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第131話・魔法文明のゴーレムとダンジョンのゴーレム


その日の夕食後、普段はパーティーハウスのリビングや各個室でまったりしている時間なんだが、今夜はこれからダンジョンへと向かう事になっている。


一応、メイドさん達にはダンジョンの秘密を話してはいるんだが、そこんところ大丈夫なの?ってクララ様に確認したところ、この家にいるメイドさん達はクララ様の密偵なんかの仕事もしている超エリートな方々なんだってさ。


貴族同士の腹の探り合いは日常茶飯事、裏では蛇やら蜘蛛やら毒虫やらいろいろと蠢いているんですよ。とにこやかにおしゃっていた。

この世界のドス黒い一面が覗けた気がして、ちょっと寒気がしたね。


んで、今はユーノさんの使っている地下工房に全員が集合している。

目の前にはダンジョンの根っ子がある。大きさは両開きのクローゼットくらい。

中はと言うと、これがまた広く出来てるんだわ。

俺がヤドラムで使ってたアパートより広いんじゃないかな。


「なんだか、理不尽な差別を受けてる感じがするぅ〜」


自然とそんな言葉が出てきた。

そりゃあ、俺の方は専用機だからって事もあるんだろうけどさぁ。

内装だって、段違いでこっちの方が豪華な造りになってるんですけどぉ〜。

なんでしょうね、飛行機のエコノミークラスとファーストクラスくらいの差があるんですよ。


「ぶつくさ言ってないで、さっさと乗りなさいって!」


根っこの入り口で嘆いてた俺の背中をルキアさんが押してくる。

なんか納得がいかないまま、移動を開始した。

ダンジョンまでの一時間は非常に快適だった事をここに記しておこう。


ダンジョンに到着すると、すでにクララ様とラムちゃんがお茶をしながら歓談をしていた。


「遅くなりまして申し訳ございません。お待ちになりましたか?」


と、ユーノさんがクララ様に謝罪し、クララ様が「いえ、こちらが早めに来ただけですのでお気になさらずに」と、返す。


社交辞令ではあるが、これって大事なことだ。


んで、クララ様のお相手をしていたラムちゃんなんだが…。

今日の衣装はとってもビューティフォ〜ないでたちだ。

敢えて言うならば、キラッキラな貴族令嬢って感じのドレスを纏っている。


「ラムちゃん、気合い入ってるねぇ〜」


「うむ、今夜はクララとお茶会と聞いて気合い入れた」


「どこぞのお姫様みたいジャん」


「うむ、ユウキの情報から18世紀のヨーロッパのとある貴婦人を参考にした」


「ほう。俺、そんな情報を持ってたっけ?」


「『ケーキが無ければ、ごはんを食べればイイじゃない』ってセリフで有名な人らしい」


「ああ…。あの断頭台の露と消えた人ね。でも、セリフはちょっと違うと思うぞ」


正直、お茶会でケーキ代わりに丼メシをかきこんでる貴婦人は見たくないぞ。


「大丈夫ですよラムちゃんさん、ケーキはちゃんと持ってきてますから…」


そう言ってクララ様がラムちゃんにケーキを差し出す。


クララ様、この会話に真面目に付き合うと損しますよ。


こうして、クララ様が持ち込んだケーキをつつきながら、初めてのダンジョン茶会が始まるのであった。





みんなでワイワイとおしゃべり楽しんでいると、ラムちゃんが俺に昨日拾ってきたゴーレムを見せろとせがんできた。


「え?!ゴーレムですって?」


そう反応したのルキアさんだ。

クララ様はジト目で俺を睨んでいる。


そんな目で睨まないでください。たまたま拾っただけですからぁ〜。


「ユウキさん、自重なさってくださいと言ったはずですが、どういう事なんですか?」


「え〜とですねぇ…。ちょっと新作アイテムのテストをした時に偶然見つけちゃいましてぇ……」


モゴモゴと歯切れ悪く言い訳しようとガンバってはみたが、どうにもならない。

そんな時でもラムちゃんは「ゴーレム見せてぇ〜」と俺に纏わりついてくる。


「ユウキくん、とりあえずゴーレムを出してみなさいよ」


と、ユーノさんが促してきたので、基本パーツを幾つか床に広げてみた。


「これ、ホントにゴーレムなんですか?」


床の転がっているモノを見てマリアさんが不思議がっている。

そりゃあそうだろう。出したパーツは関節部のボールジョイントとパイプだけだ。


「んじゃ、ちょっと組み立てみましょうか」


そう言って、俺は基本の棒人形を組み立ててみた。


「アタシの知ってるゴーレムとは違う…」


「ん?ラムちゃんの知ってるヤツって、どんなヤツなの?」


「ダンジョン製のゴーレムは土塊のクレイゴーレムとか石製のストーンゴーレムが一般的。鉱脈に近いダンジョンだとアイアンゴーレムっていうレアモノもいる。でも基本は同じ、土や石の塊に核があってそこから魔力の神経が全身に通ってる」


うむ、ダンジョン製のゴーレムの方がより生物的って感じなのかな?

でも、基本的な構造は同じに思える。


「そうですね。ダンジョンのゴーレムってかなりゴツイって話だし、もっと大きいはずです」


マリアさんは現物は見た事ないけど、知識として知っているみたいだ。


「私は本物を見た事あるけど、かなり大きくてゴツかったよ」


と、ルキアさんはなんか自慢気に言いってきた。


「すごいじゃないですか!ルキアさんってゴーレムとの戦闘経験者なんだ!」


「いや、戦闘はしてないわよ。ロナ王国の軍事パレードを見物しに行った時にパレードでゴーレム兵団を見た事あるだけだから、それに私はゴーレムと闘うなんて無謀はしません」


ルキアさんの話によると、世界で唯一ゴーレムの兵器化に成功したのがロナ王国なんだそうだ。んで、そのロナ王国軍は5m級のストーンゴーレムと3m級のクレイゴーレムを数体づつ保有していると公表している。


戦場に投入されたら無敵よねぇ〜って、軍ヲタのルキアさんは言っていたがラムちゃんがその感想にある疑問を呈した。


「そうかな?ゴーレムがダンジョンから離れたら寿命は精々二日から三日程度のはず、それじゃ長期戦や遠征には向かない。防衛戦でもすぐに動かなくなる兵器じゃ意味がないと思う。使えるとしても威嚇程度」


ああ、そかぁ。ゴーレムもダンジョンの魔獣と同じだから、ダンジョン内だから無敵の存在であって、外に出たら魔力切れまで待てば無力化できる。


さすがはラムちゃんだ。ダンジョンに関わる事なら世界一の知識量だ。


「え?そうなの?そんな事、公表されてなかったよ」


公表されてなくて当たり前でしょ。軍事パレードなんて他国への示威行為なんだから、兵器の弱点なんて公表するはずないじゃん。

他国に、この国に攻め込むのは損だぞって認識させるだけで良いだけなんだから。


「じゃあ、ゴーレム兵団って威嚇がメインで、戦闘の時は捨て身の特攻兵器くらいしか使い道がないねぇ〜」


「それでも、軍団レベルの兵力を壊滅できる威力があるから、敵側からしたら厄介な存在だと思うよ」


「そかぁ〜。要はどんな兵器でも使い方次第って事だねぇ」


「うむ。だから、ユウキの拾ってきたゴーレムはアタシが有効に使ってあげる」


うん。それはダメだよ。そんな事したらダンジョンのバランスがメチャクチャになっちゃうし、それにクララ様から俺が怒られちゃうからねぇ。


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