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第135話・ヤドラムに行きます。


あの後、ダンジョンコアの部屋に戻ってお茶会を再開したんだけど…。

なんだか会話が弾まないんだよねぇ。


盛り上がってのはクララ様とラムちゃんだけで、あとの三人はなんとも言えない空気に包まれていた。


そんな感じだから、お菓子が尽きると共にお茶会もお開きになり、次回のお茶会の開催日と月一で開催する事がクララ様とラムちゃんの間で勝手に決められていた。



さて、そんなこんなでゴーレムの解析はDELSONに任せ、俺はアサイ村の畑仕事に勤しんでいた。

十日もすると畑仕事も一段落つき、これからは森での猟に力を入れる頃合いなんだけど、俺はこの期にヤドラムへ出掛ける事にした。


「では、稼ぎついでにランクアップ試験を受けに行ってきます」


「はい、いってらっしゃい。学校の方は任せて下さい」


「ユウキ、油断して落ちるんじゃないわよ」


マリアさんとルキアさんに見送られて村を出発した。

ヤドラムまでは徒歩の予定……なんて事はなく、途中で森に入って例のロケットベルトで一直線に飛んで行こうと思っている。


やっぱ、便利アイテムがあるなら、使わないと損でしょ。

時間の節約にもなるしね。


「で、ユーノさんが、なぜここに?」


何故か知らないがユーノさんが俺のの後ろに着いて来ていた。


「ん?着いていっちゃダメ?」


「可愛く小首を傾げてもダメですよ。何を企んでるんですか?」


「別に企んじゃいないわよ。どうせユウキくんの事だから空でも飛んで行くんじゃないかと思ってね」


「え?飛んで行ったらダメですか?」


「ダメって言っても無駄でしょ?だから、その空飛ぶアイテムでも見せてもらおうかと思ってさ」


「見せるだけなら、家でも見せましたよ」


「実際に飛んでるところが見たいのよ。イイでしょ?」


「別に構いませんよ。でも、すぐに認識疎外を発動しますけどね」


「良かった。飛行アイテムって前から興味があったんだぁ」


そう言ってユーノさんは俺と一緒に森に入った。

少し歩いたところで、マップで周囲に他の人が居ない事を確認して俺は用意を始めた。防寒用の上着にヘルメット、グローブも出して……。そして、メインのロケットベルトも忘れずに…と、これでOKだね。


「ずいぶんと着込むのねぇ」


ユーノさんが興味深気に聞いてきた。


「上空って案外寒いんですよ。油断すると凍えちゃいますよ」


「そうなんだぁ。だから帝国のワイバーン兵ってあんなにモコモコの服を着てるんだねぇ」


「なんです?そのワイバーン兵って?」


「ガザ帝国の航空戦力よ。数は少ないけど、大陸唯一の航空戦力よ」


「へぇ〜。ワイバーンって人に懐くんですねぇ」


「卵から孵化させれば懐くらしいわよ。でも、育てるもの訓練するもの大変らしいって話だけどね」


ふむ、いい事を聞いた。この世界には空を制した国があるって事だ。

まだ、軍事目的ではあるものの警戒するに越したことはない。


「で、これがユウキくんの飛行アイテム?ずいぶんと簡素な造りね」


俺が着込んでいる内にユーノさんがロケットベルトを観察していた。


「そりゃ、メインの駆動系がDELSONだからですよ。そっちは噴射ノズルだけですから飛行制御のみに特化してますからね」


「やっぱり、一番難しいのは駆動系とそれの制御って事かしら?」


「ですねぇ。人一人浮かせるにはそれなりの圧力が必要ですし、噴射の制御もしないといけないし、失敗したら爆発の危険性はあるし…ロケットってかなり難易度が高いですよ」


「そうなんだぁ〜。魔導具化は無理かなぁ〜」


「飛行するだけならロケットに拘らなくても良いんじゃないですか?他の方法がいろいろとありますよ」


「要研究って事ね」


「そういう事です」


そう言っている間に俺はロケットベルトの装着を済ませ出発の準備を整えた。


「じゃ、そろそろ飛ぶんでちょっと離れててください」


ユーノさんが離れたところで、ロケットを噴射させて2mくらいの高さでホバリングしてみせた。


はぁ〜…。ホントに飛んでるわぁ〜。ってユーノさんが驚いている。


「では、行ってまいります!!」


そう挨拶して俺はDELSONのステルス機能を起動させると同時に一気に飛び立った。

その時、ユーノさんが「完璧な認識疎外ねぇ。見えない魔法使いインビジブル・マジシャンの名前も伊達じゃないわね」って声が聞こえた。





びゅ〜んと飛んで一時間ちょっと、あっという間にヤドラムの街が見えてきた。

やっぱり空を飛ぶというのは楽で良い。


さすがにヤドラムに直接着陸するのはマズいので、人気の無い森を選んで着陸してそこから徒歩でヤドラムに入った。


早速、ギルドに挨拶に直行する。ロールさんはいるかなぁ?

いた!麗しの受付嬢は仕事が一段落しているのか、ヒマそうにしている。


「ども、お久しぶりです。ロールさん」


「あ!?ユウキさん!お久しぶりです。…でも、どうしてヤドラムに?」


「ええ、ランクアップ試験を受けるように言われましてね。それで……」


「そうですか。早速、受験しますか?」


「その前に受験費用とか試験内容とかを聞きたいんですが……」


ロールさんの説明によると、Eランクへのランクアップ試験の費用は銀貨2枚。

試験の内容は実技と筆記。ちなみに実技試験の方はギルドへの貢献度で免除される事もあるんだって。免除されると費用は半分になる。


「ユウキさんの場合は貢献度が高いので実技試験は免除されますね。ですので、費用は銀貨1枚となります」


さすが俺!新規事業の立ち上げに参画しただけの事はある。

試験の費用が半分になった。でも、銀貨1枚ってそこそこイイ値段だよ。

絶対合格を目指そう。それには筆記試験の出題内容も把握しておかないとね。


「筆記試験は魔法学が3割、魔獣や動物の生態が3割、狩りやサバイバルの知識が4割の割合で問題が出されます。合格ラインは70点以上です」


ちなみに、魔法学は学会準拠の問題が出されるらしい。

学会の考え方に批判的な俺としては少々厄介になりそうだな。

ちょっと時間をもらって勉強し直そう。そうロールさんに伝えてスケジュール調整をしてもらった。


「では、三日後の午後に試験って事でよろしいですか?」


「はい。それでお願いします」


よし!準備は整った。後は試験合格を目指してちょっと勉強しよう。


あと、ちょっとだけ小遣い稼ぎもガンバろうっと!!


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