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第127話・なんか、見つけた


シューーーと勢いよく空気が噴射ノズルから噴き出し俺は上昇していった。


「はははは!こりゃあ、気持ちイイーーーー!!」


空を飛べるってスゴイ開放感があるね。

自然とテンションが上がって、笑いが込み上げてくる。


しかし、これはロケットベルトのテストだ。楽しんでばかりじゃいられない。

前進、後進、旋回に最高速度といろいろとテストしてみよう。



それから30分ほどテストしたんだけど…。


俺は地上に降りて、焚き火に当たっていた。


「うううぅ〜。寒ぃ……」


空、舐めてました。

いくら暖かな春の日とは言え、上空の風は思った以上に冷たいのよ。

なんで昔の飛行士が厚着してたか、わかったよ。


でも、性能テストはちゃんと出来た。上昇性能も良いし、旋回性能もバッチリだ。

ただ、直立姿勢での飛行なんでスピードが出ない。最高速度は80km/h程度ってところかな。

それ以上速度を出そうとすると、噴射ノズルがDELSONの出力に耐えられないようでガタガタと変な音が鳴り出す。

空中分解なんてしたら、目も当てられないんでこれが機体の限界なのだろう。

安全も考えて巡航速度は50〜60km/hくらいとしておこう。

それでも、アサイ村〜ヤドラム間は2時間程度と高速で移動出来る。

今度は翼でも着けて、更に高速を目指してみようかな。


さて、これからどうしようかなぁ〜。なんて、温かいお茶を飲みながら思案する。

まあ、上空の寒さは厚着と冬場に着ていた革装備の温熱機能でどうにでも出来るからイイんだけど、このままヤドラムに向かうってのも芸が無いよなぁ。


いっそのこと、ドラゴン狩りにでも…。とも思ったが、時間が足りない。

ならば、新規開拓といこうか…。

ヤドラムに接続している町や村はアサイ村以外に三つほどある。


まずは、領都に繋がる街道にある『サーク』の町。

この町は距離的にヤドラムに行くより時間が掛かるんで、今回は無しだな。


次にドラゴンの住む荒野に隣接している『モルドバ』の町。

こちらも時間的に無理。


最後は『コルソ樹海』と言われている広大な森林に囲まれた『コルソ』の村。

この村なら樹海を突っ切れば、ヤドラムに行くのと同じくらいの時間で行ける。


うむ、答えは一択だね。新規開拓といきますか!


「よし!そうと決まれば善は急げ、行動開始だ!」


コルソ村の位置はなんとなくしか知らないけど、方角はアサイ村からたぶん南東だったと思う。

後はレーダーで確認しながらでイイや。適当に飛んでればわかるだろう。

こうして、俺は森から飛び立った。




のんびりと飛行を続けること1時間、眼下には広大なコルソ樹海が広がっていた。

樹海の事は訓練の時にヘイゼル爺さんから聞いた事がある。

この樹海は別名『迷いの森』とも言われ、奥に行けば行くほど方向感覚を失うという噂がある。

魔法学会では過去に幾度か調査隊を出し、その噂が事実である事を確認した。

そして、樹海がダンジョン化しているのではないか?という論文を発表。

この樹海を危険地帯と独自認定して地元民の出入りを制限しようとしている。しかし、地元民はそんな事は意に介さず森に日常的に侵入している。


ただ、地元のベテランの木こりや猟人に言わせると、森の奥に行くと地形が複雑になり、しかも景色の判別が難しくなるほど似た風景が続くために方向感覚を失うという事なので、森がダンジョン化しているという話は学者先生の戯言と受け取られ、笑い話になっているらしい。

でも、方向感覚の喪失は事実としてあるのだから、彼らも森に入る時は目印になるモノを常備しているという。


「こっちの世界にも『青木ヶ原』みたいな所もあるんだねぇ」


なんて事を思いつつレーダーでコルソ村を探していると、ある事に気が付いた。

レーダーに表示されている森の所々が赤く表示されている。


「おや?なんだこれ?」


この表示は見た事がある。確かマフィアのアジトに忍び込んだ時にあった『結界』の表示だ。


「なんで、こんな森に結界が…?予定変更!なんか面白そうな予感がする〜」


俺は好奇心に負けて、森に着陸した。



結界の近くに着陸して、装備を整える。

ロケットベルトを装着した状態で武器が使えないって事に今になって気がついた。

ステルス機能を使ってるとは言え、無防備なのはちょっと不安だ。

ロケットベルト用の武器を考えなくっちゃなぁ。


と、これからのバージョンアップを考えつつ、周辺を見渡して気が付いた。


「こりゃあ、遺跡だな……」


森の木や苔に覆われ朽ちてはいるが、幾何学的は形をしたビルのような岩が整然と並んでいる。

たぶん、ここは何かの施設だったであろう事が窺えた。

魔法学会が規制を掛けるのも理解できる。これが超魔法文明の遺跡なら独占しようと躍起になるだろう。


レーダーで確認しつつ、結界に近づく。一応、結界を鑑定してみた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


*結界の存在を確認しました。


*結界は設置式・認識疎外型の結界です。


*結界を無効化する場合は本機に吸引し解析して下さい。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


うむ…。魔法学会の見解はあながち間違ってはいなかったようだ。


そして以前にやったようにDELSONで結界の一部を吸引した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


*結界の吸引を確認しました。


*結界を解析します。・・・・解析が終了しました。


*結界を無効化しますか?・・Y/N


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


YESを選択して結界を無効化する。

すると急に眩暈(めまい)がするような感じがした。

結界で狂わされていた方向感覚が修正されたのだろう。


「よし、これで探検できるようになったな。しかし、一万年も生きてる結界装置ってどんだけ丈夫なんだよ」


結界が生きているって事は、ここの遺跡はまだ魔法学会に荒らされてはいないのだろう。まあ、魔法学会なら結界の死んでる場所から探索しているんだろうけどね。


結界の内側をゆっくりと進んでいくと、高さ10mほどのドーム状の建物があった。そのドームの頂上にアンテナのような設備があった。あれが結界の発生装置らしい。


「どこかに入り口はないかな?」


ドームを一周してみると、入り口はすぐに見つかった。

扉が中途半端に開いている。内部を覗いて見たが真っ暗だった。

しかし、DELSONのスコープ機能に暗闇は通用しない。

俺は慎重に内部に侵入した。


ドーム内はかなり広々とした空間が広がっていた。

何かの試験設備だったのか、それとも工場施設だったのだろうか?

何に使ったのかわからない機械のようなモノが整然と並べられている。


俺はゆっくりと歩きながら、それらを観察していった。


カランと足下で音がした。何かが落ちている。

直径5cm、長さ30cmほどの鉄パイプのようなモノが落ちていた。

拾いあげて観察してみる。


「金属製?じゃなさそうだなぁ…。錆びて無いし……」


金属のような光沢はあるが、それほど重くない。

地面に向けて強めに打ち付けてみたが、傷一つ付かない。かなり頑丈だ。


しかも、よく見ると似たようなモノがそこかしこ落ちている。


「これを作っていたのか?……よくわからんなぁ」


よくわからないモノはとりあえず回収しておこう。

後でゆっくりとDELSONで解析すればイイのだから。


「では、遺跡のお掃除といきましょうかね!」


DELSONの本業は掃除だ。俺はドームある回収出来そうなモノを片っ端から吸引していった。


でも、結界装置は残して置いたよ。魔法学会に荒らされちゃ堪らないからね。


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