララ様は笑顔で承認してくれた。

まあ、名前は変わっても、中身は変わっていないんだけどね。


「お聞きしたいのですが、ユウキさんは自動鎧(オートメイル)を、どういうふうに使いたいとお考えですか?」


クララ様にとっては不安だろう。何せ超文明時代の兵器だ。一歩間違えば戦争も起こりかねない。


「そうですね。まず、大っぴらに使うつもりはありません。パーティの戦力としても秘匿戦力と考えていますから、ダンジョンの様な場所での限定的な使用と考えています。あとは、クララ様の護衛用にと考えています」


「私の護衛用ですか?」


「はい。ここにいる騎士たちがいくら強くても、所詮は人間です。人間には限界がありますからね。その限界を自動鎧(オートメイル)でサポートすれば、より安全になれます」


ゴーレムならば、エネルギーの続く限りクララ様の護衛が続けられるはずだ。

クララ様はこの街の発展の(かなめ)の人物、安全確保は絶対条件だ。

先々の事を考えれば、これくらいの事はやっておくべきだろう。


「少々、やり過ぎの感はありますが、これは必要な事とお考えください」


俺はゴーレム復活を渋っているクララ様を説得した。

小一時間、ゴーレムの使用に関しての話し合いもして『自動鎧計画オートメイル・プロジェクト』の承認を受ける。


「では、ユウキさんには廃棄する鎧を受け取っていただきます。それと計画の進捗報告はこまめにお願いしますね」


「はい。ありがとうございます。必ずや満足頂けるモノに仕上げてみせます」


それから、アルフレッドさんの案内で屋敷の裏にある倉庫に移動し、鎧を受け取る。全部で12体あった。ずいぶんと飾ってあったのねぇ〜。



クララ様の屋敷を辞した後、昼飯を屋台の買い食いで済ませた。

あとは、ヤーヴェさんに挨拶に行って、それから懇意にしてる店を回ってスライムゼリーで一稼ぎって感じで良いかなぁ〜。

なんて、のんびりと考えながら歩いていると、後ろからいきなり声をかけられた。


「よ〜。久しぶりじゃん!ユウキ〜」


「げ!?ノートンさん!!お久しぶりです」


声の主はオカルト大好きノートンさんだった。しかし、なぜにこんな所に?


「げ?!って、ご挨拶じゃない?そんなに俺との再会が嫌だったの?」


「いや、そうわけじゃないですけど…。で、ノートンさんはなんでこんな所に?」


「ん?そりゃ、俺の事務所がすぐそこにあるからね」


と、指差す方を見るとそこには『ノートン古代文明研究所』の看板があった。


…………そうか、ここが悪の巣窟か……。


「そう言えば、ノートンさんって雑誌を出版してましたねぇ」


「お!?うちの『月刊 エルドランド』を読んでくれてるの?あの雑誌、なかなかの人気なんだよねぇ〜」


いやぁ〜儲かっちゃて儲かっちゃて、やめられまへんわってノートンさんは悪徳商人にジョブチェンジしちゃってるもようだ。


「そういうユウキもなんでこんな所にいるのよ?村に帰ったんじゃないの?」


「俺はいろいろとあって、ランクアップ試験を受けに来たんですよ」


「へぇ〜。ユウキもいろいろ大変そうだねぇ。どうよ、積もる話もあるから事務所に寄って行かない?お茶くらい出すよぉ〜」


え?これから悪の巣窟に来いと?嫌な予感しかしないんだけど〜。


「まあまあ、悪いようにはしないから、ちょっとだけ、ちょっとでイイから…」


ノートンさん、そのセリフ使いは変な宗教の勧誘か、詐欺商法のセリフですよ。


「大丈夫。大丈夫。痛いのは最初だけ、後は気持ちよくなるから」


おおおいいい!!腕を引っ張らないでええええ!!

だ…誰かぁ〜助けてぇ〜〜〜。


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