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第134話・ナニ勘違いしてるんですか?


さて、何故かやたらと前に出たがる我がパーティーの司令官クララ様の事は放っておくとして、問題の処理に当たろう。


前衛が極端に少ないのは問題だ。だからといって、うちに入れるほどに信用のおける冒険者なんてそうはいない。


「いないんなら、いっそのこと造りますか?」


ふと思ってみんなに提案してみた。


「「「は?」」」


みんなが疑問に感じるのも無理はないが、俺にはその技術がある。


「まあ、多少の時間はかかると思いますけどね」


「な…何を突然言い出すんですか!?ユウキくん。そりゃこちらとしては、そうなることは嬉しいですし、やぶさかではありませんが……こちらとしても心の準備というモノがありまして……ゴニョゴニョ……」


「そ…そうだぞ!?ユウキ。すぐに出来たとしても、十月十日(とつきとおか)はかかるし…それに育てるにしても時間が……ゴニョゴニョ…」


と、マリアさんとルキアさんが顔を真っ赤にしてモジモジとしているし。ユーノさんに至ってはフリーズ状態になっている。

ちなみに、クララ様はキャーって悲鳴を上げてなんか喜んでいる。


なにを勘違いしてるんだ?この人たちは…。なんで俺がこんな所でそんな(ただ)れたプロポーズをせにゃならんのだ?


「なにを勘違いしてるか知りませんが、俺はゴーレム技術の事を言ってるんですけどねぇ…」


「「「!!!」」」


ナニ、びっくりしてんの……。


「アハハハ……そ、そうだよねぇ〜ユウキがそんな事言うはずないじゃん……ねぇ〜マリア」


「そうです、そうです。私はこれっぽちもそんな事考えませんでしたよ……」


いや、思いきり勘違いしてたでしょ?ルキアさんなんか十月十日(とつきとおか)とか言っちゃってるし……。


そんで、ユーノさんは小声で「焦ったぁ〜焦ったぁ〜」て冷や汗かいてるし…。

クララ様に至っては「そんな展開じゃ面白くありませんわ!」って、一体何を期待していたんだ?


それに引き換え、冷静な幼女が一人……。


「ね、ね、そんな事よりユウキの考えてる事、説明して」って俺の服を引っ張ってくる。さすがはラムちゃん、伊達に長生きしてませんね。


では、ラムちゃんの希望にお応えして説明してしんぜよう。


「いやさぁ、どうせ信用できる人物なんて早々見つかるわけないからさ、いっそのことゴーレム技術を使って兵隊でも造っちゃおうかなぁ?なんて思ったのよ」


「でも、この棒人形じゃ、すぐに人間じゃないってバレるよ」


「そこらへんは、アバターを併用したりとか全身鎧(フルメイル)に仕込むとか考えてるんだけどねぇ」


「そうしても行動が人間的じゃないから、違和感を感じると思う」


「そうなんだよねぇ、鎧に仕込むにしてもこのままじゃ無理があるからなぁ〜」


「そうなると改造が必須だね」


「そうだね。ハードの面でもソフトの面でも改造しないといけないな。じゃないと使えない」


だからこそ逆行工学リバースエンジニアリングを施す必要が出てくる。

それで解析した技術を基に今の環境に合ったゴーレムを造って、うちのパーティーの戦力にしようって考えたわけだ。


「DELSONを使っても、解析にゃ時間がかかりそうなんだよねぇ……」


「大変そうだね」


「このゴーレムの素材が曲者でねぇ。なんか合金の複合体みたいなんだよ。ハード的には原子レベルまで解析しないとダメっぽいかな。ソフトの方じゃプログラムは勿論、魔法陣の解析もしないといけないからねぇ」


いつもなら一瞬で解析できるけど、ここまで深く解析するとなると半月はかかりそうだ。まあ、その間に材料集めでもしておこうかな?


「そうだ。ダンジョンのゴミで全身鎧ってあるかな?」


「う〜ん…。鎧は個々のパーツが大きいから各階層の集積部屋に行ってみないとわからないなぁ」


「そうか…ならオルトロス討伐の前に回収して回ろうかな」


なんて、ラムちゃんと話していたら、クララ様から提案があった。


「うちの屋敷にある装飾用の全身鎧なら10体ほどありますから、差し上げましょうか?」


「え?よろしいんですか?」


「ええ、何せ装飾用なので戦闘には使えませんし、私の趣味にも合いませんので倉庫に仕舞い込んでいるんです。執事のアルフに言わせると古くて売れるモノでもないので処分に困っている状態なんです」


おお〜廃品処分に困っているというわけですな。それなら渡りに船だ。いただけるモノならいただきましょう。


「では、アルフに言って用意させておきます」


「ありがとうございます。近いうちにヤドラムに出向きますので、その時にいただきに上がりますね」


「あら?近いうちにこちらに来るんですか?」


「はい、村じゃ現金収入が少ないのでランクアップの試験料金を稼ぎにヤドラムに行こうと思っていたんですよ」


「そうですか。それではお待ちしていますね」


よし。材料集めは何とかなりそうだ。後は、ヤドラムで稼ぐついでにEランクの試験を受けてみよう。


今年の夏は村で猟をしてる時間はなさそうだなぁ。やる事が多すぎる。

だからと言って、手を抜ける事でもないし少々キツくなりそうだな。


なんて、考えているんだけど……。


ユーノさん、ルキアさん、マリアさん、いつまでもそんな所で悶えてちゃダメですよ〜。サッサと復活して下さい。お茶会の続きをやるんでしょ?

ラムちゃんがお菓子が食べたいって騒ぎ始めてますよ〜。


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