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第130話・油断大敵


コルソ樹海での大収穫を終えたその日の夕刻、ステルス機能をフル活用してパーティーハウスの離れに直帰した。


アバさんはまだ仕事から帰って来ていないらしく、戻るまでおとなしく部屋で待機。地下の工房でゴーレムパーツのいじくって遊んでいた。


それでわかったんだけど、このゴーレムはわざわざ人型にしなくても良いらしい。

足を4本とか6本にして多脚化してもちゃんと動くし、ヘビの様にしてウネウネさせても問題ない。


「うむ。これなら地形に左右されずに活用出来そうだな。なんなら翼とかヒレとかオリジナルのパーツを開発して飛行型とか水中型とかにも出来そうだなぁ」


なんて、想像しながらヘビ型ゴーレムで遊んでいると、工房の扉がガチャリと開いた。アバさんが帰って来たようだ。


「お疲れちゃ〜ん。そっちの仕事はどうだった?」


コントローラーから目を離さず、ヘビゴーレムの集中しながらアバさんに声を掛けたが返事が返ってこない。

どうしたのだろう?と工房の入り口に目をやると、そこには気まずい顔したアバさんと目が落ちんばかりに見開いたユーノさんがいた。


「あっちゃ……。ヤバ……」


まさか、アバさんがユーノさんを伴って地下工房に来るとは……。


「いやぁ〜、ユーノさんに最近、改造した杖を見せろって言われてさ…。保管庫に何本かしまってあるじゃんかぁ」


などと、アバさんが言い訳してくる。

しかし、言い訳なんぞどうでもいい。このタイミングの悪さはどうしたものか?

ハッキリ言って、逃げる事も出来ない。


「……で、アバターはどっちなの?」


わなわなと震える声でユーノさん問うてきた。

アバさんが素直に挙手して静々と俺に近づき、DELSONを勝手に起動させて吸い込まれていった。


そうなると、ここに残っているのは俺一人。

そして始まるのはユーノさんのお説教である。

ツカツカとユーノさんが迫ってきたかと思うと、お馴染みのアイアンクローをかましてきた。


「アガガガガガガガ……。脳がぁ〜、脳がはみ出るぅ〜」


いつも以上に強力な握力で締め付けてきてミシミシと俺の頭蓋骨が悲鳴を上げる。


「アンタって人はぁ〜。クララ様から自重しろと言われてるでしょうがぁ!!」


「今回はちょっと遠出をしただけですよぉ〜」


「遠出って、どこに行ってたのよ?」


「樹海ですぅ〜コルソ樹海に行ってましたぁ〜」


「はぁ?コルソの樹海って、あの迷いの森?ちょっとの距離じゃないでしょ!いったい、いつからアバターと入れ替わってたのよ?!」


「一昨日の朝から入れ替わってましたぁ」


「あのねぇ〜ウソつくのもいい加減にしなさいよ!たかが二日程度で往復できるような距離じゃないでしょうが!!」


「ウソじゃありませぇ〜ん。空を飛べる新アイテムのテストも兼ねて行ってきたんですぅ〜」


その言葉を聞いてユーノさんの握力がスっと弱まった。


「……。ユウキくん、空を飛べるアイテムを作ったの?」


「ああ〜痛かったぁ〜。アイテムは作りましたよ。結果も上々です」


「アンタって人はぁ〜〜。また、戦争の火種になる様なモノ造ってからにぃ〜」


「いやいや、今回のアイテムはDELSONが無いと使えないですから、俺しか使えませんよ」


「そういう事じゃないんだってば!そういうアイテムが存在する事自体が危険な事なのよ」


「大丈夫ですって、アイテムを使う時はちゃんと人のいない所に行くし、その上、ステルス機能まで使ってるんですから〜」


「まあ、あなたの認識疎外の魔法には定評があるけどさぁ」


と、ユーノさんは困り顔で頭を抱えている。


「……それと今、気づいたんだけど、そこにあるのはナニ?」


そう言って指差す先には、さっきまで遊んでいたヘビゴーレムが転がっていた。


「ああ、これっすか?これはゴーレムですよ。迷いの森で拾っちゃいました」


「……。えっと……ゴメン。今、ゴーレムって言った?」


「ええ。ゴーレムって言いましたよ。コルソ樹海は超魔法文明時代の軍事施設だったんじゃないですかね?何か所も結界が張ってあって、それっぽいアイテムが転がってましたよ」


「これまた、トンデモないモノ拾ってきて……。世界を滅ぼす気なの?」


「滅ぼすなんて物騒な事するわけないじゃないですか。そんな事しても一銭の得にもなりませんよ」


「ユウキくんがそうしなくても、こんなモノが世間にバレたら破滅ものよ」


「なんで、たかが人形如きで?」


「ああもう、その説明は今夜ダンジョンでして上げるから、移動の準備をしておきなさいよ」


おや?もう、根っこが開通したらしい。ちょっと早くね?

と、思ったらそれもそのはず、クララ様の所からは目の前だし、こっちじゃ俺の所まで既に開通済だったから一日でダンジョンへ行けるようになったんだって。


んで、本日の夜にみんなでダンジョンに集まって会議&お茶会を開催するって決めていたんだとか。

いつの間にそんな話になっていたのか?知らんかったわ。


まあ、タイミング的にも良いんじゃないかな?

今夜はゴーレムのお披露目会としよう。


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